大韓民国の文在寅大統領は『企業が輸入先を分散化し、国内生産を拡大できるよう政府が「積極支援」すると提案』(「韓国の文大統領、企業は貿易巡る日本との対立長期化に備えを」 2019年7月10日 bloomberg)と原材料の国産化を求め、「韓日両国間の貿易関係もさらに互恵的でバランスが取れたものになるように発展させ、深刻な貿易収支赤字を改善していきたい」(『日本輸出規制に言及した文大統領「韓国企業の被害時、対応不可避」』 2019年7月8日 中央日報日本語版)と発言している。大韓民国は国交正常化から50年以上も対日貿易赤字が続いている(『対日貿易赤字54年で総額6000億ドル…韓国政府、「素材部品の国産化を積極支援」』 2019年7月7日 中央日報日本語版)。これが許容できたのは米国に対する貿易黒字があった(現在は中国も)からで、対米貿易不均衡が是正されていけば対日貿易赤字を許容できなくなり、原材料を国産化し帳尻を合わせる必要が出てくる。2017年のデータではあるが、対米経常黒字は256億2000億ドル、対中経常黒字は429億7000万ドル、対日経常赤字は272億7000万ドルであった(「韓国、昨年の対日経常赤字が7年ぶり最大」 2018年6月21日 中央日報日本語版)。
対米貿易黒字を抱える日本も他人事ではない。トランプ政権の「バイ・アメリカ」政策を進めれば日韓等の対米貿易黒字は減少するが、米国内の「定職持ちのホームレス」のような極端な所得格差からくる社会問題は緩和されよう。
日韓国交正常化は、朴槿恵前大統領の父朴正熙大統領時代で、「沈黙のファイル」(共同通信社社会部編)には、日韓国交正常化は安倍晋三首相の祖父岸信介氏、大叔父の佐藤栄作氏が積極的に協力したことや(P303)、朴政権にカネが流れたこと(P34~P44)が書かれている(大野伴睦氏の近くには日韓会談に熱心だった渡邊恒雄現読売新聞主筆がいたことも、P303)。さらに日本からのODAで建設されたソウル地下鉄については、「総額272億円の地下鉄車両(186両)の導入をめぐっては、73年、三菱商事・丸紅・三井物産・日商岩井の日本商社連合が、岸信介をはじめ日韓両国の実力者にリベートを支払うため、輸出価格を1両につき3000万円以上も水増しして納入したとのスキャンダルも起こっている。」(<トピックス>切手に描かれたソウル 第14回 「地下鉄ソウル駅」 郵便学者 内藤陽介氏 2011/8/26 東洋経済日報)と、安倍首相の祖父岸信介氏にもカネが渡っている。文大統領は、朴槿恵氏と違い安倍家と共通する対韓援助ビジネスを利用してカネ儲けしたという後ろめたい過去がない。そこが朴前政権と現在の文政権の日本への対応の差になって表れているのではないだろうか?
また、徴用工訴訟の対象には麻生副総理が社長を務めた麻生セメントや、首相夫人の安倍昭恵氏とつながりの深い森永製菓も含まれている(「徴用工訴訟、70社超が対象に 訴状未着の企業多く」 2018/10/30 日本経済新聞WEB版)。徴用工問題は安倍政権関係者の個人的な事情が含まれているように思う。
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