『ら抜きの殺意』 永井 愛
脚本なんてものは、高校時代にシェイクスピアを読んだきりである。
数年まえに舞台で観て、とても面白かったので読んでみることに。
第一回鶴屋南北賞受賞。
面白かった、にもいろいろあるが、興味を引かれたという意味のほかに、思わずクスリと笑ってしまう場面がいくつかあった。
一時流行った、今も流行っている? “……でぇ”とか、“……って言うかぁ”の使い方の絶妙さ。きちんと内容を伝えられない若いもんの話しかたなどが、生き生きと表現されている。
小さな会社に夜だけバイトできた中年の男は、その日本語の乱れが気になってしかたがない。
見れる、かけれる、出れる、やめさせれるなどは、本来、見られる、かけられる、出られる、やめさせられる、である。
それに反して、やたら丁寧な言葉もある。送らさせていただきます、だの、送らせていただきます、だのも、本来「お送りいたします」でいい。
コンビニやファーストフード店でのマニュアル言葉など丁寧過ぎる。
とくにら抜き言葉の気になる中年男と、きちんとした言葉を使うその男に上から見下ろされているみたいだ、と反発する若い男との攻防が始まる。
また、社長夫人は、女言葉がある国は日本だけだと言い、男のような言葉しか使わない。男女は女男、夫妻は妻夫と言えと主張する。なるほど。
東京弁をきれいな言葉だと素直に受け取る地方と、気取っていると受け取る地方がある。とくに関西系に後者が多い。
相変わらず私見を述べてしまったが、この本は、笑えること間違いなし。
いや、なんかおかしい……笑わさせられること間違いなし、と言えば落ち着くかな。
別ブログからの再掲。2013年06月12日 | 読書
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