AM波ラジオのFM波移行が加速されるようである。その昔、ゲルマニウムラジオはラジオ少年の入門アイテムであった。AM波だからゲルマニウムラジオで放送が受信できた訳であり、FM波になるとそうはいかない、少々寂しさを感じる。
当時、真空管のラジオは既にレガシーで、ラジオと言えばトランジスタラジオの時代であった。6石スーパーラジオというのが標準であった。「6石」というのは、トランジスタを6個使用しており、「スーパー」というのは、スーパーヘテロダイン方式という受信回路の方式名である。トランジスタラジオは、小さなボディに部品が一杯詰め込んであり、とても自作できる代物とは思えなかったのを憶えている。
部品箱の中に、ラジオ用の高周波コイルが転がっているのは知っていたが、ずっとそのままにしていた。ところが、あるWebの記事を見た時に、高周波コイルのコアの色により用途が分かるという解説があり、3個(赤、白、黒の3種類)あった高周波コイルを使えば、トランジスタラジオを作ることが可能であると気が付いた。ただ、問題は高周波コイルが、今でも使用可能であるかどうかである。テスターでチェックすると案の定、3個の内、2個が導通が無い。ダメもとで、高周波コイルを分解したところ、2個とも端子のところで断線していた。断線しているところをハンダ付けし直すと見事に復活した(本当のところは動作するまで分からない)。あと、手元に無いのは、バーアンテナとバリコンである。手持ちのラジオを分解して手に入れることを考えたが、思い止まり、通販で購入することした。
というわけで、高一スーパー・トランジスタラジオを作ってみた。回路は電子うさぎさんの記事を参考にしている。「高一」(高周波一段増幅)のところには、古典的なFETである2SK19を使用、局発(局部発振回路)・周波数変換には、これも古典的な2SC372を使用。中間周波数増幅には、電子工作定番の2SC1815を使用した。低周波増幅回路には別稿にて紹介したSEPPのトランジスタ増幅回路を使用している。
利用してみた感想であるが、バーアンテナでは、地元のNHK第一、第二の2局は受信可能、民放局は雑音レベル以下で受信不可であった。特に感じたのは、都市環境の雑音が酷く、AM波だとかなり電波が強くないと受信できないということである。外部アンテナを繋いでみると雑音一色になって、放送波に同調できなくなってしまう。その昔、アンテナ線を長く伸ばして、夜間に微かに聞こえる遠くの放送局を受信して楽しんだ中波帯は(都市環境では)ダメになってしまったと感じる。残念ながらFM化もやむを得ないのかなぁ。
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