ブログ「時間の外」のシリーズ企画、「ソノシート紹介シリーズ」、その24。
「大怪獣復刻ソノシート」シリーズ紹介としては、もう9冊目。「大怪獣復刻ソノシート」ボックスは、全10冊復刻されてパッケージされていたのだが、もうこれで9作目だ。
次回の「ソノシート紹介シリーズ」は「大怪獣復刻ソノシート」シリーズの最終回になる。
今回紹介するのは、「大魔神逆襲」である。
ウィキペディアによると、「大魔神」シリーズは全3作あり、今となっては驚くなかれ、3作とも1966年に制作された。
第1作目の「大魔神」は、1966年4月公開。
第2作目の「大魔神 怒る」は、1966年8月公開。
そしてこの第3作目「大魔神逆襲」は、1966年12月公開。
一年に3作公開とは、映画としてはなんたるペース。異例のペースにも思える。
それだけ、このシリーズには、制作スタッフのあふれるようなエネルギーやパワーが詰まっていたのだろう。
実際、今このシリーズを見ても、良くできている作品である。
今見ても十分に面白い。
特撮映画と時代劇映画のドッキングぶりが、素晴らしい。
時代劇として見ても本格的で、楽しめる出来になっている。
私は、この大魔神シリーズが大好きだった。でも3作とも1966年だったとは・・・。
制作されたのはたった1年だけなのに、ここまで記憶に残っているとは・・。
この大魔神、もちろん中に人間が入っているのだが、特にその顔が良くできており、目などは迫力満点だった。
あの存在感やインパクトは、その目のせいかもしれない。 中に入っている人間の目の生々しさが、そのままうまく活かされている点が、ポイントだろう。着ぐるみの中に入っている役者の地の姿が見えてしまうのは、本当は着ぐるみ作品としてはチープになってしまいそうなもんだが、この大魔神だけは例外。逆にそれが大成功している。
なにせ、大魔神の目は、人間の本物の目だけに、リアルなのだ。
特撮シリーズには、ゴジラ、ガメラ、などシリーズ化されて大人気を博した作品があるが、それらはどれも最近リメークされている。
私は、この「大魔神」という素材も、リメークするに足るキャラクターだと思う。
ゴジラやガメラに肩を並べるぐらいの人気があった作品だったし、今でも知名度は高い。
ましてや、ゴジラともガメラとも違う世界観があった、個性的な作品だったのだ。
リメイクの話は、実は何度かあったらしい。
だが、色々な事情で流れてきてしまったようだ。
「大魔神カノン」という名のテレビシリーズは制作されたようだが、実は私はその作品の存在をよく知らなかったし、まだ見たことがない。
一応「大魔神」のリメーク作とされているが、内容は別物らしい。
個人的には、「大魔神」のリメークは、やはり予算をかけた劇場映画作品として制作されてほしいかなあ。
時代劇としても、特撮映画としても一級品の作品として。
人気キャラクターには、しばしば子供たちに真似をさせるような要素があったりするものだが、この大魔神にもしっかりあった。
それは・・・怒る時の仕草である。
普段はおだやかで優しそうな顔が、怒る時はアップになって、下から「顔をめくるように」腕をあげていく。
腕が顔を上に通りすぎた時、大魔神は憤怒の表情に変わっている。
このシーンこそが、大魔神の決めポーズで、この仕草を当時の子供はよく真似ていたものだ。
憤怒の表情の大魔神の目は、まさに憤怒の念にあふれていた。
目がランランと輝き、その迫力は、見る人を射すくめるようであった。
悪人にとっては恐ろしい表情であり、善人にとっては頼もしい存在だった。
だが善人にとっても、大魔神のあまりの怒りパワーは、その暴走ぶりに、やがて恐れおののくものになっていく。
で、「お怒りをおしずめください」と嘆願し、大魔人は再び腕を「顔をめくるように」 かざすと、大魔神の顔は元の穏やかな顔に戻り、消えてゆく。
どこへともなく。
今思うに、大魔神というのは、大自然が実体化したようなものに思えてならない。いわば、大自然の化身。
普段はおだやかでも、人間があまりに世の中をなめて図に乗ると、大自然の感情が大魔神という姿形になり、人間に天罰をくらわす。
だから、怒った大魔神の前では、人間はあまりにも無力なのだ。
そして、大魔神は、結局力づくでは人間に倒されることはなく、自らの意思で、その姿が消えていく。
人間が力づくで倒そうとしても歯が立たなく、むしろ人間が反省し、大魔神を尊重すると、、大魔神は自らの意思で去ってゆくのだ。
人間が大魔神にかなわないのは、人間が大自然パワーにかなわないのと同じ。
ただ、大自然と大魔神の違いは、大魔神は基本的には人間の中の「悪」に対して怒りの鉄槌をくらわす点。
とはいえ、大魔神もまた大自然の化身であるのだとすれば、怒りパワーの炸裂が善人に対しても及ぶのは説明できる。
ともあれ。
大魔神が、時に善悪を通り越した憤怒パワーを発揮するのは、傲慢な人間に対する警鐘でもあるのだろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます