やまがた好日抄ーⅡ

低く暮らし、高く想ふ! 
山形の魅力を、日々の関心事を、気ままに…。

伝説2

2021-12-23 | 音楽
グレン・グールドの演奏にたまげたのは、多分に漏れず、バッハでした。

昨今のやうなピリオドスタイルが定着する前、バッハの鍵盤作品の演奏は遅いテンポの重厚な演奏が主流でした。
まるで、それがバッハの正当な姿かのやうにー。

それに風穴を開けたのが、グレン・グールドでした。
たしか、彼のバッハを最初に聴いたのは、インヴェンションとシンフォニアでした。
なんと軽やかタッチ! なんと聴いてゐて楽しいバッハ!

そののち、彼のバッハ録音はすべて収集しました。
その中の最高峰にして、至宝ともいへる『ゴルドベルク変奏曲』の録音がこれです。

[HD] Bach's Goldberg Variations [Glenn Gould, 1981 record] (BWV 988)

Record from 1981, you can check the so different 1955 recording versio...

youtube#video

 


よくはわかりませんが、録音と同時の動画でせう。
周知のやうに、グレン・グールドは演奏活動の絶頂期にコンサートでの演奏を止め、若くして録音活動やTV出演等だけの演奏家になります。
動画にあるやうに、低い椅子に身をかがめ、日本のヤマハのピアノで二度目のゴールドベルク変奏曲を弾いてゐます。
彼の録音にままありますが、低く歌う声やうなり声なんかも入ってしまってゐます。
(さすがに、ディレクターはやめてくれー!と云ったらしいですが、聞き入れることはなかったやうです。嫌がる方も多いやうですが、小生は決して嫌ひではなく、結果一体となったバッハは好きです。さすがに、モーツァルトでは気にはなりますがー。)

24歳でゴルドベルク変奏曲で衝撃的なデビュゥを果たし、50歳でゴルドベルク変奏曲の再録音を終えて、人生50年で終はる。
この、ほぼ遺作の録音を幾度聴いたかわかりません。
まう、彼の死から40年ほどが経過してゐるのですが、この録音には彼が志向したバッハ演奏のすべてではないにしろ、ひとつの到達点が刻み込まれてゐるやうに思ひます。
そして、これ以降ももちろん色々な演奏家が技巧を駆使してゴルドベルク変奏曲を演奏し録音してゐますが、少なくとも小生は、この録音を凌駕したものには出逢っておりません。