山田洋二監督の藤沢周平三部作以降、藤沢文学ブームの時代劇業界(そんな業界があればだが)。私は山田監督以外の監督の作品を見るのは、今度の平山秀幸監督作品が初めてになる。
■ストーリー(Wikipediaから引用)
海坂藩の中級武士・兼見三左ェ門(豊川悦司)は、能楽の観衆たる藩士たちの目前で藩主・右京太夫の側室・連子を刺殺した。生活が贅を極め、それを諌めた忠臣を切腹に追い込んだ毒婦ながら、彼女を殺めた兼見は打ち首が相応と思われただけに、中老・津田(岸辺一徳)から1年の閉門と降格の罰のみを申し渡された兼見は驚く。しかし、それが津田の藩主への嘆願ゆえと聞かされた彼は、温情に背かず刑期を過ごすのだった。姪の里尾(池脇千鶴)のみを世話係として傍におき、禄なき暮らしを続ける兼見をよそに、藩主の政策は身勝手を極め、農民たちは重すぎる年貢に直訴を試みんとしていた。それを止めた藩主の従弟である隼人正(吉川晃司)は、次第に藩主への不信の念を深めていった。彼が謀反をたくらんでいるとの噂を聞きつけた津田は、ある日秘剣を会得するという兼見を呼び、密命を託すのだった。
ちなみにタイトルの"必死剣 鳥刺し"とは、必ず相手を仕留めるという必勝不敗の剣であるものの、その剣を使う時に剣の遣い手は半ば死んでいるという意味で「必死剣」と呼ぶのである。
いやー、よかったですね。
山田監督作品と比べると、剣戟シーンはかなりリアル。ある意味スプラッターというか…。迫力を出すために、DGではなく昔ながらの血糊を使って撮影したのだとか。三左ェ門が冒頭に側室を殺害した理由も、彼に語らせず、あえて回想シーンを繰り返し使っていたのも、主人公の無口で朴訥な性格を表しているのに効果的。
また、同じ回想シーンで、彼が対決する隼人正に対する秘かな共感を描いていて、これが尊敬すべき相手を主の命で殺さなくてはならない主人公の立場の悲しさを際立たせる。
そのうえで、あえて注文をつけるとするなら剣戟シーンについて。せっかく映画館の大画面なのだから、ワイドな画面でないと迫力が表せないような撮り方をしてもよかったのでは。これは黒猫さんとも共通の印象。
また、池脇千鶴さんは…、どうなのかな、私にとっては主人公がついアヤマチを犯してしまうほど魅力あるようには思えなかったのですが。かわいいのだけれどちょっと幼すぎて、かつて人妻であったという魅力はないような気がする。好みの問題かもしれないけれど。
で、当然ながら鑑賞中は出てきた着物を凝視。
まず気になったのはトヨエツの家で着流し姿のときの帯の結び方、帯の両端を、まいた部分に挟んだだけのもの。あれは片ばさみとかいうのだろうか?
私は初めて見たのだけれど、黒猫さんによると「鬼平」もしていた結び方だとか。結び目がなく当たらないので、寝るときに使う結び方なのかも。
主人公の義理の命である池脇千鶴の普段着は、藍の絣や紅花染め?と思うようなマルチカラーの織りの着物が中心。帯は、織ではないみたい。木綿(?)を縫ったような帯を普段も出かけるときにも締めていて、家事をするときには絣の前掛けを締める。絣が久米島っぽいのが気になった。もしかして米琉というものか?
