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気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

エチュード  by  マイク・オールドフィールド

2010年10月26日 | 音楽全般

この曲は、映画「キリング・フィールド」のテーマ曲として使われた曲で、「チューブラベルズ」「ムーンライト・シャドウ」と並んで、マイクの曲の中では彼のファンではない人にも知られている曲のひとつだろう。

映画そのものがまず名作だったが、マイクのこのテーマソングがまた素晴らしかった。

映画を見たのはもう随分前のことになるので、内容の方は細かい点は忘れてしまっている。

だが、この楽曲は、一度聴いただけでも忘れられないくらいの素晴らしさがある上に、実際に私はマイクのファンとしてCDで持ってるので、心が疲れた時などにちょくちょく聴いている。
なので、私の心の片隅に、いつもこの曲はある。


この「エチュード」という曲は、元々は「アルハンブラの想い出」というスタンダードナンバーをマイクがマイク流にアレンジした楽曲だ。

「アルハンブラの想い出」といえば、何といっても、アンドレス・セゴビアの奏でるクラシックギターのバージョンがあまりにも有名だ。

セゴビアは「クラシックギター奏法の父」とも呼ばれている音楽家で、「アルハンブラの想い出」でのトレモロ奏法は、聴き手に深い感動を与え、クラシックギターを志す人の多くがチャレンジする楽曲なのだが、情けないことに私は、とても弾けない(泣)。


「アルハンブラの想い出」も「エチュード」も基本的には同じ曲だが、表現の解釈が違うと、ここまで別の曲のように違いが出るという、分かりやすい例だ。


ちなみに私は、セゴビアのアルバムも持っており、そのアルバムの中に「アルハンブラの想い出」は収録されている。


知名度ではセゴビアの「アルハンブラの想い出」のほうがあるかもしれないが、マイクの「エチュード」は、その素晴らしさにおいて、セゴビアの「アルハンブラの想い出」に引けは取らない!と私は個人的に太鼓判を押したい。

もしも、両方聴き比べられる環境にある方は、セゴビアの「アルハンブラの想い出」とマイク・オールドフィールドの「エチュード」を聴きくらべてみてほしい。

もちろん、セゴビア以外でもクラシックギターでこの曲を演奏してる人は世界中にたくさんいるので、それらの人の「アルハンブラの想い出」演奏でもいいけれど。

どっちが良い・・とか、どっちが上・・とか、そんなレベルではない。
そんな短絡的な比較で片づけてはほしくない。

どちらのバージョンも甲乙つけがたく、どちらのバージョンにも感動してしまうのではないだろうか。

同じメロディラインでありながら、全く別の曲のように聴こえる。

普通こういう場合、先輩格のセゴビアの「アルハンブラ」があまりも素晴らしすぎるから、後発のマイクのバージョンはセゴビアと比較され、たとえ素晴らしくてもやや低めの評価を受けがちだ。

だが、そこはさすが我らがマイク!

セゴビアと全く違った切り口で、セゴビアにひけをとらない素晴らしいバージョンに仕上げている。
独特で、少し不思議なムードで曲は始まるが、やがてギターが入ってくると、その音色といい、いかにもマイクっぽくなって広がってゆく。


ネット上で見つけた情報によると、昔ある女性パーソナリティが、自身の持つラジオ番組でマイクの「エチュード」をかけた時、曲が流れ終わった後、本番中でありながら言葉を発することができなくなったそうだ。
マイクの「エチュード」に涙してしまって。

そう、それほど、美しくも切ないサウンドになっている。


マイクといえば、私にとっては、サウンドメイキングという観点において、神にも等しい人。
私が敬愛してやまない音楽家である。

彼の初期の「手作りで音を重ねてアルバムを作ってた時代」のアルバムに収録された楽曲は、特に。

タイプは違うが、マイク・オールドフィールドは、ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンや、後期のビートルズに勝るとも劣らないサウンドコンポーザーであり、その道の天才だと私は思っている。



そのマイクの才能は、この「エチュード」のようなカバー曲にも十分に発揮されている。


この曲が持つ本来の美しいメロディラインは、マイクの独特のセンスのアレンジで、よりその切なさや美しさが際立ち、まるで地上からゆっくり宙に立ち昇り、やがてそのままゆっくりと空に舞い上がって行き、世界を包み込むかのようでもある。

そして・・

その切なさや美しさは、優しさを伴って、やがて空から地上に霧雨のように舞い落ちてくるかのようでもある。



ちなみに、私がマイクを好きになったのは「オマドーン」がきっかけだった。
気が遠くなるくらい手作りで音を重ねて、壮大で圧倒的なサウンドドラマを作っていた。
彼の初期のアルバム「チューブラベルズ」「ハージェストリリッジ」「オマドーン」は巷では「3部作」と言われているが、その頃の彼のサウンドは、手作り感覚のぬくもりがあった。

だが、彼のサウンドはその後だんだんそういう方向から離れていってしまい、私はけっこう寂しい思いをしていた。

でも、たまに垣間見せる、ピースフルな世界観を持つサウンドや楽曲は、その都度私の心にしみ込んできた。

3部作以後では、そのいい例が「QE2」に収められた「ケルト」であり、「ボイジャー」に収録された「ケルティック・レイン」であり、「アイランズ」に入っていた数曲、そのほかにも色々あるが、この「エチュード」もまぎれもなくその中の1曲だ。


マイク・オールドフィールドの「エチュード」。
映画「キリングフィールド」のテーマソング。
珠玉の名曲にして、名編曲。 名バージョン。


やはり・・・マイクは、私にとっては、尊敬し、また憧れもする音楽家である。

こんなサウンドを生みだすんだもの。


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