国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

国鉄改革のあゆみ 42

2010-06-25 00:02:30 | 国鉄改革関連



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みなさま、こんばんは。
本日は、国労第49回定期大会、国労下田書記長の見解の2回目です。
この中でも述べられていますが、国労は大きな組織でありかつ、職能組合ではないため、駅務もあれば運転、検査、さらには技術といった複数の組織に横断しているほか、国労という組織の中には、左派と右派に分かれていることから、なかなか意思統一ができないのが現状です。

以下に、公企労レポートからの全文をアップしたいと思います。

【雇用不安をなくすためにどうするか、また、執行部一任、大胆な妥協とは何か、本部の具体的方針、その中味が4日間の中では少しも出てきませんでしたが】

大会は一人7分間という短い発言時間であり、一度発言すれば二度はなかなかできませんから、代議員も基本的な部分の発言しかないわけです。
指摘されるとおり中味の論議にはなっていませんが、私どもは早速、大会で決定したとおり、組合員の希望をまず掌握することから始めることにしました。このまま鉄道に残りたいというのが大半と思いますが、一応全組合員の希望を組合として取ってみよう、場合によっては一定の条件が整えば転身もありうるという組合員もいるかもしれません。いろいろな問題、条件などきちっと把握し、具体的な雇用の問題については、政府も国会において、一人も路頭に迷わせないと言っているが、現実に受け入れる側はどういうものがあるのか、そういうことも含めて具体的にしていかなければなりません。しかし国会の予算委員会とは仕組みが違うわけで、大会の性格からそういうことになったものです。
しかし、論議は十分に深まったと思います。私どもは何としても雇用を確保する。そのための手段、その考え方は、運動方針に出ています。それは代議員も読んでいるわけです。

【雇用不安は、雇用安定協約がない、労使共同宣言が締結されていないことに原因が・・・・】

雇用安定協約は、それがあることが絶対かどうか。過去にそれがあったときは雇用不安がなかったかといえば、必ずしもそうではありませんでした。
しかし組合員の気持ちからすれば他の組合は締結して、ウチだけがない、そういう状況の中では日鉄法29条という問題がありますから、全く必要はないといったらウソになります。その意味では早急に雇用安定協約は締結したいと思っています。

【雇用安定協約締結の前提に労使共同宣言の締結があるのでは・・・・】

そのことだけを取り出して言えば、いろいろ問題点があることは前に指摘したとおりです。ただ、私どもの最大の課題は雇用問題と組織問題です。そこを中心に総評と一体で進めるということを大会で決定したわ毛ですから、私どもは、余剰人員も漸増していきますし、国会での議論になっており、それを政府としてどう解決するか、また国鉄当局は具体的にどうするか、そういう問題を総合して労使共同宣言の問題が出てくれば、当然検討して労使共同宣言の問題が出てくれば、当然検討しなければならないと思っています。
選挙前に労使懇談会をもっていたとき。私も参加していましたが、特に第1回目のとき総裁からそういう話がありました。いろいろな経緯があり労使懇談会はいま凍結という形になっていますが、選挙が終わった今日、一番大事な組織問題、雇用問題を考えるとき、それを通して雇用を確保するということが場合のよってはできますから、検討しなければならないと考えています。

【大会直前、当局から運動方針に対して、明確な意思表示の申し入れがあったそうですが・・・】

そういうことは聞いています。当局は、極端に言えば国労が他の組合と同じ形になることを期待しているのかもしれない。しかし、そうすれば組合員の雇用は守れるか、21万5千人にするということになれば、ハミ出す者はでるわけで、そこで国労にいろいろなことをやってきています。私どもはこの時期、あえて決断し、大胆な妥協の道を選びました。そして執行部はそれに職を賭してやっています。一気にそこへ行くとは考えられないが、基本的には、最大の問題として雇用問題を取り上げ、それを実現するためには総評と一体となり、場合によっては大胆な妥協も考えているといっている以上、それはそのまま素直に受け止めるべきと思いますが、相手がどう思うか、それは相手の立場ですから、跡は私どもの行動をみてもらうしかないでしょう。

【過去にも3ない運動の如き、同じような背信行為もあったということですが】

私どもが協定を結び、結んだ私どもが協定を破ったという問題でしょう。そういうことはありません。しかし私ども組織は大きいだけに、十分に浸透するまでには時間がかかりますし、組織の弱点もあります。しかしそれを言うなら、当局の側も、現場の管理者が協定に違反するというケースはたくさんあるわけです。そういうことを取り上げて、だからお前たちは信用ができないというのは、何か別の意図があるのだと思います。私どもは国鉄労働者ですから、鉄道が大事ですし、皆一生懸命です。決定するまではいろいろ言いますが決まったら守ります。そうしなければ労使の信頼関係は成り立ちません。だから合理化に反対といっても、最終的に妥結して調印すればきちっと守っています。

【動労は綱領を変え、運動路線も変えて雇用の重大性に対応しているが】
私どもは私どもの方針でやります。何が今大事か、それを獲得するためにどういう手段をとるか、それは私どもの立場でやります。総評もそれに沿って十分やってくれると確信しています。また、政治問題でもありますから、政府にもきちっとした方針を出してもらいたいと思っています。

【分割・民営は既定方針で作業は進んでいる、時間がない、議論の段階ではない・・・】

確かに時間がない、しかし、だからといって私どもが手をこまねいていて、当局の言っていることだけで来年の4月以降が迎えられるのか、北海道・四国・九州の鉄道が成り立つのか、新会社に行ったとしても、そこで雇用問題は解決するのか、貨物会社は大丈夫か、いろいろ問題はあるわけです。いずれにしても、国会に移るわけですから、当面、雇用問題、余剰人員問題を政府にきちんとさせ、先送りはしてもらいたくないと思っています。
私どもはかりに経営形態が変わろうと、日本の鉄道の存在価値は大きいのですから、それを立派に動かさなければならないと思っていますし、そのため、当局側と話すべきことは代々減はなしていきたいと考えています。

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国鉄改革のあゆみ 41

2010-06-21 23:46:15 | 国鉄改革関連


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本日も再び「公企労レポート」からの引用をさせていただきたいと思います。

国鉄改革に対して、積極的に労使協調の方針を打ち出せない国労は、国労大会において、国労組織の存続をかけて執行部への対応の一任を打ち出したのですが、具体的な内容などは決定できないまま、閉会することとなったのですが。
今回は、国労書記長の側からの見解をみていきたいと思います。

以下、公企労レポートからの引用です。

【厳しい状況のなか。書記長就任、苦労の多いことと思います。今回の大会は、委員長発言をめぐって激しい対立を露呈したが・・・・】

委員長発言は私ども執行部の素直な気持ちです。
組合員の最大の関心ごとは自分たちの先行きはどうなるか、雇用は大丈夫かということです。その点選挙後の政治情勢がきびしくはなりましたから、雇用を確保するために妥協が必要であるとするならば、あえて妥協することも辞さないというのが委員長の気持ちです。
私どもも同じ立場です。大会では、代議員、傍聴者も多く、雇用が大事、国労を将来も存続させていくと言う事については誰も依存はありませんが、雇用を守っていくその方法について若干の意見のちがいはありました。しかし最終的には、社会党総評ブロックにきっちり軸足を置いて、総評に全面的な指導を受けながら闘っていく。そして最大の課題である雇用問題、組織防衛に全力を上げていくことに大会決定したわけです。それを受けて私どもは、大会直後の26日、第1回の中執を開催して、これまでなかった雇用対策本部を設置、ここに責任者として酒井副委員長及び専従役員を配置しました。

ということで、国労右派の委員長【この時点では主流派は国労右派が握っており、国労の組織を守るためにはその方針自体を変えることも必要であるし、社会党案(全国一律の民間会社で、株式の7割を政府が保有する特殊会社)を支持するとして民営化を容認するなど方針を変えていきつつあるときでもあったのです。ちなみに、共産党は分割民営化は反対、【当然国労非主流派の共産党系派閥は国鉄民営化自体に反対しており、この非主流派がその後イニシアチブを取るのであるがそれはもう少しあとの話となります。
さて、再び公企労レポートに戻ります。

【組合員のなかになぜ雇用不安が出てきたのか増大しているのか、どのように理解していますか】

一般論的に言えば、今日の国鉄の分割・民営化の中で、合理化により多くの余剰人員が生まれ現実に仕事が無いということで雇用不安が生まれているわけですが、同時に一つはこれをめぐって、公式・非公式を含めていろいろな話が出ていることです。たとえば国労にいたら新事業体へ行けないとか、人活センターへ行かされるとか。そういう問題がでているだけに、雇用不安が増大していると理解しています。

