心のドロ水

そして

今日からすぐいつもの生活に戻れるわけでもなく

むしゃくしゃした気分のまま

心のドロ水……

ドロ水

悲しみはドロ水の様なものだ

いつも心の中に存在していて

刺激を受けたり、揺らされたり、かき回されると

澄んだ水まで濁ってしまって

ドロが沈むまで時間がかかる。

悲しみの心模様とはこんな感じ

今、今年も3月11日を過ごして

心かき乱れて

濁ったドロ水になっている。

普通の会話がイヤだ

テレビを見て笑っているのがイヤだ

陽気な音楽がイヤだ

日曜日はラジオを聴いているけど

その中の笑いながらの会話に耐えられなくて消した。

あの時

テレビも見たくなかったし

お気楽な会話にイライラして

家族の会話に入らなかった。

それがまた……

毎年の事なんだけど

めんどくさい自分なんだけど

なんとも仕方ない

11年前

今頃、アユと凛を心配しながら

ご飯も食べた

お布団の暖かさに埋もれて寝た

変わらずいつもの家で生活できていた。

そんな自分に毎年

罪の意識を感じる。

テレビの中で

そのテレビ見て笑ってる人を見て

「バカじゃない」

と言いながら

バカは自分だ……と毎年思う

震災 11年

震災から11年

あちこちの安置所を周り

沢山の遺体の写真を見てきた。

その中に我が子がいないかと探し回った。

現代で信じられないほどの人数の遺体の写真

その何人かの顔が

今も覚えていて浮かんでくる事があります。

皆さん

家族の元に帰れたんだろうか？

安らかだろうか…

家族の元に帰れていますように…

静かに安らかてあります様に

祈ります。

女川で過ごした。

今日は一日女川で過ごしました。

11年たった。

今は夜だから

11年前の今頃はアユと凛はもうウミノナカ……

そんな事を思うと苦しいから

もう言わない。

この前からテレビ局のカメラが付いていました。

今日も

今夜のニュースに出してもらいました。

ホントに良いニュースにしてくれる

いつも

アユと凛と私

いつも満足以上にしてくれて感謝です。

そんな3月11日

久しぶりの女川は

良いお天気

ちょっと苦しかった……心が

震災番組

同じく子どもをなくしたママは

この時期、震災番組が続いてテレビがイヤだ

と呟いた。

私は普段「被災地だった場所」にはいないので

女川の様子や石巻の様子や気仙沼や……

色々と気になる。

この時期、震災を扱われなくなったら中途半端に踏み台にして

捨てられた気分になって

もっとイヤな気分になりそうだから

番組はあまり見ないけどちゃんと取り上げてほしいと思う。

だって

どうせ3月11日だけでしょ

3月12日になったら「しんさい」の「し」の字もなくなるよ。

扱われ方が雑だったら許せないけど

ちゃんと丁寧な取材をして

間違いない言葉で伝えてくれるなら

私はいい

でも

「サンテンイチイチ」

って言ってもらいたくない。

この日、大切な人をなくした人達にとっては

「震災があった日」ではなく

「命日」なのだから

「命日」の事

「サンテンイチイチ」とか言わないでしょ

「サンガツジュウイチニチ」だよ。

嫌だという事

朝ドラの震災場面を見たら涙が流れた。

でも

色々違う

もっと緊迫していて

もっと灰色で

もっと顔色がちがってて

もっと……

「そうじゃないんだよ」

と思いながら見ていた。

それに近い感じに表現されるのもいやだけど

それとかけ離れて表現されるのも嫌だ

まだまだ

ドラマで表現されるのは

嫌だと言うことですね。