蓬 窓 閑 話

「休みのない海」を改題。初心に帰れで、
10年ほど前、gooブログを始めたときのタイトル。
蓬屋をもじったもの。

 山

2017年11月05日 | 言葉の散歩道
     
               リルケ

  富嶽三十六景といい、富嶽百景という。
  画家はただひたすら一つの山を描いた。
  描いてはやめ、やめては描き、
  三十六回、百回、描いたのだ。

  彼はこの不思議な火山に対(むか)った。
  幸福にあふれ、さまざまの試みを計量し、ふたたび途方にくれて。
  モティーフの山は
  常住あらゆる美をあらわした。

  日々のかがやきに姿をかえ、
  たぐいない夜ごとのころもを
  何の惜しげもなくぬぎすて、
  一瞬に、一つのすぐれた画面を反故(ほご)にし、
  形から形へ、無限の変化をならべてみせた。
  非情。広漠。無心。思無邪。

  そして不意に、山は
  奇蹟のように叡智をひらめかし、
  家の軒端や樹間や波まから、
  ありとあらゆる間隙から、秀麗に、そびえていた。
       
         (大山定一訳)

  葛飾北斎の絵を、ライナー・マリア・リルケが詩にしていたなんて!

東都浅草本願寺

本所立川

武陽佃嶌(佃島がこんなに小さかったとは。今は子の家族が住む)

五百らかんさざゐ堂(期日前投票で載せた五百羅漢寺)

(本物からの写真ではなく、版画屋のネットより)

← ツイートはプロフ窓下の鳩マーク