国鉄当局としては、国労非主流派の封じ込めが一番の狙いであり、その一環として人材活用センターなどが組織されたわけですが、そこに当局というよりも現場サイドでの他組合【動労や鉄労】のオルグが効を奏した形となったと考えられます。
実際に、国労は昭和61年半ばには国鉄の労働組合としては過半数を割り込み急速にその力を失っていくのですがそれはまた後ほどの機会にしたいと思います。

さて、改めて公企労レポートに戻りたいと思います。

【今回の「大胆な妥協」という委員長発言の真意について】

選挙中にも、またそれ以前からも、私どもは国鉄はこのままでは駄目だということは主張していましたし、社会党を支持することも決め手います。
また、雇用問題にしても社会党案の方針のもとで不安を解消していくことを考えていましたが、しかし、残念ながらこの選挙の結果ですから、政治的にはきびしい局面に立たされることになります。したがって選挙前に比べて情勢は悪くなっているだけに、最大の課題である雇用の確保については、従来以上の妥協をせざるを得ないということで、委員長あいさつでもそれを言ったわけです。

これは、中曽根内閣が国鉄改革の是非をめぐって61年7月6日衆参同時解散総選挙を行った結果、自民党が安定多数を確保したことを指すものであり、これにより国鉄の分割民営化路線は規定のものとされたのです。、

【執行部一任といっても、重要問題は機関にはかるということになっています。これはどういうことですか】

労働組合というものはもともと一定の方針を機関で決めてそれに基づいてやっていく、その結果については大会で承認を求めるということは、いずれにしてもあるわけです。その点で、重大な決定をするとき、相手もあることですから、どういう事を決断しなければならないが、いま想定できない部分があります。
「雇用は確保しますよ、しかしその代わり-」ということになった場合、あるいは重大な決断をせざるを得ないわけで、その時は機関にはかるということです。これは過去にもいろいろな協定など決めるときも、労組は組合民主主義の立場で動いていますから、機関の承認は受けています。執行部といえども勝手なことはできないわけです。

以上引用終了

ということで、最終的な結論を出すときには、やはり執行部に置いて機関の承認をえなくてはならないというところで、すでに動労のように単一組織でないところの国労の矛盾というか欠点を露呈させているように思います。

もう少し続くのですが、長くなりそうなのですが、この続きは明日以降にでも。

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国鉄改革のあゆみ 40

2010-06-21 00:49:35 | 国鉄改革関連


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国鉄改革時に清算事業団に配置された国労組合員がほぼ二五年ぶりにJRに採用されるということで一定の解決が図られるようですが、この点を知るためには、当時の国鉄改革をきちんと知る必要があると思います。

さて、短いですが公企労レポートから引用させていただきます。

【少なくとも四組合並みの対応ができるような方向でなければ困るということですね。】
そうですね。要するに,本音も建前もきちんと一致して、真底から今の改革に協力をして、今の「労使共同」に盛られたような趣旨,考え方に共感し、同調してもらうことを願っているわけです。やはり、そういうことでないと信頼関係というものは築かれないと思います。

記者も聞いていますが、国労の運動方針は従来どおりの強硬路線が堅持されていることに対し当局側はかなり疑心暗鬼になっているとも言えます。

【「大胆に妥協する」ということは抽象的で、大会でも具体的にどういう事なのかという議論もされていないようですが】

表に出るのは運動方針ですから、これは、従来どおり極めて硬直的な路線が堅持されている訳で、それで大胆な妥協というのが表面に出ている訳ですから、それとの整合性という面からいって一体どういうことなのか、その辺をはっきりさせて対応してもらわないとだめだと思います。

【これまでの”三ない運動”を想い起こすと、その二の舞ということも予想されますが】
そうなれば、信頼関係というものは良くならないと思います。

又、国労の運動方針が国鉄という組織をよくするということよりも、国労の組織を守ることだけに注力しているところがあるという問題を指摘しています。

【国労の運動方針というのは、国鉄を再建するという視点ではなくて、組織崩壊だ出てきたから守るということで、それは雇用不安であるというところが力点に成っていると思うのですが】

私どもの考え方は、他の輸送機関との激しい競争場裡で生きていけるような体質を持った新事業体を作らなければいけないということです。その新事業体がしっかりしていないと、そこに勤める人の雇用にしても安定したものにならない訳です。
ですから、民間並みの効率性をもった会社にすることが先決であります。そうした考え方に立った場合に、新事業体に行く人は、21万5千人と限られている訳ですから、レール以外のところで何とか雇用の確保をしたいということです。つまり、全部の人が新事業体に行くことでなければ雇用の確保にならないということでは最初から議論が噛み合わないわけです。そういうことからも、今回の”大胆な妥協”が何を意味し、今後どういう動きが出てくるのか、まず見守るということです。

【最終的には、運動方針に問題があるということになりますか】

私どもは、”大胆な妥協”なるものの中味は何かと、しかも運動方針が今回の国鉄改革の方向とは相反するようなものでありますから、そういったものと、”大胆な妥協”と言われるところのものとの整合性をどうとるのか、その辺を十分に見極めさせていただいた上で対応したいということです。

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国鉄改革のあゆみ 39

2010-06-20 00:07:35 | 国鉄改革関連



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公企労レポートから再び引用させていただきます。

例えば、国鉄時代「スト権」は認められていませんでしたが、国労の方針では、「違法なストライキを前提に、妥協するところは妥協する」と言った運動方針を掲げており。
いささか自分勝手なわがままな論理とでも言うのでしょうか、そんな不可解な理屈を掲げていたようです。

【分割・民営化に対しては、ストライキで闘うという内容も入っているようですが】
「ストライキ」を前提とした闘いを考えているなど、強硬な運動方針は従来どおり決めておいて、他方では柔軟に事態に対応するということとどのような関連があるのかという点が、分からないところです。
”大胆な妥協”ということが仮に「労使共同宣言」の内容と国労の運動方針とは、相入れない中味であると思います。ということになりますと、整合性がとれないという気がします。

【そこで仮に、運動方針は、「労使共同宣言」に盛られている幾つかの条件がありますが、これは容認していくという対応になった場合には、どのようになると思いますか】

それは、ひとつの組織が別のことを、つまり本音はこうだけれども戦術はこうだよということではどうかなと思います。根本は、労使の信頼関係ですから。余剰人員の3本柱について協定を結びながら、”3ない運動”が行われたことはまだ生々しい記憶として残っています。
随分信頼関係が失われていきました。雇用安定協約が結べないという状況に立ち至ったのも、そういった信頼関係が損なわれたからです。ですから、基本は、本音と建前が一致していないと駄目だと思います。つまり、その辺の整合性が取れていないといけないと思います。その点から言いますと、今回のそう言った戦術的には大胆な妥協を行うということが、運動方針とどのように関連をもつのですか。また、「労使共同宣言」調印の申し出があったとしても、「労使共同宣言」の趣旨が、今の運動方針のどういった点で内容的に明確な整合性を確保できるのかどうかといった点とか、今後、地方でも大会があるでしょうから、下部組織がどのような対応をするのかと言ったようなことを含めて、私どもは、その辺を見守っていく必要があると思っています。
今後の地方大会で、あるいはそれに続く下部末端の組織にそういった考え方が、どのように浸透しそれが実っていくのかということを慎重に見守っていくことが、責任ある労使関係を築く上で絶対不可欠なことであると思っています。

【大胆な妥協。現実対応から、労使共同宣言の締結へ大きく踏み込んできた場合でも、これまでの綱領であったり、運動方針というものが、それと矛盾するということになるので、これは是正しなければいけないということになると思います。それがないままに、妥協といってみてもどうなのかなという危惧があるのではないのですか。】

そうですね、基本は、そうだと思います。ですから、自分の考え方と食い違った運動方針を持ちながら、当局に何を言わんとしているのか、相反する整合性のないようなことでは、本当に信じてよいのかどうなのかということになる訳です。私どもとしては、真底から労使の関係を築かなければいけないと思っております。本心はこうだけれども戦術的には妥協すると言うことでは、具合が悪いと思います。ただ、"大胆な妥協”ということの中味が分かりませんので、これからそのことを見守らせていただき、どのようなことがでてくるのか、本当に今の運動方針まで変えて、本音も建前も一致させようとする構えなのか、あるいは単なるジェスチャーなのか、それとも本当に「労使共同宣言」を結びたいという申し出があるのかないのか、あるいは今後地方段階でどのように消化をされていくのか、いずれにしても、大胆な妥協の中味がわかりませんので、それがもう少しはっきりした段階でないと私どもも対応の仕様がないわけです。

