アユと凛がお空の人になってから
夜は特に
空を見上げる事が多くなった。
一人でトボトボ歩く時も
空にお月様が出ていたら全然怖くもなくて
心 温かく帰る事ができたり
時々、用もないのに空を見るためだけに夜、外に出る。
それで心穏やかに過ごせる訳でもないけど
ほんの少しのおまじないの様なモノ
毎晩、眠れなくてザワザワして涙が止められなかった日を思い出す。
寝るまで涙が出て
朝、目がさめると涙が出る。
多分、寝ている間も涙が出てた…
今は悲しい話しを聴かされても涙が出ない。
涙の栓は元に戻った様で、多分壊れたまんま…
何かがあると溢れてくる。
溢れないように気をつけてないと
不意をついてしまう時があるから…
何に気をつけていればいいのか
わかりませんけどね。
くーちゃんがバイト先で
「何人兄弟?」と聞かれて
「兄がいる」
とだけ答えた。
と言っていて
なんだか複雑な気分になった。
「アユの事聞かれたら答えに困るから」
と…
確かに
私でさえ
「子どもは三人」と答えてその後の質問に困る事があって
「震災でなくなった」と重苦しい話しは
しない…できない場面もたくさんあるから…
でも
「子どもは三人」
といつも答える事にしている。
ない者にしたくなくて…
くーちゃんにもいつか
「兄弟は三人」と
いつでも、どこでも言える人でいてもらいたい。
と思う
アユと凛をない者にしてもらいたくないから…
アユと凛はお月様に引っ越しただけなんだもの…
「月に引っ越したんです」
そう答えればいいかな…