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「べらぼうめ!」の「べらぼう」って、そもそも何?

2021年06月11日 | レビュー(テレビ、ゲーム、本、映画、その他)

 

 

落語などでよく聞く言いまわしで、「するってぇと、何かい?」とか、「てやんでぇ、べらぼうめ!」などのフレーズがある。いわゆる江戸っ子言葉だ。

江戸っ子言葉は江戸に住んでた者全てが使ってた言葉ではなく、下町の町人などが使っていた言葉だ。

武士などは使ってなかったようだ。

なので、江戸の下町の庶民言葉だったということだろう。

ある意味「江戸の方言」??

 

江戸っ子言葉にはいくつもの言葉があるが、ここでは前述の「べらぼうめ」を取り上げてみたい。

よく使われる言い方としては前述の通り「てやんでぇ、べらぼうめ」という感じ。

 

このフレーズ、比較的「江戸っ子言葉」の中ではよく聞くフレーズだ。

ある意味「定番」みたいな響き。

 

で、この言葉を聞くたびに、私はたまに疑問を持つことがあった。

「てやんでぇ」というのは、「なに言ってるんだい」というニュアンスなのであろうことはわかるが、「べらぼう」って何?と。

棒の一種?いや、そうでもないような・・。

決して、きれいな言葉ではなさそうだというぐらいのことは、わかるが。

 

てなわけで調べてみた。

goo辞書によると、以下の通り。

 

べらぼう[名・形動]

 程度がひどいこと。はなはだしいこと。また、そのさま。「今日はべらぼうに寒い」「べらぼうな値上がり」

 普通では考えられないようなばかげていること。また、そのさま。「そんなべらぼうな要求はのめない」

 人をののしっていう語。たわけ。ばか。「何をぬかすか、このべらぼうが」

[補説]語源は、寛文(1661~1673)末年ごろ、見世物で評判になった、全身真っ黒で頭はとがり、目は赤く丸く、あごが猿のような奇人「便乱坊 (べらんぼう) 」「可坊 (べくぼう) 」からという。「篦棒」は当て字。

 

とのこと。

やはり、きれいな意味合いの言葉ではなかった。

このうち「べらぼうに寒い」みたいな言い方は、私も普段の会話の中で使うこともある。

「とんでもなく」的な意味合いで。

 

ただ、江戸っ子が会話の中で相手に対して「てやんでぇ、べらぼうめ」と言う時は、「なに言ってやがる、このバカ」的な意味合いなのだろう。相手を罵倒する言葉で。

 

とはいえ、大体の意味合いはおぼろげにわかってはいた。

私が知りたかったのは、この「べらぼう」という言葉の由来。

そうか、大昔の見世物に「全身真っ黒で頭はとがり、目は赤く丸く、あごが猿のような奇人で便乱坊(べらんぼう)、可坊(べくぼう)」という奇人がいたのか・・。

これは知らなかった。

見世物に出てきたキャラが、由来だったとは。

 

具体的にどんな容姿だったかは、「便乱坊」「可坊」のワードで検索してもらえば画像が見つかると思うので、興味がある方はお暇な時にでも検索してみてもらいたい。

私も見てみたが、絵によっては小梅太夫を連想してしまうものもあった。

 

なんでも「便乱坊」「可坊」は見世物の中で、愚鈍な言動で客の笑いをとっていたキャラなので、「道化者」だったのかも。

ということは、後の世のピエロ的存在だったのかな??

当時の見世物では人気があったキャラのようだ。

 

で、便乱坊とは一体何者だったのか。正体は?

それについてもちょっと調べてみたのだが、色んな説があるようだ。

なんといってもかなりの異様な容姿。

正体は動物である・・という説もあれば、障害者を芸人としてしこんだという説、小柄な人間が覆面をかぶっていたという説、などなど。

まあ、なんにせよ、今となっては確認しようがない。

救いは、人気があったということか。

 

で、「べらんぼう」という言葉が、使われてるうちに「べらぼう」という言葉に変化していったらしい。

なんにせよ、舞台の上では面白い存在だったのは確かなようだ。

 

なので、「べらぼう」には容姿が面白い人のことを指す意味合いもあったようだ。

 

罵倒の意味合いがあるということを考えると、あまり良い意味合いの言葉ではないが、案外それだけでもないようではある。

通常とは違う状況や、罵倒の他に、面白いという意味合いも含まれていたのだとしたら、根底にある程度の「親しみ」がある場合もあったのではないか。全てがそうではないにしろ。

まあ、これは私の勝手な憶測だが。

気のおけない相手に対して気さくなニュアンスも感じられる場合もあるから。

 

 

ちなみに、「べらぼう」と響きが似た言葉で「あたぼうよ」という江戸言葉がある。

これは「あたりまえだ、べらぼうめ」の省略語らしい。

「べらぼう」は、それだけ浸透していた言葉だったのであろう。

「あたぼう」は「べらぼう」の仲間ってことに(笑)。

元になった「便乱坊」、おそるべし。

 

「べらぼう」という言葉は今でもある程度残っているが、由来となった「便乱坊」はもう残っていない。

便乱坊たちは、自分たちがこういう形で未来に残っていくなんて、当時思ってもいなかったことだろうね。

 

「べらぼう」や「あたぼう」の「ぼう」は「便乱坊」の「坊」が元になっていることになるが、「ぶっきらぼう」の「ぼう」は「ぶつきり棒」から来てるようで、「棒」が由来だそうな。

「ぶつきり棒」は「ぶっきった(打つて切った→打つ(うつ)切り(きり))」棒で、乱暴に切った棒から来てるそうな。

「ぶっきり棒」がやがて「ぶっきらぼう」という言葉になったらしい。

なので、「べらぼう」とは別物。そもそもの「ぼう」が違う。

 

 

え?

ならば、「ハタ坊」は?・・って?

それは赤塚先生のコミック「おそ松くん」を読んでください(笑)。

 

 

 

 


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