以下続くのですが、この続きはまたのちほど。

ここまで読んでみると、国鉄当局は改革に関して積極的な鉄労・動労・全施労・真国労と、国労に対する温度差は大きく隔たっており、国労に対しては全く信用をおいていないともいえる状況とも言えそうです。

実際、国鉄当局としても、【共産党系、革同系、協会派】と呼ばれる国労左派の排除をもっとも大きな目的としていたのですが、この時期国労は国労右派が主流派であったとはいえ、国労左派グループとの差は大きくなく、いわば拮抗状態のため、国労としては、左派の言い分に配慮し対応が当時の国労だったといえます。
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国鉄改革のあゆみ 38

2010-06-19 07:03:00 | 国鉄改革関連


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公企労レポート、今回は元島根県知事、澄田常務理事の見解です。
澄田常務理事は、私が和歌山県警の警察学校にいたころの本部長で、国鉄から出向していました。
約2年、本部長を務めてから新幹線総局に復帰しましたので、多少なりとも澄田氏を直接知る一人なのです。

今回の国労の「大胆な妥協」「運動方針」の整合性の不可解を感じているとともに、共同宣言に共感し同調して欲しいと考えていると述べています。
以下公企労レポートから引用しますと。

【国労の大会で運動方針として、組織防衛、雇用不安という緊急事態への対応から「大胆な妥協」もあり得る、「本部に一任」という決定がなされた訳ですが、その大会決定をどのように受け止めていますか】

まだ直接に国労から考え方を聞いていませんのであくまで報道なりで間接的に知っているという状況です。
"戦術には、前進、停滞、後退があり、目標達成のためには、場合によっては、大胆な妥協を行うため、"中央委に一任"というような決定がなされたと聞いておりますけれども、それがいったい何を意味するのか分かりかねているところです。同時に大会で決定された方針との関連が、いったいどういうことなのかなという点で理解に苦しむところがあります。
【決定された内容は、当局として容認できない事項もあるとおもうのですが】
そうですね、例えば、今回の大会で承認された運動方針を見ますと、国鉄改革の必要性や余剰人員対策についての趣旨が全く理解されていないといった内容ですし、国鉄改革に向けての合理化も理念として全面否定されている中味です。
また、労使交渉の結果、今日の作業体制が確立されたこと、輸送の安全、サービスについては、それぞれの施策に応じ、万全の体制で臨んでいる事実を無視し運転保安、労働安全衛生が大きく脅かされていけるというような主張をしております。

すみません、時間が来たのでここでいったん切らせてもらいます。
残り後半は帰ってきてから改めて投稿させていただきます。

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国鉄改革のあゆみ 37

2010-06-18 09:21:49 | 国鉄改革関連

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さて、今回も公企業レポートからの引用をすすめたいと思います。
今回取り上げるのは、昭和61年8月5日付の記事からです。

国労は定期大会を7月22日からの4日間、千葉市文化会館において、代議員300名、役員、来賓、傍聴者を含めた約1000名が参加して行われました。
重苦しい雰囲気の中始まった大会で冒頭あいさつに立った山崎委員長は、「雇用と組織を守るため、戦術上の決断は中央闘争委員会に一任していただきたい。」・「目的達成のため、場合によっては大胆な妥協が必要なことがある。」と現実的かつ柔軟な態度をとる必要があるとその決意を表明しました。
しかし、この「大胆な妥協」は当時の非主流派(左派)からの猛烈な反対などもあり、事態は紛糾してしまいます。
 紛糾の末大会は終了し、一時は労使協調の現実路線への道を模索することになるのですが、納得いかない非主流派は再び10月に修善寺大会(国鉄時代における最後の国労大会)を開催、左派で盛岡地方本部の六本木敏が中央執行委員長に選出、主流派(右派)は退陣し、鉄産総連(JR連合の母体となる)を結成します。これにより国労は、労使協調という現実路線と異なる方向に進むこととなり、現在の清算事業団問題【JR不採用問題】までこじれることになります。
最終的には、民主党政権時代に下記のような形で23年ぶりに解決していますが、本当に意味があり戦いだったのかと個人的には疑問を感じざるを得ません。
実際、国鉄改革時に自らの意思で退職して新たな人生を歩み始めた多くの人も居る中で、あまりにもごね得だったのではないかと言う思いがあるわけです。
日経新聞の記事から引用します。
1987年の国鉄分割・民営化に伴う国労組合員らのJR不採用問題で、与党3党と公明党は9日、係争中の910世帯に平均約2200万円を支払う和解案を国労側に提示した。国労側はすべての訴訟を取り下げて和解に応じる方針を表明。前原誠司国土交通相も政府として受け入れる意向を明らかにし、23年にわたる紛争は政治決着する。


また、原告団は国鉄への再雇用を要請したと書かれていますが、実際に23年も現場を離れていて、いきなり職場復帰しても正直困るのは本人ではないでしょうか。
実際には、JR各社はその予定は無いと否定的な回答をしています。
さらに、200人程度を再雇用するよう、政府がJR各社に協力要請することも明記したが、「努力するが、人数などが希望通り採用されることは保証できない」との文言も盛り込まれた。
 再雇用については、JR各社が難色を示しており、JR東日本の清野智社長は6日の定例会見で「まったく交渉の余地はない」と否定。JR西日本の佐々木隆之社長も「JRに法的責任はないとする最高裁判決が確定している」などと否定的な立場を崩していない。


【2018/6/26追記】

話を再び、公企労レポートに戻して、引用を進めたいと思います。

国鉄労働組合の第49回定期大会は、7月22日から4日間、千葉市文化会館において、大銀300名、役員、来賓、傍聴者を含め約千名が出席、状況の厳しさを反映して重苦しい雰囲気の中で開催された、冒頭、あいさつに立った山崎委員長は「雇用と組織を守るため、戦術上の決断は中闘委(中央闘争委員会)に一任していただきたい。」「目的達成のため、場合によっては大胆な妥協が必要なことがある」と現実的、柔軟な態度をとる決意を表明、この発言をめぐって4日間にわたり激論が展開された、騒然としたヤジと怒号の中で議事は紛糾し、非主流派の「執行部一任」の取消し動議の提出から、一時は分裂の危機にも直面したが、土壇場で長老のOBグループのあっせんにより妥協が図られ、柔軟路線に転じた運動方針案が曲がりなりにも成立した。しかし、執行部一任、「大胆な妥協」の中味については一切議論されず、運動方針案が曲がりなりにも成立した。しかし、執行部一任、「大胆な妥協」の中味については一切議論されず、運動方針の内容と「大胆な妥協」の具体的な整合性について不明な点が多く、今後の動向が注目されている。

さらに、引用を続けます。
以下は、公企労レポートの本文となります。

▽・・・注目されていた国労の定期大会は、山崎委員長の冒頭発言「大胆な妥協」、「執行部一任」をめぐり4日間にわたり激論を展開、一時は非主流派の緊急動議の提出など分裂の危機にも直面したが水面下での熾烈な駆け引きにより混乱を収拾、86年度運動方針案を満場一致の形で採決して閉会した。だが、組合員が期待したのは、雇用不安をいかにして解消するかの一点にあった。しかし、「大胆な妥協」の中味、本部方針など具体的な議論はまったくなく、本部一任の可否のみについての論争に終始、結局、一任の中身については全く明らかにされず、とりあえず大会をしのいだという形に終わった。

ということで、この大会はかなり妥協と形式的な形に終始した大会であったろうことが想像できます。
現実路線を歩みたい国労右派に対し、あくまでイデオロギーにこだわる左派の考え方が議論を混乱に陥れたともいえます。
結局、入れ物の枠組みとも言うべき、「本部一任」というどのような解釈でもできる入れ物を作っただけでひとまずはこの大会は終了したのですが、このときの山崎委員長の大会に賭ける執念は強かったといわれています。
再び公企労レポートから引用します。
▽・・・山崎委員長の大会に賭ける執念は強かった。
「組合員の雇用を守る闘いに勝負をかける。一歩も引けない。もし一任が認められなかったら辞任する」と伝えられていた。また、対回数日前に武藤前委員長が各地方本部に配布した書簡問題が大会に大きく影を落としていた。山崎委員長の決意にかかわらず、委員長を擁する主流派は代議員306名中圧倒的多数を占めているわけではなく、反主流派(革同=共産党系)が約70名、非主流派(社会主義協会系)が約80名、両派が手を結ぶと多数派を形成しかねない情勢であった。それを反映して、委員長発言に対して激しい不満、批判が相次ぎ、会場はヤジと怒号に包まれた。発言内容は、非・反主流派の多くが労働組合としての「原則」論、活動家の理論を展開したのに対し、主流派が崩れつつある組織を直視して柔軟に対応することを訴えたのが特徴的であった。
このような論議が続くなかで、非主流派が24日朝、方針案から「執行部一任」の削除を求める緊急動議を提出、この取扱いをめぐり大会は紛糾、この間各派の票固めも行われ、「採決やむなし」という場面もあったが、「重大な決定については機関に諮る」という両派の妥協が時間切れ寸前に成立した。

