社長様、かく語り記

東北のとある社長の名言・行動から、人としてあるべき姿を探していきたいと思います。

怪獣育成のコツ 後編の序…(全四話③)

2013-09-13 17:03:22 | 日記
色々書いているウチに、
「怪獣」とは育成された方の生き写しであるようにも思えてまいりました…

結局「怪獣」へと変貌を遂げてしまう方と云うのは、親や先輩・上司のやり方に憧れて真似ているのでしょうかねぇ~

わたくし如きは「怪獣」育成エリートコースから脱落したのでありんす…

まいっか



今回は社長様の作業指導の実例を紹介しつつ、コツの検証まで行なえたらいいなぁと思っていますが、自信無し…


実例その1
『検査機器での抵抗値測定作業』

その作業は10年以上工場内で使用されている製造機器の端子接触面の導通試験でありました。

しかし測定部位には汚れが堆積し…抵抗値を正しい値で計測する為にはテスターが計測中ずっと右腕で太めの万年筆みたいな測定子を握りしめながら上から押さえ付けておく必要がありました。
(左手は絶えずテスターの操作をします。)

測定時間は、おおよそ20秒×40回で一台完了、これが100台位あります。

汚れが酷くて接触が特に悪いモノでは男性従業員でも汗をかき、手首痛&肘痛が起きる作業でしたので、正直 皆がやりたがらない作業でした。
(わたくしの右腕には今でも小指から中指まで痺れが残っています。)

ですが、社長様から見るとごく単純作業でありますので、
「お前がやらずに女性従業員にやらせろ!」
と、度々命ぜられておりました。

それでも上記の理由から、わたくしは
「女性のパート従業員に任せてしまう事は体力的に無理です。」
と、難色を示し続けました。

ある日、業を煮やした社長様が現場に乗り込んできて、わたくしから作業を奪い取って検査作業を始めて見せてくれました。

そして次のようなお言葉を頂戴したのでした…
(太めの万年筆的な測定子の上に1kgの重しを乗せて見せながら…)

「ほら見ろっ!こうすれば、腕に力を入れなくていいぞ!」

と、とても素晴らしい作業方法を思い付き、鼻の穴を膨らまして喜んでいます。

わたくしの心の中の声
「じゃあ それ一日中やってみてから再度言って下さ~い。

1kgある万年筆を1時間に100回位 上げ下げしますので、1日だと600回以上も上げ下げする事になります。

また、検査中は測定子を微妙に前後左右へと傾けて、常に測定箇所が良好な接触状態を保つ必要があるのです。

重しがあると微妙な傾けが困難…と云うか、押し付けつつ傾ける余計な力が必要となりました。

上から10㎏程度の静荷重をかけたとしても、全面接触は不可能な状態なのです。

検査対象が新品の場合、上から軽く押さえるだけで検査が可能ですので、汚れによる接触不良である事は確実です。

この辺も社長様には何度も説明しましたが、「豚に説法」全く聞く耳はございません。

更に…この重しを倒してしまえば、製品自体を破壊する事が可能です。
【製品検査と称し、破壊に及ぶ…】
このような馬鹿げた行為はありえませんから、一考の余地もございません。
(まぁ自分で破壊して、客先から修理費用をせしめて喜ぶ輩ですから問題ないか…)

普通であれば、即座に却下なんですが、自信満々意気揚々とされている社長様に対しては「そうですね」と、返す事しか出来ません。

もし駄目出しすれば、
「お前は反抗的だ!部下は上司の言葉に逆らうな!」
と、馬鹿上司が困った時に発する言葉を浴びせられるのが目に見えております、面倒臭い人間であります…。

まぁこんな阿保な作業を継続して行えば、手首と肘に腱鞘炎を生じてしまい再起不能となる事は確実ですから、こんな愚策なんぞ試す必要もなく、誰にもやらせはしませんでした。

阿保老人の戯言に付き合ってる暇などございません。


しかしその後、社長様のご指名で有能なるパートさんを検査作業へ投入する事が決まり、経緯を話した上で担当してもらいました。
(案の定…とても嫌なお顔をなされておりました…

その後、何度か汗ダクになりつつ頑張って頂いたのですが、
「なぜパートで私だけこんな大変な作業をしなければならぬのか?…」
と、退職してしまいました。

頭と手先がとても器用な方だったので、わたくしは残念でなりませんでした…
ヤッパリね…

度々書いてきた事ですが、同じ待遇の従業員に不公平感を与えてはいけません。

つまらない反抗心を招くだけですから、まぁ周りも認めるようなツライ作業をさせるならば、技能手当てを支給すべきでしたね~おバカちゃん


どんなに簡単な作業でも、1日や2日体験しただけでは何も見えません。

まして、営業上がりのお偉いさん方の
「作業なんざ簡単なもんじゃねぇか!」
と、云う思い込みの強い方々には、どの様な説明方法を駆使してもご理解は頂けませんので要注意ですね。

単純作業ほど奥底の闇は深いモノと心得置き願います…

そんな社長様には、パソコンのマウスに1㎏の重しを乗せてネットサーフィンする事をお勧め致しましょう。
(ネットサーフィン←死語?)


実例そ2
『金属の焼き付き汚れ除去の作業』

このユニットは汚れ部分へのアクセススペースが狭く、直径が2cmに満たない金属ブラシを電動回転工具に取り付けての磨き作業でした。

ブラシの線径がφ0.1㎜だったので、作業中に切れて飛んできては作業服に刺さり、動く度にチクチクします…

ステンレス線なのでかなり痛くて、それが1日に数本刺さりました…

作業後に、作業服を脱いでピンセットで抜き取るのですが、全部は発見出来ず日々チクチクが増えていきました。
(日々遠慮なくチクチクとくるので、ひと月も続くと気が滅入りました…)

そんなある日、この作業をたったの1日体験なさった社長様が、こう一言。

「まぁ痛いのなんか我慢すりゃ済むからな!」

さすが!
面倒な事には手を出さずに、他人の作業にケチばかりつけているガサツな人間は言う事が違います。

毎日の繰り返し作業の大変さを知らない無責任な発言は、従業員からの信頼を失うどころか軽蔑の対象となっていきます。

嘘でもこの様に言うべきではなかろうか?

「辛い作業で申し訳ないな、俺も考えておくから何か良い方法考えておいてくれ。
必要な工具は購入していいから。」

嘘でもこのように言うだけで、社長様のご慈悲に触れて涙し、明日も頑張ろうなんて気になり、仮に社長様が何も考え付かなくとも、最低限 嫌われる所まではいかないんですがね~。
(まぁいつもこうだと狼少年か…)


この件は、さすがにウンザリしてしまい作業方法をガラリと変えて無事に解決したのですが、とても男性的な作業方法となり、わたくし以外の方には指導すら出来なくなってしまったので、まぁなんともイマイチな結果となったのでした…

ま、しょうがねっか

さて…まとめのないまま長くなってしまったので、今回はこれにて失礼致します…