前回までに、プリント基板上の部品の配置が決まると、プリントパターンの配線のステップに進むことができる。プリント基板は複数の層で構成されているが、各層の役割を理解しておく必要がある。基板のベース(ガラスエポキシ樹脂)の次の層は配線層(銅箔の部分、裏表の2層)で、これらの層に対してプリントパターンの配線を行う。銅箔層の上はレジスト層(緑や紫で色付け)で、レジスト層の上にはシルク印刷(部品名の表示など)の層がある。レジスト層については、ハンダ付けする部分にマスク(レジストしない)を定義する必要があるが、フットプリントを適切に選択すれば属性として定義されているので心配ない。
配線の基本方針として、配線層の表面はVCCや信号線、裏面はGNDの配線とすることにした。パターンの配線は、KiCaDの「PCBレイアウトエディタ」で行う。この作業は、各層ごとに表示・非表示を切り替えて行う。表面側の配線は以下のようになった。
裏面側の配線は以下の通り。
VCC、信号線が表面側に通せない場合は裏面を使う。また、同じ面で配線が交差するケースは、「ビア」(白い四角の印)を経由させて、一方を裏側に配線する。
配線パターン以外の銅箔部分は、「べた」(表裏ともGNDとした)にするが、この描画はPCBレイアウトエディタが自動で処理してくれる。「べた」の表裏は、GNDのスルーホールのところで接続しているが、念のためGNDから遠い場所は「ビア」で接続した。パターンの設計は、KiCaDのパターンチェックツールを実施して完了である。最後にピンヘッダーの信号名など、シルク印刷の文字を追加した。
プリント基板の設計情報は、「ガーバー(Gerber)データ」として出力する。ここまで、PCBWAYからお誘いを受けてから8日経過。
PCBWAYのサイトから発注手続きを行う(このサイトが参考になる)。プリント基板の仕様を入力し、注文カートに「ガーバー(Gerber)データ」をZIP化したファイルをアップロードする。配送情報の指定では、送料が高い($13)と感じたが、日本の場合は、「OCS」が推奨とのことなので選択する(今回、国内の配送は、佐川急便に連絡された)。この後、審査にパスすれば発注可能になる。今回は、プロモーションなので、PCBWAYの担当者に連絡を入れたところ、アカウントに費用が振り込まれた。金額は、「OCS」の配送料+見積もり額($5)ピッタリだったので、結局、0円で制作できたことになる。なお、発注してから3時間後に、審査をパスして製造手配したというメールが来た。
この後、発送まで2日、通関、関空経由での配送に7日かかり(関西の大雪で配送遅れあり)、無事入着した。梱包は丁寧で、プリント基板の出来上がりも綺麗である。
早速、部品を実装してみた。ユニバーサル基板では、配線にほぼ1日かかったが、約1時間で完了した。なお、R1からR4は無くても動作する。Y1(Xtal)は、RD5807の変換基板側に実装しているので差し替えるだけである。
ユニバーサル基板をプリント基板に交換して、動作確認。
今回の、配線図とガーバー(Gerber)データは、こちら(Github)に登録した。また、PCBWAYのプロジェクトに登録したので、同じ基板の発注が可能である。