ということで、国労組織が決して1枚岩ではなく、様々な思惑の集合体であり、特に左派系の革同や、かってのマル生運動を破綻に追い込んだ社会主義協会系などの力は、今回のような状況ではむしろ「雇用を守る・組織を守る」という大前提においては、むしろ足枷になる危険性がありました。

この大会で得られたものは、結局は組織がこの時期になっても方向性が導き出せないという閉塞感だけであり、
それ以外は何も得られない大会でした。
この時期、鉄労や動労が「雇用の確保・組織の維持はほぼ終了した」と言っていることと併せて考えると国労の対応の遅れが目立つ結果と言えます。

再び公企労レポートから引用します。

▽・・・荒れに荒れた大会はこうして終わったが、問題はすべて今後にももち越された。
今後妥協路線を取るとしても、当局がこれに応ずるか、これまでことごとく対立してきただけに、当局は依然厳しい態度を崩そうとしない。国労のいう「大胆な妥協」の中味が、仮に共同宣言の締結であったとしても、一までの経緯があり、運動方針との整合性をどう図るか、さらに厳しいハードルを越えなければならず、波乱は避けられない。動労、鉄労など四組合が、分割・民営化推進路線を一層明確に打ち出す新宣言を締結する活発な動きがあるだけに、分割・民営化反対の旗を降ろしていない国労は再び窮地に立つことは明らかである。
主流・非主流・反主流の3者の思惑はそれぞれ違っており、執行部が現実路線に踏み込んでも、条件整備ができるかどうか保証がない。情勢がさらに厳しくなったとき矛盾は必ず噴出する。この根源に如何にして対処するか。主流派の重大決意にかかっている。
社会党員協議会内部では、協会系、革同系と一線を画し、分裂を覚悟・・・・という意見も伝わっている。
このような内部問題の解決も、執行部に残された課題である。

▽・・・国労にとって選択は一つしかない。分割・民営という規定路線をとるか、あくまで反対するか、この中間はない。これから法案が臨時国会で審議される最大のヤマ場を迎えるが、不安にゆれる組合員の雇用と、脱退者の相次ぐ組織を守っていけるかどうか、国労の具体的な行動が注目される。

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国鉄改革のあゆみ 36

2010-06-15 09:32:38 | 国鉄改革関連


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引き続き、公企労レポート、鉄労大会の総括から引用したいと思います。

・・・・・国労運動打倒に全精力を結集・・・・
志摩(しま)書記長、集約答弁

代議員の質疑に対し、志摩(しま)書記長は
(1)当局との関係については、総裁以下の改革に対する執念に対し全面的に支持する。
(2)動労との連合については組合員の感情を無視して進める気は毛頭ないが、共同歩調を無視して鉄労だけで進める状況でない。
(3)組織拡大の目標は今後は現場を中心に、運動の主導権を取り、国労打倒に全精力をそそぐ、など大要次の通り集約答弁を行った。


ということで、志摩(しま)書記長は、動労との連合は鉄労の執行部が先行するわけではありませんが、国労にたいしては強い姿勢で挑むとしています。
実際にこの時期は特に、鉄労による多少強引な組合運動に対し当局は容認する傾向があったようです。

このころの国鉄職場は密告と疑心暗鬼が駆け巡る職場となっていました、当時の国鉄OBに人は異口同音に話しています。
特に、国労OBの人はそのころのことを余り多くは語らない場合が多く、むしろそういった生の声を残していくのが大切だと思っています。
図らずも、今年になってJR東日本でJR東労組の組合員による大量脱退がありましたが、この当時の状況と非常に近似していることに驚きを禁じ得ません。
歴史は繰り返すと言いますか、そうした意味でも今後の流れの参考にこうしたレポートがお役に立てれば幸いです。【2018/6/26追記】

また、当局側も、職員の採用について調書を作成するのは現場長ですので、実質的な生殺与奪は管理者の掌(てのひら)にあると言われていました。

話が大きく、脱線してしまいましたので、再び公企労レポートから引用します。

一.改革施策に対する画一的対応について次々に出てくる施策を単にノルマ達成として地方局ごとに割り当てるのはあやまりである。少なくとも、これから発足する会社単位の将来展望を見極めて対処すべきだいて。施策の消化に当たって、鉄労組合員が画一的施策の犠牲にならないよう対処する。
一. 動労等との連合について組合員の感情を無視して進める気は毛頭ない。連合、協議会を発足させる上で大事なのは組織拡大だ。拡大によって力をつけなければ主導権を握れない。連合を目指す組織間の歴史なり闘いの方向がかけ離れていたために不安があって当然だ、共同歩調を無視し、鉄労だけで改革を進める状況にないことは事実だ。
一人よがりの運動では多くに労働者の共感は得られない。当局の労政に対する機軸は鮮明になってきた。鉄労の方針は変わっていない。他の組合が我々の目指す方向にすり寄ってきた。鉄労運動にとって障害を除去するために努めてきたと理解してほしい。
一.緩やかな連合、協議体は62年4月以降を展望している。7月20日からいきなり連合・協議体に入るのではない。各労働組合の野自主性を尊重するならば一挙に合体するのは不可能である。当面、国鉄改革労働組合協議会を発足し、62年4月以降の問題点を検討していく。無原則に連合を急ぐ必要はない。
一.組織拡大は非現業が中心であり中味に問題がある、との懸念があるが、何ら問題はない。共同宣言を運動の切り札にしてきた。宣言は経営者及び従業員の意識改革を主たる目的としている。
局長が意識改革しているのに配下が足を引っ張っていたのでは前に進まない、管理局課員の意識改革が先決だとして運動してきた結果の拡大である。
共同宣言、意識改革を基盤に我々の努力が実ったんだということに自信を深めてほしい。これからの闘いは、現場段階での意識改革、拡大にあることは間違いない。
一.新会社設立に伴う労使の問題については、法案審議と併行し、許される範囲で協議していく。
一.労使共同宣言は国鉄改革が成し遂げられるまでの時限立法である。第二の共同宣言とも言うべき内容を総裁に提起していく。共同宣言を震度化した形で協議していく。不透明なまま施策だけが先行するのを避けたい。
一.新しい労働組合結成が続出してくる現象は、国鉄内に鉄労の存在が認知されておらず、方針が浸透していない証明である。組織は攻撃も説得も大切であるが、説得していることに対する裏づけの信用を得ることが大事である。組合員の期待を裏切るような姿勢は改めてほしい。
一.当局との関係については総裁以下当局の改革に関する執念に対し、全面的に支持していく。問題なのは地方局にまだ日和見的な幹部がいることだ。共同宣言に則(のっと)らない管理者については厳しく追及していく。
一.他組合との関係については鉄労運動の方向は三十年間微動だにしなかった。当局の姿勢がどんなに変わろうとも民主的労働運動の姿勢を崩さなかった。これからも他組合との関係の中で、鉄労の不動の歴史と基調を踏まえて、主導権をとるために鮮明に方向を打ち出していく。
一.組織拡大については非現業対策は軌道にのった。次なる目標は現場機関の拡大である。大道を歩むために鉄労の方針と基調を全国くまなく浸透させてほしい。目的に向かって全員一丸となり、国鉄労働組合運動打倒に全精力を費やしてほしい。

引用終了

ということで、鉄労としては、結成以来運動方針に、ぶれはなかったのであるから、より一層運動を深度化するとともに、当局に対してもお墨付きをもらいたいと明言しているところなどは、鉄労らしいとも言えます。
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国鉄改革のあゆみ 35

2010-06-13 12:45:00 | 国鉄改革関連


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一般経過報告に対する質疑応答

鉄労入りが即免罪符ではない


鉄労定期大会初日、開会のセレモニーに続き午後に入って高橋副組合長から一般経過報告、岡田業務部長から協約、協定締結報告が行われ、それに対して
①人材活用センター問題
②動労との共闘問題
③組織拡大についての問題点など若干の質疑応答が行われたのち、それらを承認したが、主な質疑応答はつぎの通りである。