トヨエツの妻である戸田奈穂と、池脇千鶴とトヨエツの三人でピクニックのように外出したときには、ちゃんと格のある武士の妻姿。筥迫と懐剣がポイント。
戸田菜穂と池脇千鶴、二人とも寝巻き姿が出てきたのだけれど、前者はグレー一色、後者は白地に青?の格子と、年齢や性格の差を同じ寝巻きというアイテムの色柄で現していたのも興味深かったなあ。(写真は残念ながらなし)
藤沢周平ブームと書いたが、彼の作品の主人公は組織の中の自分というものを問われる達場にある。そんな作品がブームになっているというのは、日本という国が成熟期にあるということも大きく影響しているように思う。一右肩上がりの成長期では、目の前にやることは山積みで、あえて働く意味なんぞを考えなくてもいいけれど、成長の曲がり角にあるときは、なぜ自分がこの組織で働くのかを問わずにいられない状況になる。
宮仕えの悲しさを描く藤沢文学は、そんな時代のビジネスパーソンの気持ちを反映しているのだろう。
この日、私は夏絣を着用。帯はお太鼓に海老の描かれた絽塩瀬。夏の着物はそんなに持っていない分、悩む幅が少ない…。
黒猫さんは、この日の夜、繰り広げられる隅田川花火にあわせて花火柄の帯。やっぱり銀座には黒猫さんみたいな華やかなもの着たいっす。
goo ブログ
■ストーリー(Wikipediaから引用)
海坂藩の中級武士・兼見三左ェ門(豊川悦司)は、能楽の観衆たる藩士たちの目前で藩主・右京太夫の側室・連子を刺殺した。生活が贅を極め、それを諌めた忠臣を切腹に追い込んだ毒婦ながら、彼女を殺めた兼見は打ち首が相応と思われただけに、中老・津田(岸辺一徳)から1年の閉門と降格の罰のみを申し渡された兼見は驚く。しかし、それが津田の藩主への嘆願ゆえと聞かされた彼は、温情に背かず刑期を過ごすのだった。姪の里尾(池脇千鶴)のみを世話係として傍におき、禄なき暮らしを続ける兼見をよそに、藩主の政策は身勝手を極め、農民たちは重すぎる年貢に直訴を試みんとしていた。それを止めた藩主の従弟である隼人正(吉川晃司)は、次第に藩主への不信の念を深めていった。彼が謀反をたくらんでいるとの噂を聞きつけた津田は、ある日秘剣を会得するという兼見を呼び、密命を託すのだった。
ちなみにタイトルの"必死剣 鳥刺し"とは、必ず相手を仕留めるという必勝不敗の剣であるものの、その剣を使う時に剣の遣い手は半ば死んでいるという意味で「必死剣」と呼ぶのである。
いやー、よかったですね。
山田監督作品と比べると、剣戟シーンはかなりリアル。ある意味スプラッターというか…。迫力を出すために、DGではなく昔ながらの血糊を使って撮影したのだとか。三左ェ門が冒頭に側室を殺害した理由も、彼に語らせず、あえて回想シーンを繰り返し使っていたのも、主人公の無口で朴訥な性格を表しているのに効果的。
また、同じ回想シーンで、彼が対決する隼人正に対する秘かな共感を描いていて、これが尊敬すべき相手を主の命で殺さなくてはならない主人公の立場の悲しさを際立たせる。
そのうえで、あえて注文をつけるとするなら剣戟シーンについて。せっかく映画館の大画面なのだから、ワイドな画面でないと迫力が表せないような撮り方をしてもよかったのでは。これは黒猫さんとも共通の印象。
また、池脇千鶴さんは…、どうなのかな、私にとっては主人公がついアヤマチを犯してしまうほど魅力あるようには思えなかったのですが。かわいいのだけれどちょっと幼すぎて、かつて人妻であったという魅力はないような気がする。好みの問題かもしれないけれど。
で、当然ながら鑑賞中は出てきた着物を凝視。
まず気になったのはトヨエツの家で着流し姿のときの帯の結び方、帯の両端を、まいた部分に挟んだだけのもの。あれは片ばさみとかいうのだろうか?
私は初めて見たのだけれど、黒猫さんによると「鬼平」もしていた結び方だとか。結び目がなく当たらないので、寝るときに使う結び方なのかも。
主人公の義理の命である池脇千鶴の普段着は、藍の絣や紅花染め?と思うようなマルチカラーの織りの着物が中心。帯は、織ではないみたい。木綿(?)を縫ったような帯を普段も出かけるときにも締めていて、家事をするときには絣の前掛けを締める。絣が久米島っぽいのが気になった。もしかして米琉というものか?
トヨエツの妻である戸田奈穂と、池脇千鶴とトヨエツの三人でピクニックのように外出したときには、ちゃんと格のある武士の妻姿。筥迫と懐剣がポイント。
戸田菜穂と池脇千鶴、二人とも寝巻き姿が出てきたのだけれど、前者はグレー一色、後者は白地に青?の格子と、年齢や性格の差を同じ寝巻きというアイテムの色柄で現していたのも興味深かったなあ。(写真は残念ながらなし)
藤沢周平ブームと書いたが、彼の作品の主人公は組織の中の自分というものを問われる達場にある。そんな作品がブームになっているというのは、日本という国が成熟期にあるということも大きく影響しているように思う。一右肩上がりの成長期では、目の前にやることは山積みで、あえて働く意味なんぞを考えなくてもいいけれど、成長の曲がり角にあるときは、なぜ自分がこの組織で働くのかを問わずにいられない状況になる。
宮仕えの悲しさを描く藤沢文学は、そんな時代のビジネスパーソンの気持ちを反映しているのだろう。
この日、私は夏絣を着用。帯はお太鼓に海老の描かれた絽塩瀬。夏の着物はそんなに持っていない分、悩む幅が少ない…。
黒猫さんは、この日の夜、繰り広げられる隅田川花火にあわせて花火柄の帯。やっぱり銀座には黒猫さんみたいな華やかなもの着たいっす。
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着物で銀座はやっぱり楽しいですね~。
夏絣素敵でした。海老柄の帯も撮れば良かった~と後から後悔。
是非またご一緒させてください。
着物で銀座、こちらこそまたよろしくお願いします。