野党世間奪取私論1において日本版グリーン・ニューディールに言及したが、そもそも、日本版グリーン・ニューディールとは何であるかというと、ここでは、既存のエネルギーを可能な範囲で再生可能エネルギーに置き換える政策(脱原発も含む)としたい。
この政策のメリットとして、以下の5点を挙げ得る。①安全保障上有利 ②経済環境の改善 ③インフラ輸出事業の育成 ④社会のデジタル化の推進 ⑤温暖化対策推進というソフトパワー発揮 以上5点である。以下、それぞれについて説明する。
①安全保障上有利:我が国のエネルギー自給率が12%であり、これが本邦の安全保障上のネックであると言うことは論を俟たない(エネルギー安全保障)。更に近年の特性を言えば、原子力発電所等大型電力発電所は有事の際、相手国に狙われる安全保障上の脆弱点となり得るとともに、大型災害発生時の大規模停電の要因となる。これらのリスクを、分散型である再生エネルギー発電に置き換えることにより、克服することができる。なお、再生エネルギーをエネルギーの軸とすることは、後述するが、電力網をスマートグリッド化する必要があるが、結果としてサイバー攻撃への脆弱性が発生することになる。これに対する処置は必要になるであろう。
②経済環境の改善:再生可能エネルギー発電設備への公共投資であれ民需であれ、有効需要を創出するとともに、新分野の雇用を創出し得る。これは、コロナ禍及び少子化高齢化の影響により縮小する我が国経済のパイを拡大し得るとともに、新規雇用の創出による格差社会の改善にもつながる。また、再生エネルギーを軸とした電力網を構築すると言うことは、電力網をスマートグリッド化するということであり、これは社会のユビキタス化への大きなトリガーとなる、則ち技術革新の契機となり、これが我が国の労働生産性向上を通じた経済成長に資することになる。
③インフラ輸出事業の育成:再生可能エネルギーを軸とした送電網構築のノウハウをインフラ事業として他国に輸出しうる。則ち輸出産業を育成・補助しうる。更に言えば、脱原発とセットにすることにより、廃炉技術も進展し、この分野でも海外進出しうる余地も生まれうる。
④社会のデジタル化:電力網がスマートグリッド化することにより、社会のユビキタス化が進展するのは必至であり、その結果として日本社会のデジタル化は進展するであろう。なお、これについては、行政が各種産業政策、補助金によりその速度を速めるといものも政策としてあり得る。
⑤温暖化対策推進というソフトパワー発揮:地球温暖化対策は、最早地球規模で対処すべき問題となっている。これに日本が率先して取り組むことにより、地球温暖化対策に係る産業のデファクトスタンダードを作りうるとともに、外交の場において、地球温暖化を巡る国際的枠組み作りにおいて、主導権をとることができるであろう。
以上、日本版グリーン・ニューディール(脱原発含む)を行うことにより、少子高齢化社会を迎え、暗い展望しか描けない日本社会において、明るい展望を描けるものと考える。
なお、最後に全くの枝葉の話になるが、原発が必要だという方々の声に応えてみたい。私は学問の研究対象としての原子力は否定するものではない。むしろ必要だと思っている方である。そこで、山口4区(安部晋三衆議院議員の選挙区)に事故発生時の無現責任をもって有志が資金を出し合い、発電用兼ねて実験用の原子炉及び核廃棄物処分施設を作ってはどうだろうか。無論、電力は売電し、出資割合に応じ配当する。万が一事故が発生した場合、出資社が悉皆財産を出して責任をとる。このシステムで原発賛成というのであれば誰も文句言わないだろう。
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