質問① 人材活用センターが発足したが、新聞報道によると鉄労組合員が11%も人材活用センターに入所するようでだが、鉄労にいけば新会社に行けるということと矛盾しないか。
質問② 労使協調宣言以降、動労との共闘問題が取り沙汰されているが、今後新会社に向けて四組合統一はどのようになるのか。
質問③ 処分歴をもった人が鉄労に入れば雇用がつながるということで加入しようとしているが、今後組織拡大との関係からどのように対処すべきか。
質問④ 最近鉄労組織が拡大されているにもかかわらず、新しい組合や、○○会といった改革グループが多く発足しているが、組織拡大の関連や、62年四月以降の組合組織のあり方等についてどのように考えているのか。

<本部答弁>

① 鉄労の運動方針に誤りはない、鉄労に入れば胸を張って新会社へいける。しかしそのためには自己規制しなければいけない。それは鉄労に入っているということで免罪符をもらったことにはならない。
② 動労との共闘は考えていない。だが、国労を解体させるという認識は一致しているので、同一認識については共闘ではなく共同歩調をとり、今後もさらに深度化させたい。そして四組合共同宣言連絡会も深度化させる努力をしたい。だが、動労は方針を変更したり、鉄労主導の労働運動を擁護する発言していることから、頭から何もかも否定することはできない。
統一問題については現場の意見を大切にしたい。
③ 他組合から鉄労に加入する時はきれいな体になって入ってもらいたい。しかし国労と訣別し懸命な努力をして入ってくるものは処分歴があっても暖かく迎えてもらいたい。
④ 現在、地方各地に○○会とか新組合ができている。なぜこれらの者が鉄労に入らないのか、鉄労に入る状況をつくることがまず必要である。これらの会や組合は国労から訣別してできたものがあり、鉄労と同じスタンスで結成されたものであれば、鉄労に入ってもらうように側面的な努力をしよう。また、新事業体での組合主導主義はわれわれが取るできである。そのためにも組織拡大をしなければならない。

ここで、鉄労ははっきりと鉄労中心の組織新事業体で作り上げ、労使協調路線の組合を作りあげることを宣言したのであるが、前回にも記しましたが、途中から動労がイニシアチブをとることとなり、一企業一組合という理想は絵に描いた餅となります、しかし、当時は真剣に鉄労を中心とした組合ができると真剣に考えていたのです。

さらに、大会最終日には以下のとおり、運動方針案に対する集約質疑が行われました。

大会終日、運動方針案に関する集約質疑、答弁が行われた。代議員の主な発言は、労使関係、組織拡大、新組織体のあり方などであったが、動労との共闘関係に関するものが目立った。
「松崎委員長が陳謝しても死んだ人は戻らない」「運転職場の組合員の気持ちは一朝一夕に変わらない」など、複雑な心境をのぞかせた反面、「将来のために協議会結成を割切ろう」など、積極的に対応しようという意見も展開された。

新潟 組織拡大の流れを止めることなく躍進を果たす努力をしていきたいが、次々と出てくる当局の改革施策に対する対応のために、組拡が鈍りがちである。組織拡大に邁進できるよう当局の施策対応に対し、画一的でない本部指示を求める。
国鉄改革の問題については単なる分割・民営であってはならない。鉄労主導で改革が進められる体制を確立するために、鉄労自身の足腰を強くしておく必要がある。

門司 国労組織を崩壊せしめ労使共同宣言グループに引き入れる状況となれば組織の争奪戦が始まる。各地本の実情を考えるならば、連合問題なり協議体結成に一定の割合をつけ進展させるべきだ。組織拡大が飛躍的に続いているが、大切なのは拡大の中身である。非現業の加入は当然であり現場の第一線で働く国労組合員を加入せしめてこそわれわれの成果といえる。

仙台 動労等との連合に関して過去のしがらみにとらわれることなく、鉄労を中心とする健全な労働組合が一大結集するという立場から発想の転換が必要である。新たな時代がきているという認識で大胆な連合構想を打ち出してほしい。

名古屋 労使共同宣言は国鉄改革を達成するまでの時限立法である。新たな問題提起として新事業体が経常収支を含めて正常な状態になるまで平和協定の締結を打ち出すべきだ。
新会社に移行する労働協約の中に経営協議会の設置を組み込む考え方を出すべきだ。単位については中央・地方・現業の三段階にすべきである。本部の中にもこれに対応すべき部の設置を求めたい。
現行監査委員会が民間になると監査役になる。この監査役に労働組合の代表を送り込めるような労働使協約の締結が必要である。国鉄労働者が経営に参加していく立場で社員特殊の問題についても協約の中で明らかにしておくべきだ。四組合、特に動労との共同歩調をさらに一歩突き進んで共闘というところまでいくことを”ゆるやかな協議体”は意味しているのか。賃金問題等労使が対立する問題についても共同テーブルに着くことを考えているのかどうか。”ゆるやかな協議体”を鉄労と動労の上部団体として発足させる考え方があるのか。
多くの国労組合員等が鉄労に加入している中で鉄労に対するイメージは暗く反映している。そのことは役員の資質に起因している。加入してくる人たちの価値判断に応えられる体制を作るべきだ。

札幌 62年4月以降の組織展望について特に動労との組織統合は、運転職場の組合員とでは認識に大きな隔たりがある。
松崎委員長が陳謝したことで傷は癒える。嫌がらせは忘れる。しかし彼らの運動が元で死んだ人間は戻らない。組織としての方向は理解せざるを得ない。問題は進め方に非民主制を感じさせたことだ。現実組合員と本部指導部との間に溝があるとするなら、どう修正していくか聞きたい。問題は進め方に非民主性を感じさせたことだ。現場組合員と本部指導部との間に溝があるとするなら、どう修正していくか聞きたい。動労が多数を占める職場で、鉄労を信じ、自らを信じ、耐え抜いてきた組合員に、この流れをどのように的確に伝えたらよいのか指導をお願いしたい。動労が運転部会と同じ(性格)であるとするなら、部会と動労との関係を整理してから進めるべきであった。

千葉 国鉄の経営破綻を引起した原因のひとつに民間では考えられない労使関係があった。新会社発足に向けての労使関係及び労務倒産を食い止めるべき施策として労使協議の姿勢を明確に打ち出すべきだ。現行労使協議制に関する問題点として、矢継ぎ早に出てくる国鉄改革のために施策に地方段階では消化不良を起こしている。当局提案を一方的に受けるだけでなく、組合としても具体的提案を出すべきだ。改革推進労使協議会の中で具体的に選別条件の鉄労見解を提起すべきだ。法案成立直後に移行準備宣言を鉄労から打ち出し、成立後の施策等について、労使が協調しながら進めていける体制を作るべきだ。
昨今の当局の姿勢には、驕りが見られる。国鉄改革のためには何をやっても良いという当局姿勢は是正させるべきだ。

大阪 7月20日をメドに”ゆるやかな協議体”を発足するということであるが、その名称を明らかにするとともに、これから進むべき連合体の仮称も明らかにして欲しい。動労は鉄労の指導を仰ぎたいと言っている。本当に彼らがその気ならば教育の必要性を訴えたい。雨後の竹の子のように結成された労組も含め労使共同宣言グループに対し鉄労教育方針に従った集合教育の参加を求めるべきだ。

以上引用終了

ということで、鉄労と動労の運動の差による怨嗟は現場レベルでは依然大きなものがあることからそれに対してんの不信感や、"ゆるやかな協議体”についての方向性がきちんと示されていないことに対する不安や不満が出てくるのも当然といえるでしょう。

少なくとも、今まで犬猿の仲以上にいがみ合ってきた組合同士が”ゆるやかな協議体”という形態であるにせよ合同することに警戒感を持つのは当然であり、その点をどうクリアしていくのかということが不安要素として提起される反面、鉄労発祥の地である大阪や、新潟ではむしろ、鉄労の今後の新会社に向けて積極的に施策を打つべきといった発言が目立つのも特徴であり、地域間における温度差を感じさせられます。

改めて読み見直してみますと、鉄労と動労の主導権争いがこの頃から水面下では行われていたことが窺えます。
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国鉄改革のあゆみ 34

