Windows11がリリースされてから1年以上たつが、2023年1月の普及率は18%程度(ワールドワイド)である。ここ2,3年内にWindows10がインストールされたPCを購入して、Windowsアップデートを実施していれば、自動的にWindows11への招待状が届くので普及率は徐々に上がっていくのだろうと思う。しかしながら、今回、実際にWindows11に移行してみて、パソコン自作派には相当ハードルが高いと感じた。
まず、移行作業に必要な知識が多いこと。マイクロソフトはWindows11への移行について必要な条件を挙げていて、ツール(PC正常性チェックツール)でチェックできるとしている。このツールはH/Wの要件、S/Wの要件をチェックしてくれるが、特に重要なのは「UEFI」(Unified Extensible Firmware Interface)、「TPM2.0」(Trusted Platform Module)、「セキュアブート」の3つである。マザーボードがこれらの機能をサポートしていなければ移行できない。
今、利用しているマザーボードは、ASUS H310M、CPUはCore i5 58400(8世代)であり、Windows10を使用している。「UEFI」は既にマザーボードのファームウェアインターフェースの標準になっていて、ASUS H310Mでも採用済である。「TPM2.0」は、「UEFI」の設定を変更することでクリアできた。問題は、「セキュアブート」で、「UEFI」の設定で有効にしても、OSを起動後には有効にならず、上記のツールのチェックもクリアできない(msinfo32コマンドで表示可能)。
色々調べた結果、システムディスクの形式が(比較的新しい)「GPT」(GUID Partition Table)という形式になっていなければいけないということが分かった。レガシーのWindows8.1からバージョンアップで移行してきている場合、システムディスクの形式は、一般に「MBR」(Master Boot Record)になっている。これは、移行の要件として明示的に書かれていない。
さらに調べると、システムディスクの形式を、「MBR」から「GPT」に変換するツールとして、「MBR2GPT」というツール(コマンド)が用意されていることが分かった。説明を読むと、ディスクの内容を維持したまま、システムディスクの形式のみ変更できるとある。しかし、この手のツールは一歩間違えると起動不可等、重大な結果を招きかねない。しばし、考えた結果、安全策として、新たなSSDを購入し、現在のシステムディスクをクローンコピー。そのSSDでシステムが正常動作することを確認してから試すことにした。
利用してみて「MBR2GPT」というツールを動作させるための条件はかなり厳しく、さらに相当高い知識レベルを必要とすると感じた。したがって、利用はお勧めしないというのが結論である。
今回は、もとのシステムディスクは外して保管してある(壊してもいい)ので、「GPT」化を強行してみた。このツール、最初は、システムディスクが「MBR2GPT」の実行要件にかなうかどうかを調べるため、必ず「/validate」オプション付きで実行する必要がある。ツールでは、対象とするシステムディスクには、標準である「システムで予約」「OS」「回復」の3つのパーティションがあるものと想定されている。4つ以上のパーティションがあるとエラーになるようである。ツールの最初の実行では、「Activeなパーティションがない」というエラーになった。「OS」のパーティションがActiveになっていなかった。これは、DISKPARTコマンドでActiveにできる。次に、「EFIの領域が不足している」(Cannot find room for the EFI system partition)というエラーになった。EFIの領域をどうやって見つけるかはよく分からなかったが、SSDの後の方の領域は未使用にしてあったので、邪魔になる「回復」パーティションを削除して、「OS」のパーティションを未使用の領域に拡張してみた(コンピュータの管理のディスク管理ツールで実施可能)。その結果やっと「/validate」が成功した。
実際の実行は、「/convert」オプションで実行する。
結果として、システムディスクの「GPT」化は成功したのだけれども、都度、都度、Google検索で要調査となり、丸一日の作業となった。とても人に勧められる作業ではない。なお、最後の関門として、「GPT」化したシステムディスクからOSを起動するためには、UEFIの起動設定を変更する必要があるので、ご注意を。(「UEFI」のマザーボードで、「MBR」のディスクから起動するためには、「CSM」(Compatibility Supported Module)を有効にしてあるはずで、これを無効にして「セキュアブート」のモードを「Windows UEFI」に変更する必要がある)
「セキュアブート」を有効にしてから、3日ほどで、「Windows11への招待状」(Windows updateの表示)が届いた。ここまででかなり苦労したのだが、結局、この構成(ASUS H310M、CPUはCore i5 58400)でのWindow11へのアップグレードは実施しなかった。その後の顛末は続編で報告の予定。