世の中の流れは、規制緩和の方向に動いていると思ったのは錯覚だったようです。 構造計算書偽装事件(姉歯事件)を契機にして、2007年6月20日から建築確認申請の手続きが変更されます。
偽装や違反など無縁の多くの設計者(もちろん、私も)は、知恵を絞って、クライアントにとって最良の建築を提供すべく励んでいます。 しかし、今回の手続き変更によって構造的な自由度はかなり制約され、規格品のような建築ばかりになるのではと予想さ れます。 そして、確認申請の審査期間が大幅に長くなります。 また、書類の一部変更や訂正も認めず、最初から提出しなおし、再び審査を受けなければなりません。
安全性が確保されるのはクライアントにとっての最大の利益です。 このことにより、審査上の安全性は向上するかもしれません。 しかし、不運にして姉○建築士のような意図をもって関われば、防ぎようがありません。 先に書いたように、多くの設計者は建築士として誇りをもって建築に関わっています。 そのような多くの設計者にとって今回の手続きの変更は大きな負担となるばかりではなく、結局それはクライアントに とって、経済的、時間、etc・・・さまざまな不利益となり跳ね返ってきます。
以下は、日本建築士会連合会 行政報道掲示板 「平成19年6月4日 国土交通省住宅局建築指導課からのお知らせ」より抜粋しました。 ご興味がある方はどうぞお読みください。
2007年6月20日から建築確認申請の手続きが変わります!
一昨年11月に発覚した構造計算書偽装事件(姉歯事件)を契機に、こうした問題の再発を防止 するため、昨年の通常国会及び臨時国会において、建築基準法・建築士法等が改正されたとこ ろであります。このうち、建築確認・検査の厳格化、民間確認検査機関に対する指導監督の強化、建築士等に対する罰則の強化など一部の改正事項については、本年6月20日から施行され ることとなっており、特に建築確認・検査の厳格化に伴う下記の改正事項については、建築主 として十分に留意しておく必要があります。
(1) 構造計算適合性判定制度の導入 構造計算書の偽装等を防止するため、高さ20mを超える鉄筋コンクリート造の建築物など 一定の高さ以上等の建築物については、第三者機関による構造審査(ピアチェック)が義務付 けられます。
(2) 構造計算適合性判定制度の導入に伴い、建築確認の審査期間が延長されます。(21日間→35日間、ただし、詳細な構造審査を要する場合には最大で70日間)
(3) 建築確認や中間・完了検査に関する指針が告示で定められ、建築主事や民間機関の確認検査員はこれに従って適正に業務を行うことになります。 従来、設計図書に関係法令に適合しない箇所や不整合な箇所がある場合には、建築主事等が申請者にその旨を連絡し、補正させた上で確認するという慣行がみられましたが、こうした慣行が偽装問題等の一因となっていたことを踏まえ、指針においては、誤記や記載漏れなどを除き 、図書の差替えや訂正がある場合には、再申請を求めることとしています。したがって、申請 前に設計図書のチェックを十分に行うことは当然のこと、あらかじめ建築計画の内容を確定し た上で、確認申請を行う必要があります。
(4) 3階建て以上の共同住宅については、中間検査が義務付けられます。
(5) 確認申請に係る建築設計に複数の設計者が関わっている場合には、責任を明確にするため 、確認申請書の設計者欄に全員の氏名等を記載することとします。
日本建築士会連合会 行政報道掲示板 「平成19年6月4日 国土交通省住宅局建築指導課からのお知らせ」より抜粋
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