五輪のロードレース日本代表が決まった。
新城幸也の他、もう1枠を争ってレース会場のみならず、スポーツ裁判調停を巻き込んだ場外戦が繰り広げられたことは自転車好きは知った話。
つまりは、UCIポイントの順に代表選手が決まるというルールの中、コロナの影響で国内レースが中止になり、国内チームに所属する増田選手はポイントを積み上げる機会がなくて不公平、というもの。
結局、その点については不公平とはならなかったものの、所属する宇都宮ブリッツェンの支援もあったのだろう、駆け込みでスペインのレースに登録することができて、直接対決による決定となることができた。
そしてこの機会をものにした増田選手が、20位に入ることでUCIポイントを積み増し、中根選手を抜いて五輪代表に決定した、という話。
増田選手、おめでとうございます。五輪のハードなコースで、ぜひ活躍してもらいたいです。
この展開を見ていて、自転車レースならではの、皮肉な展開に気付かされた。これまでは、国内チームだから五輪に出られない、とされていたが、増田選手を五輪に出すため(だけじゃないかもしれないが)、チームがバックアップしてスペインのレースに臨むことができた。この時点で、チームとしてこのレースの目的は、増田選手にポイントを加算してもらい中根選手を抜くこと、になった。
一方、海外チームに所属する中根選手は、地元のレースなどでポイントを稼ぐことができた。その結果、ポイントランキングで2位となり、五輪の出場権をほぼ決定付けていた。
中根選手の所属するチームとしては、このレースは中根選手のためではなく、チームの勝利のための走ることが決められていたのだろう。エースではない中根選手は、他の選手に守られることはなく、DNFという結果に。ニュースをちゃんと読んだ人なら気付くだろうが、このレースに優勝したのは、中根選手と同じチームに所属するサイモン・カー。つまり、中根選手が所属するNIPPO・デルコ・ワンプロヴァンスは、しっかりこのレースを勝っているのである。
自転車レースはあくまでチーム戦。中根選手には残念ながら、チームにとっては、このレースに勝つことが中根選手の五輪出場よりも優先事項であった。試合に勝って勝負に負けた、とはこのことか。劇的なドラマだ。
これだから、ロードレースは面白い。
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