蟷螂の独白

世に背を向けた蟷螂です。喜怒哀楽を綴って18年、モットーは是々非々の団塊世代です。

僧帽弁閉鎖不全症手術の顛末その6

2022-01-15 18:58:35 | 徒然

都内西部の心臓専門病院での経食道内視鏡検査の日まで、日が開きました。

但し、J大の経食道エコーが喉に引っかかった小骨となって刺さったままです。

『断るんなら早いほうがいいかな?』

同居人に意見を求めます。

『あっちに決めたんだから、早くキャンセルした方がいいわよ』

同居人はタイプO、即断即決の人で、若干親父のタイプAが混ざっている蟷螂より決断は早い!

漫然とJ大と都内西部の病院のパンフレットを見比べていた蟷螂の尻を叩きます。

傷・・・

昔の仕事仲間に、白飯やラーメンにまでマヨネーズをかけて食べていた人が、心筋梗塞で開胸しています。

マヨラーと称している人は要注意ですね。

もっとも最近では低カロリーのマヨネーズも出回っているので、シフトされるといいと思います。

で、予約した翌日にもかかわらず、J大にキャンセルのTELを入れたところすんなり承諾してもらえました。

なんだか呆気なく、J大のスタッフの方々に迷惑をかけたような気になってしまいました。

J大をキャンセルしてもいいのか?

自問自答しても、答えはなかなか見つかりません。

J大のスタッフの皆さんにはよくしていただきましたが、都内西部のスタッフの皆さんはそれ以上に患者目線になってくれる(だろうと期待)。

頭痛の不安に駆られて先生にメールを入れると、すかさず秘書(コンシェルジュ)の方からメールが返ってきます。

近所で脳のCTを撮ってもらい、それを送るように秘書の方から返信があり、近所のちょっと大きめの、以前腰のMRIを撮ってもらったところに予約を入れ、CTを撮ってもらい、CDに焼き付けたものを送ります。

心臓の中で繁殖した菌塊が脳に飛ぶことを恐れたのです。

そのプチ大きな総合病院は腰のMRIで行ったことがあり、最新式の、穴の中に入らなくて済む、円盤を2枚重ねたような方式のMRIを装備していて気に入っていましたが、なにせ建物が古い。

でも古さが返って親しみを感じさせるので駆け込みました。

『頭のCTお願いします』

頭のMRIは55歳時にお茶の水で脳ドッグを受け、ラクナ梗塞を3つ指摘されたことがあります。

でもCTは初めてでした。

そこにいた脳神経科の医者は、おぎやはぎの小木氏にクリソツで、本人かと思うほどそっくりでした。

『で、何ともありませんが』

と、怪訝な顔をしていたことを思い出します。

サクッとCDに焼いてもらい郵送しました。

そうこうしているうちに経食道エコーの日がやってきました。

当日は麻酔を使うかもしれないので、付き添いをつけるようにくどく念を押されました。 

車で行くことなど論外です。

寒い日でした。

薄っぺらいダウンコートを羽織り、駅から徒歩で病院へ向かいます。

ネットで辛い検査だと散々聞かされていたので、ある程度の覚悟はしていました。

もっとも胃カメラの検査は複数回経験済みなので、半分は軽い気持ちもありました。

気がかりはエコーのプローブの大きさです。

エコーも何度か経験していたので、あれを口から入れるのはまず不可能ではないかと思いました。

(今ではさらに小さいものが出ているかもしれません)

病院へ着き、受付で診察券と保険証を渡すとまず検査着に着替えさせられたのちに、薄暗い、ベッドが4〜6床ほどある部屋に案内されます。

そこで点滴を受けながら喉に麻酔のスプレーをかけられます。

ゼリー状の麻酔も飲まされたりして、口の中の感覚がほぼなくなった頃、年配の看護師が現れて、

『胃カメラの経験があるか』と、しつっこい程に聞きます。

何度か口から入れるやつを経験したことがあると答えると、よろしいという感じでにっこりします。

その看護師の後ろに続いて無駄に広い検査室へ案内されると、ビニール袋に黒く太いコードというよりケーブル?を入れたものを両手で重そうに抱えた検査技師が、こちらも笑顔で現れました。

看護師が声高に、『胃カメラの経験ありで〜す』と、検査技師に叫ぶように言いました。

『ん?』

『無い!』って言ったほうがよかったのかと考えるいとまもあればこそ、検査技師は蟷螂の口にマウスピースをはめるや否や、ビニールごと!、チューブのついたプローブを蟷螂の口に押し込みました。

『ムガッ、ゲホッ、グググ』

大きい。

そんなの入るわけないよと、胃カメラより一回り大きいプローブは、グイグイ食道の中を胃に向かって進み、ん、途中で止まった。

アグっ、なんか擦り付けている。

プローブを出し入れする様にされると、押し込まれる時の吐き気と抜かれる時の吐き気が交互に襲ってきます。

技師の横にいつのまにかお姉さんが座り、ディスプレイを見つめてキーボードを叩いています。

悶絶して気を失いそうになります。

看護師が優しく胸をさすってくれますが、不思議に右胸が痛い。

なので右手で『こっちが痛い』と訴えると、

『こっちが痛いんですか?おかしいですねぇ』

と、右胸をさすりだしてくれました。

不思議なことに、撫でてもらっていると痛みが半減し、今度は猛烈な吐き気です。

『こりゃあ麻酔を聞かせてもらえばよかったか』と後悔しても始まらないのに悔やんでいると、ようやく検査が終わりました。

もう、終わった後にゲーゲーとやっていると、

『ダヴィンチでやるんですよね』

と検査技師が言います。

『なにか問題でも?』

と問いかけると、

『詳しくは先生から聞いてください』

と言い、

『ちょっと難しいんじゃねぇかなぁ』

とつぶやきます。

気分が悪いのにそんな事を聞かされたら、もうダメです。

断崖絶壁絶体絶命のピンチ。

そのうえ、『付き添いの方がおられませんが』と看護師が蟷螂に言います。

『アイツ、どこに行ってやがるんだ』

すると待合所の隅のソファーで同居人が手を振りました。

『時間がかかりそうだったから、隣の店でコーヒーを飲んでいた』

こちらはゲーゲーやっているのにと、その無神経さに腹が立ちましたが、逆らいません。

ただ、帰宅の途に就くと、点滴のためか、足元がフラフラしていたことを思い出します。

その日は検査だけで、その結果はメールか電話で連絡すると言われていましたが、『ダヴィンチ不適』と言われたらどうしようと、眠れぬ夜が何日か続きました。

 


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