投資家の目線

投資家の目線967(続く西側諸国の苦境)

 日本政府が、日本の領海や排他的経済水域の基点となる特定有人国境離島での定住を支援し、日本の領土であることを明確にするという(「国境離島の定住を支援 政府、住宅改修費を補助」 2024/2/7 日本経済新聞電子版)。しかし、インフラストラクチャ―の維持には巨額の費用がかかるため、居住地を集約するコンパクトシティー化を主張する声もある(「震災が映す人口減の未来 集住でインフラを身の丈に」 2024/1/28 日本経済新聞電子版)。現代社会において整備されたインフラなくして生活はできない。海洋での権益を守るため必要とは言え離島での定住支援と、コンパクトシティー化は両立しない。

 

 日本が頼みとする米国では、生活苦に関する報道が増えている。同国で住宅を購入するには10万USダラー(約1500万円)を超える年収が必要で、アメリカンドリームをかなえることが難しくなっている(「米国で住宅購入難、必要年収10万ドル超え 選挙争点にも」 2024/2/5 日本経済新聞電子版)。クレジットカード支払いの延滞率は増加し(「米カード延滞12年ぶり高水準 10〜12月、若年層で急増」 2024/2/7 日本経済新聞電子版)、自動車ローンの延滞率も高くなっており、銀行に車両を差し押さえられるケースもあるという(「米家計に強さともろさ 崩れぬ消費、リベンジ疲れも」 2024/1/30 日本経済新聞電子版)。一部の大都市の中心部ならともかく、自動車なくして米国で生活できるのだろうか?

 

 米国の商業用不動産の損失問題は、治まりそうにない。米国の銀行は商業用不動産向け融資の審査を厳格化していることもあり(「米銀、不動産向け融資厳格化続く 23年10〜12月」 2024/2/6 日本経済新聞電子版)、今年償還予定の商業用不動産向け融資80兆円は、借り換え難も予想されている(「米不動産融資、24年の償還80兆円 金利高で借り換え難」 2024/2/6 日本経済新聞電子版)。記憶力すら疑われているバイデン大統領(「バイデン氏の機密文書問題、訴追せず 特別検察官」 2024/2/9 日本経済新聞電子版)に、国内外で山積みの問題解決能力はあるのだろうか?

 

 米国の商業用不動産の損失問題はドイツ銀行以外のドイツの金融機関にも広がっている(「米商業用不動産懸念がドイツにも飛び火、国営PBBなど銀行債急落」 2024/2/7 Bloomberg)。EUの農業政策やそれに唯唯諾諾と従う政府に対して農民が反旗を翻す動きはオランダ、ドイツ、フランス、ベルギーに続いてイタリア、スペイン、ポーランドにも広がっている(“Farmers in Italy, Spain and Poland protest over European Union policies and competition” By CIARÁN GILES AND MONIKA SCISLOWSKA ASSOCIATED PRESS • February 9, 2024 Stars and Stripes)。NATO諸国の指導層が自身の失策を誤魔化すため、ロシアを攻撃して第三次世界大戦を起そうとしても、人民はロシアとの対立より自国の指導者の首を狩りに行く方を選ぶのではないだろうか?

 

 昨年、日本は2年連続で実質賃金が低下し、そのマイナス幅は前年より拡大している(「23年の実質賃金2.5%減、2年連続減 90年以降で最低水準」 2024/2/6 日本経済新聞電子版)。名目賃金が上がってもそれ以上に物価が上がれば生活に余裕はなくなる。西側諸国が苦境に陥る中で、日本もその例外ではない。

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