2010-06-11 00:58:03 | 国鉄改革関連

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新国労時代から労使協路線を貫いいてきた鉄労は、今回の分割民営化に際しては最も注目される組合となりました。
そんな中で、鉄労大会に挑んだ組合員に対し、風間組合長代行のあいさつを下記の通り公企労レポートから引用させていただきます。
なお、鉄労は社会党右派を中心にした民社党【その後新進党に吸収合併】を支持しており、総評に所属し、社会党を支持する動労や国労とは一線を引いていました。

風間組合長代行あいさつ(要旨)

本大会は、国鉄改革に付随して私たち鉄道労働組合の大改革を論議するという重大使命を帯びている。その意味では国鉄労働運動史上特筆されるべき大会であり、その観点に立って所見をのべたい。今回の選挙では、組織内候補である中村正雄、河村勝両先生は堂々と当選をかちとられたが、民社党は惨敗した。しかし、私たち鉄労と国鉄にとってはかけがえのない鉄道議員懇は82名が当選した。自民党が大勝に終わったことは、国鉄改革の条件を完了したものとして、その側面から見れば意義あるものと考える。
私たちのこの一年間の活動は、一方では改革の具体策を進めつつ、一方では組織の拡大に全力を注いできた。この一年多数の仲間を迎え、国鉄内組合第二位の組織を復活した。これは鉄労運動の正しさの証明であるとともに、同志諸君の取り組みの大きな成果である。
しかし、私たちの目指しているのは、国鉄全体の民主化であり、組織拡大ができたと言っても国労の一角を崩しただけで、本当の戦いはこれからであり向こう八ヶ月が決戦になることはあらためて肝に銘じなければならない。
杉浦総裁就任以来、わずか一年余りにして国鉄本社の姿勢がこれまでに変ぼうしたということは高く評価されるべきだと思う。しかしここの施策が総裁の目指すとおり下部まで正確に伝わっているかといえば総体としてノーである。総裁に対して本社幹部が、ひたすらおもねて服従している姿は、新生国鉄のために害はあっても全く益のないことである。
現在、雨後の竹の子のごとく国労批判勢力が労働組合を結成している。国鉄には、労働組合と運動に対する経営哲学がなかったが、改革への大同団結は姑息な手段では決して成功しない。
社会正義と近代的労使関係の確立を大目標に約30年にわたり必死の労働運動を展開してきた私たち鉄労は、その大目標を達成しないままに職場である国鉄が今やなくなろうとしている。新事業体発足後に鉄労の花は咲くのだという見方は、現実を無視した夢である。残る260日の期間に、鉄労運動の真価と力量を発揮しなくてはならない。
国鉄改革は心の改革、変革でもある。改革の作業が急速に進んでも鉄労組合員ならば必ず対応して生き残れる。私たちの心と過去を振り返るだけの慣習主義をまず改革しよう。
内外注視の大会であり、最後の正念場の闘い、行動である。より良い明日を信じ、勝利の栄冠を勝ち取るまでたゆまぬ努力を期待する。

組織内候補・・・当時鉄労は民社党を支持しており、民社党は右派社会党が分離したもので、反共、社会民主主義を標榜し、労働者を組織票とする政党であるが、現在の社民党や立憲民進党等の左派よりではありませんでした。むしろ右派と呼ばれる存在でした。

中村正雄・・・引用wikipedia

中村 正雄(なかむら まさお、1914年2月13日 - 2002年4月4日)は、日本の政治家。元民社党参議院議員・衆議院議員。

現在の岡山県総社市生まれ。1936年関西大学専門部法科を卒業。国鉄に入る。戦後労働組合運動に参加。

1947年参院選全国区に日本社会党から出馬し初当選(連続4回)

1960年1月民社党結成に参加。

1976年、旧大阪2区より衆議院議員に転ずる。当選5回。

1977年12月新委員長に選出された佐々木良作委員長の下で向井長年参議院議員会長、小平忠らと中央執行副委員長に就任。党内では、小平副委員長、塚本書記長、大内政審会長らと春日常任顧問よりと目されている。

1985年塚本三郎委員長の下で佐々木、小平と共に党常任顧問に就任(党内において春日院政を敷く)。

1989年2月永末英一委員長の下で常任顧問に留任。

1990年2月大内啓伍委員長の就任で常任顧問を退任。同年政界を引退。

「http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9D%91%E6%AD%A3%E9%9B%84」より作成

河村 勝・・・引用wikipedia

旧小田原藩士で海軍少将となった河村達蔵の長男として生まれる。河村家は波多野氏の別れで、源頼朝に歯向かい捕らえられるも、流鏑馬の技の妙により許された河村義秀以来山北地方を領した。以降南朝方につき河村城篭城戦で敗れ一旦没落するも再興し、小田原北条氏、小田原藩に仕え明治に至った。

府立一中、東京帝国大学法学部卒業後、鉄道省入省。国鉄本社秘書課長、新潟鉄道管理局長、本社職員局長を経て、常務理事を最後に退社。1957年の国鉄新潟闘争に際しては管理局長として交渉の前面に立つなど、国鉄における労働争議が極めて激しい時期を終始労働畑で過ごした。

1967年(昭和42年)の第31回衆議院議員総選挙で、旧神奈川3区から立候補し初当選。前の選挙で落選した片山哲の後継としての立候補だった。民社党を選んだ理由は、国鉄時代に西尾末広と接する機会があり、心酔するとともに西尾本人から誘われていたからだという。

その後通算7期当選。その間党政策審議会長、副書記長、衆議院沖縄・北方対策特別委員長、党副委員長を歴任した。塚本三郎を委員長と擁して隠然たる権力を握っていた春日一幸元委員長に会議上で公然と食ってかかる硬骨漢であるとともに、国鉄時代に民社系の鉄労と対立した国労を支持基盤とする社会党との連携に取り組み、社公民路線を進めるなど柔軟な一面も持っていた。これは思想的にも人脈的にも佐々木良作、永末英一と近かったためであり、比較的社会党とは距離を置き、自公民路線を取る春日-塚本三郎-大内啓伍のラインとは激しく対立した。

党副委員長在任中に体調を崩し政界から引退。その後、神奈川民社協会名誉会長、交通道徳協会会長を務めた。

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国鉄改革のあゆみ 33

2010-06-09 00:23:01 | 国鉄改革関連
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鉄労を軸に国鉄労働組合再編を確認

鉄労は、昭和61年7月8日から4日間、京都市・京都国際ホテルで鉄労第19回定期大会を開催されたが、この大会では、三塚運輸大臣(代理)、杉浦国鉄総裁、他初めて他の労組幹部が参加した総会となり、労働組合再編の意向が再確認される反面、現場サイドに残る鉄労との拭いきれない障壁などについても話し合いがもたれることとなりました。

以下、公企労レポートから引用したいと思います。

鉄道労働組合の第19回定期大会は7月8日から4日間、京都市・京都国際ホテルで、役員、代議員、傍聴者、マスコミ関係者など600名を集めて開催された。大会初日まず、議長団に久根内(新潟)森(大阪)、川野(仙台)の各代議員を選出、冒頭あいさつに立った風間組合長代行は国鉄最後の大会と位置づけ。「国鉄改革は心の改革であり、鉄労組合員ならば必ず生き残れる。残り260日間、新役員を中心に一致協力して鉄労運動の進化と力を発揮しよう」と述べ代議員の感動をさそった。審議に先立ち、多数の来賓が紹介されたが、四日間にわたって、三塚運輸大臣【代理】杉浦国鉄総裁、初めて出席した松崎委員長、全施労杉山委員長、真国労古川委員長らのあいさつが注目された。四日間の活発な議論を経て志摩書記長が総括答弁を行い、改革法案の早期実現を始めとする諸方針を満場一致決定、志摩組合長、押尾書記長ら新役員を選出し、歴史的な対価の幕を閉じた。

鉄労と動労は、かつて犬猿の中以上の対立関係にありましたが、そのアレルギーは現場に深く浸透していました。

以下、公企労レポートから再び引用したいと思います。

▽・・・組織人員数が動労を抜き、国労についで二位に進出して意気の上がる鉄労にとって、今大会は文字通り、国鉄労働運動史上に特筆すべき歴史的な大会であった。鉄労はこれまで社会正義と近代的労使関係の確立を目指約三〇年間にわたって必死の労働運動を展開してきたものであり。裏切り者と呼ばれ、当局とグルといわれ、暴力に見舞われ、血と涙と屈辱にたえて苦難の道を切り開き、いま新事業体の中核としての地位を目前にしている。
代議員の顔に輝きの見られるのも当然であった。
大会は、四日間にわたる活発な議論を経て
①改革関連法案の早期成立を期す。
②組合員の雇用確保のためより一層努力する。
③労使一丸となった改革体制を確立する。
④共同宣言締結四組合との「国鉄労使協議会」設立し、新事業体での労働運動のあり方について検討を進める。
⑤全管理局での鉄労組織の過半数を達成し、国労組織を壊滅状況に追込む
という方針を満場一致で承認した。

