時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

我が家が秘密基地になった日

2021年08月02日 | 懐かしい系、あれこれ

 

私は中学3年まで都心の家で暮らしていた。

で、中学卒業と共に、家族で郊外に引っ越した。

引っ越し先の郊外は、当時けっこう自然が残されていたのはよかったが、反面都心にあった色んな便利さ(買い物や、他地域へのアクセスなど)は郊外にはなかったので、その辺は不便さは感じた。

とはいえ、都心暮らしをしてる時に、漠然と田舎への憧れも持っていたので、いざ郊外に引っ越してみると、不便さからくるデメリットだけでなく、自然が残されているメリットも感じた。

 

中学3年まで暮らした都心の家は、線路沿いにあった。

なので、電車が通るたびに、振動が伝わってきたし、電車の通る音はうるさかった。

引っ越し先の郊外の家は、バス通りぞいに建っていたので、バスや車が通ると一定の揺れはあったし、音も聞こえた。

でも、電車の音に比べたらマシだった。

夜ともなれば、道を歩く人もあまりいなかったし、車の通る数も少なく、静かな環境になった。

窓を開ければ、高層ビルがなかったぶんだけ、空が大きく広く、家が少し高台に建っていたので、遠くの丘のほうまで見渡すことができた。

引っ越して初めて友人が泊りにきた時、「眺めがいいねえ!」と言ってくれたほど。

 

都心に暮らしてた頃の友人たちとの付き合いも健在だったので、都心暮らしの友人たちがたまに私の引っ越し先の郊外の家に遊びにくることもあった。

そんな時、友人たちは、「だんぞうの家に遊びに来る時は、ちょっとした旅行気分で来れるよ」と言っていた。

都心からはそれなりに離れていたが、かといって遠い地方というほどでもない距離だった。

山手線の駅からは1時間半ぐらいだったろうか。

ある意味、気楽に来れる、近い田舎・・・そんな感じだったと思う。

家の周りには自然風景がけっこうあったこともあり、「ちょっとした旅行気分」という言葉はあたっていたと思う。

 

ある時、私の親が家族旅行に行った。私はひとりで家に残った。

当時私は、親と旅行するということはなくなっており、家族旅行にはほとんど参加しなくなっており、旅行に行くなら友人たちと行っていた。

 

その時の家族旅行に参加しなかったのは、ちょっとした計算もあった。

 

親や兄弟が家族旅行に行ってしまい、ガラーンとした家の中には私ひとりということになる。なら、それを利用しない手はない。

ある意味「絶好の機会」と思い、都心で暮らす友人たちを一気に何人も呼んだ。

何人ぐらい来たのかもうよく覚えていないが、6~7人来たかもしれない。

 

家の中は、まるで修学旅行のようになった。

私の部屋だけでなく、居間も洋室も、和室もどれも自由に使えた。

けっこう皆、はしゃぎまわったと思う。

 

夜ともなれば、皆で外に繰り出した。

郊外だったので、夜営業してる店はなかったので、家の周りは静かなもんだった。

近くには公園があったり、丘のような低い山もあったので、皆で夜の田舎散歩としゃれこんだ。

 

その時は、友人たちは「ちょっとした旅行気分」ではなく、完全に「旅行」気分だったはずだ。

私はまるで自分の家が、友人たちが集う「秘密基地」にでもなったかのように思えた。

 

もっとも、短い間の秘密基地だが。

親が旅行から帰ってきたら、なくなってしまう秘密基地だから。

1晩限り(2晩だったかもしれないが)の秘密基地ゆえ、そこで過ごす時間は貴重な時間に思えた。

 

家の中では、あちこちの部屋に友人たちが散らばり、それぞれの場所で思い思いに過ごしていた。

時には各部屋に散らばり、時には1室に集まり・・・で。

 

皆にとって、その時は我が家はワンダーランドだったのではないか。

 

 

私自身も楽しかったので、親と旅行に行かないでよかったと思った(笑)。

親と旅行に行ってしまったら、そんな体験できなかったからね。

 

はっきり言って、親と旅行に行くより楽しかった。

自分の家が、自分の家であって自分の家ではない・・・皆の共同の基地に思えた。

 

 

その郊外の家には、ちょくちょく都心から友人が遊びにきたが、さすがに一気にたくさんの友人を呼んで、家全体をまるごと使えたのは、おそらくその時だけだったと思う。

 

最近グーグルマップで、その家のあった場所を見てみたのだが、もうその家は・・・ない。

今現在、空き地になっている。

 

たまにその場所に、懐かしさから再訪してみたいとも思うのだが、行ってみたとしても、もうその家はなく、空き地になっていると思うと・・・。

行ったらかえって寂しく感じそうなので、懐かしさはあっても、積極的に再訪したいとは・・・思わない。

 

我が家が秘密基地になった日。

それはあの時、一晩だけの夢だったのかもしれない。

 

貴方には、そんな経験、ないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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