ということで、鉄労が今後の国鉄改革にあってイニシアチブを取りながら組合再編をはかると宣言しているのです。
この点は後述しますが最終的には動労が中心とした再編が行われ、それを不満とするグループが再び分裂、現在のJR総連とJR連合という形に分かれるのですがこの時点では、そういった小異を捨てて大同で合同しよう、そして鉄労を中心に再編しようという雰囲気が盛り上がっていたのですが、現場ではやはり割り切れない部分があるのだということが報告されました。
その点は、再び公企労レポートの引用からみてみたいと思います。

▽・・・ただ、この過程で、かなり厳しい議論も行われた。その一つは、動労との関係で、「生きているわれわれは傷は癒える、嫌がらせは忘れられる、しかし死んだ者は戻らない」という発言もあり、両者の亀裂の深さをうかがわせた。また、一つは雇用問題に対する不安と、新組織のあり方で、雨後の竹の子のごとく国労批判勢力が組合を結成して、この期に及んで当局におもねる姿勢を示していることに対する不快感が表明された。

▽・・・この中で動労の松崎委員長が初めて出席、動労がこれまで行ってきた数々の暴力に対して率直に侘びを入れ、今後は鉄労の進路に従って、手を取り合って共通の敵を打倒するために闘おうと挨拶したことは、なんといっても今大会の象徴であった。今後鉄労の筋の通った取組が期待される。
ということで、鉄労からは現場サイドにおける過去のしがらみに対し、動労の松崎委員長が率直に侘びを入れたことで一庭の整理はついたようである、しかし、この蜜月も長くは続かず、国鉄改革末期の最終段階に来て鉄労主導から動労主導に移される頃から、少しずつ変化していきます、ただし、それはその後のお話でありこの時点では真剣に鉄労主体の再編を考えていたと思われます。


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国鉄改革のあゆみ 32

2010-06-06 02:31:45 | 国鉄改革関連
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国鉄末期の昭和61年に開かれた、国鉄最後の大会であろう全国定期大会での最終日総括答弁にたった福原書記長は、今後の労働運動にも触れ、労使協調宣言を結んだ4組合が過去のしがらみを捨てて共闘関係を結び、国労との闘いを強化していくと宣言、そのためにも協議会を結成、最終的には一企業一組合のための総連合への結集を構想していると述べ、分割に関するデメリットについても最終的には容認する方向に総括がなされました。

以下、長くなりますが引用したいと思います。

大会第一日目本会議、2日目小委員会で80名以上の代議員の運動方針に対する質疑討論を経て、総括答弁に立った福原書記長は、今後の労働運動に触れ「鉄労・全施労・真国労・動労の四組合が共闘関係を強化し、国労との闘いを展開するため、7月中旬にも協議会を結成、さらに総連合を展望する」と述べ、分割問題については「デメリットはあるが、だからといって分割は反対といい続けていいものではない。分割についてのデメリットを一つ一つ掘り崩すことを通じて、最後に判断をしていけばよい。」と分割反対を事実上、下す方針を明らかにし、次の通り総括(要旨)した。
▽ 雇用の確保に勝利した今、残された時間で雇用の確定をめざした闘いに向け動労の組織を強化し、四組合の共闘強化から一企業一組合を作り出していく、そしてこれら大事業を案し遂げるためにも、自らを強化しそのことを基礎に全力をあげう利宣言は取り組みたい。その大きな山場が61・11ダイヤ改正だ。この前段で、すべての解決を図らなければならない。

▽ 国労に対しては、組織奪還オルグが必要であり、動労へ結集する闘いにしなければならない。しかし、ゴール間近で方針を変更し(巷間、下旬定期大会で奉仕hんの転換を図るといわれている)、一緒にテープを切ることなどは断じて許されない。

▽ 国労と地方当局との新たな、今日での癒着構造等が報告された。地方当局は、良い国労にという気持ちがあるようだが、それでは国鉄改革はできないし、新事業体を担う力も生まれない。当局の職制だけでは鉄道の活性化は図れない。

▽ 教条的、観念論的ではなく現実的に対応したからこそ成果を勝ち得たのだ。勝利宣言は闘ってきた者の勝利宣言であり、闘わなかった者には勝利はなく、したがって勝利宣言はない。
動労の方針に基づき、真面目に闘ってきたその動労組合員一人残らず雇用を確保し、そのような勝利宣言であることをしっかりと捉えて、今後の取り組みに生かしていかなければならない。

▽ 新しい政治地図が作られた。分割のデメリットを一つ一つ掘り崩すため、具体的指摘を院内外で作り出し、公明党を含めた協力体制を進めたい。さらに社会党、総評、全野党に提起し場合によっては自民党にもわれわれの意見を広げてゆく取り組みを展開したい。

▽ 貨物会社に行かないという訳ではない。しかし経営指針などははっきりしない会社へ大切な仲間を行かせることはできない。黒字基調になりうるのか、雇用についてはどうなるのか、行くつかの問題をこれから詰め、中央、地方で最終的に意思統一を図っていく。

▽ 国鉄労働運動再構築のため、四組合共闘を強化していく道筋を7月中、下旬に協議体化などに向けて取り組み、総連合を目指す闘いに発展させたい。さらに、協議体と当局との間で労使共同宣言を上回る宣言締結などに結びつけたい。鉄労とくい違いがあるが一刻も早い方がよい。

▽ 効率的意識を確立するためには、綱領をしっかりさせなくてはならない。十分な職場討議をしてもらうが、先延ばしする考えはない・自らを鍛え、新事業体の担い手として労働運動を構築する心のかよう組織運営をして行きたい。

以上、引用終わり。
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国鉄改革のあゆみ 31

2010-06-03 07:42:45 | 国鉄改革関連

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おはようございます、本日は第42回動労全国大会での地方代議員の主な発言についてまとめてみたいいと思います。
今回も、全面的に公企労レポートからの引用となります。

▽・・・各代議員の発言の主なものは、①雇用確保に向けた苦闘の取組が今、実を結んだ。②混迷する国労運動の中で、真面目に働く組合員に動労加入を呼びかけよう。③新しい鉄道事業活性化のため積極的に取り組もう。
また、一部ではあるが、昨年の運動方針にあった。ィ分割・民営化反対、労働組合攻撃粉砕が見当たらない。ロ新綱領の制定は情勢の変化で変えられるものか、といった一部方針を危惧する意見があったが、圧倒的意見は、「道なき道を歩んだ苦闘の取組によって、今、雇用の確保を始め多大な勝利を獲得した。これは基礎にゆるぎない組織を確立して国鉄改革に邁進し、新事業体の担い手としての方針を確実に実践すべきであるという」本部方針を支持する意見が全てであった。

新潟=竹内 非常に厳しい状況の中で、この1年間雇用を守る事に力点をおいて広域移動という大きな課題に積極的に取り組んできた。北海道や九州の異動と比べて赴任先が近いということはあるが、決意に至る過程は並大抵のものではなかった。
職場での議論は余剰人員が三人に一人でるという現実が出発点であった。そして二五日間に亘る討論を交わし、四二七名が決意した。この取組を通して動労の方針は正しかったと実感できる。

東京=奈良 松崎委員長の冒頭挨拶にあった勝利宣言、動労運動の正しかったこと、先を見ていたことに自信を深め、中央本部の皆さんに感謝したい。人活センターに入ったのは、国労の人たちでしたが、それは当然のことだと思う。国労からの加入者が毎日のようにある。国労の泥沼状態から組合員に救いの手をさしのべていきたい。

福知山=松田 誤りのない雇用確保への本部指導を感謝している。動労の真面目な運動の状況の中で国労からの加入者もあり成果だと思っている。
派遣などの苦しい闘いの中で組合自信の地についた取組に当局も目を向けてきている。

北海道=釧路 この一年間での取組は数年間にも匹敵するものであった。北海道は二人に一人の余剰人員が出る。この現実から広域移動の議論がスタートした。受入先も余剰人員を抱えている。広域移動で組織の有り難さを教えてくれた。今から新事業体に向け活性化に努力していくべきだ。

仙台 三本柱に取り組んできたが福島では61・11ダイヤ改正で半数が余剰人員となる。職場では新事業体へ行けるのか不安を持っている。人材活用センターの発令があったが、地本全体で52人が該当、清算事業団にふりわけられたと言っている人もいる。雇用を守る勝利宣言があったが、心配がないわけではない。職場では労務管理が強められ組合が柔軟に対応しても信頼関係がないところもある。綱領改訂について、情勢の変化によって変えていいものなのか。綱領とは一体なんなのか解明されていない。

四国 一昨年の秋田大会で三本柱の方針が出て、できるものかと不安であったが、昨年の議論では高知からの派遣者は世の中を改革する坂本龍馬の気持ちになって取り組もうとまで話されている。四国鉄道の未来についての職場議論では、何でもやる意識が大切だと話しているが、自由な営業、自由な投資は保障されているのかという点で心配がある。国労は四国の鉄道に未来はないと言っている。貨物の実態についても比重が大きいので、見解を求めたい。

米子 自民党がダブル選挙で圧勝した結果、国鉄改革が急ピッチで勧められることは誰しも考えるところだが、ローカル線については、この間逆包囲網づくりとして地域で作り出してきた共闘というものがある。第三セクターの追求も出されているが、地域共闘の関係でどう具体化するのか。また、社公民路線については、どう考えるべきなのか。

本部 広域移動受け入れ側の取組に感謝している。今後とも中央・地方連携を取り合い進めていく。四国鉄道の未来については、全体の未来像として「国鉄改革諸法案」に対して解明・修正・追加を求める事項の中で「日本鉄道改革法案」の項目で提起している。一つは駅を中心とした複合ネットワーク体制の強化であり、一つは技術の開発である。各地方においても、この視点に立った鉄道事業の活性化を追求してもらいたい。貨物の未来については、当初四国は貨物全廃の構想だったが、その後残す方向となった。貨物会社そのものをどうするかについては、現時点でも未定のままである。そこで貨物会社が黒字基調になれる計画の明示を当局側に迫っているところだ。選挙後の政治情勢下では、野党の多数派形成が必要であり、そのためにも社公民路線で行く必要があると考えている。地交線の問題については、新事業体の要員配置は第三次廃止のクリアーを前提にしているようである。そこで、この際第三セクターでも鉄道を残す、あるいはバス転換も新たな職域として追求することを提起しているので十分論議をお願いしたい。一企業一組合については、7月の中旬にその受け皿を作り、国鉄労働運動の流動化状況の中から四組合共闘を軸に進めていきたい。新事業体への選別については、すでに半数については終わったと認識している。61・11ダイヤ改正では我々の方から個々人の働く場を確定させ事実上終わらせたい。

としており、多くの代議員からの感謝の言葉と共に特に地方からは不安に対する声があったことも事実であった。特に四国のように規模が小さい会社となる場合その不安は当然であったろう、ただ結果的にはJR四国はもともとコンパクトであったことや国鉄時代から積極的に合理化に取り組んできたこともありほぼ全員【一人だけが精算事業団だったと記憶していますが】が新会社に採用されています。
また、ここで出てくる社公民路線とは、社会党の改革私案及び公明党が示した改革案特に動労は社会党案を押していたように思います。

今後調査してきちんとした形で対応させていただきますが、社会党案は、70%の株式を国が保有する、会社は分割市内で全国一体で運営する特殊会社、貨物も旅客も分離はしないということでいわば看板を架け替えただけの組織体。

公明党案は、再建監理委員会案の焼き直しで、五分割、貨物会社は各旅客会社に帰属させるものでありむしろ当時の国鉄での赤字の元凶とされていた貨物輸送部門の責任部分が明確にならず、非現実的な案として映りました。
もちろん、案というだけで、議論に上ることもなく消えていきました。

当時の国鉄改革で最も問題になったのが、旅客よりも貨物輸送による赤字で、政策運賃として極端に安く抑えられていた食料品や、石炭・石油といった生活必需品などの運賃の影響で収支が取れないものも多数ありましたし、逆に動労などはこの政策運賃を大企業がプロレタリアートから搾取するものであるとして、主要な闘争手段の具としてきたことも事実です。

おっと、話が全く違うところに飛んでしまいましたが、動労としては自民党が推し進めるであろう分割民営化案を積極的に受け入れるというよりも、むしろ社会党が提案する案などに落ち着くことを狙っていたのでしょう。

そういった点では、国鉄本社の改革案も社会党案に近いものだったと記憶していますが、こちらは再建監理委員会にあっさりと拒否されています。

この辺は、もう少し調べてからまた別の機会に発表していきたいと思います。

小林旭 熱き心に

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国鉄改革の歩み 30

2010-06-01 08:02:25 | 国鉄改革関連
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みなさま、おはようございます。本日は国鉄改革における動労の松崎委員長のあいさつを公企労レポートより引用したいと思います。

松崎委員長あいさつ(要旨)

わが動労は動労のえらんだみちを、そして組合員家族の選んでくれたこのみちを堂々と歩みつづけていきたいと思います。わが動労の仲間たちも雇用をまもるたたかいは完全に勝利をいたしました。われわれの条件は、きわめてきびしいですからパーフェクトな勝利を求めることはできません。

与えられた条件のなかでいかに生きるかとその賢明な考察を重ねてわれわれのみちをえらんできたわけであります。共同宣言に示されておりますように、まじめに働く意志のある仲間、しっかりと手をたずさえて今日、この時期に必要な国鉄改革を一生懸命すすめそうとすることをつうじて己の未来にしっかりとした確信をもたなければならないと思います。

これからもわが国鉄改革とわが雇用と労働条件と平和をまもるみちすじを一心不乱にみなさんと共にがんばり抜いてまいりたい。再びお父さんの電車にのるその子供の願いをかなえることが私の一つの任務だと思っております。

苦労した人たちが報われる、そのために全組織力を上げる。それが動労の任務だと思います。様々な意見がありましょう。外野からもいろんな意見があります。文句があるんだったら動労の方針に変わる方針を提起してほしい。

具体的に進むべき道筋を出してほしいと思います。今必要なのは具体論であります。今回の同日選挙で政治地図が変わりましたから、動労としてもこれまで異常に様々な分野との折衝を進めてまいりたいと思います。ある意味でそれは「政労交渉」であろうと思います。
四組合共闘・四組合統一要求・統一交渉、そういうことを具現化するためにはどうしても「社公民」を基軸にする野党の一定の政策の一致を求めていくことが必要になるだろうと思います。国鉄改革問題は、なんと言いましてもそこに働く労働者の雇用をまもるこれを前提にしなければなりません。そしてその新しい事業体が便利でなければなりません。福祉性に富んだものでなければいけません。わが組合が要求をしてきましたように、”安全性・利便性・福祉性”それを具体的に担保させるための国会論議をぜひ野党の皆さん方ともいろいろお願いをし、協力しあい、政府・自民党の皆さん方にもいろいろ要求すべきものについては堂々と要求をして、その実現のための努力をすすめてまいりたい。したがいまして、あくまでも、これまで数次にわたって提起してまいりました動労提案を基軸にして、補強すべきものについては補強してもらう、修正すべきものについては修正してもらう、そういう方向で進めてまいるより他にないだろうと思います。われわれはしっかりと動労の組織を強化し、拡大し、四組合共闘を組織統一の段階へと押し上げて「一企業・一労組」への道をまっしぐらに進んでいくべきだと考えます。

その意味で綱領・規約に関する見直しなどの諸問題も出てまいります。ぜひこの大会を通じてしっかりとご議論をしていただきたい。

以上、引用終了

動労としては、闘いのなかで、時流に合わせて変化し進化してきたといいたかったのだと思います、そして今回の未曾有の改革は今までにない大きな改革ですが、先達の人々にならい、大胆に変化を受け入れそして、変革していきたいという意気込みが感じられると思います。


次回は、各地方代議員の質問に対する回答です。

石井明美 CHA-CHA-CHA
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国鉄改革のあゆみ 29

2010-05-31 12:14:23 | 国鉄改革関連

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国鉄改革が議題に上り、国会で本格的に議論がなされている時に、国鉄動力車労働組合は、7月8日~10日にかけて神奈川県箱根小涌園で第42回定期全国大会を開催、役員選出の後、組織綱領の変更などの提案がなされたといわれている。
特にこの大会では、国労と同じ総評を上部団体にいただく組合でありかつ、総評からの内部批判【動労という組織を守ることだけの闘いをしており労組全体の連帯が欠落している。」といった批判を受けながらも、労使協調宣言に基づく綱領の変更まで大きく踏み込んだことがこの大会の特徴であった。
以下、公企労レポートからその要約を引用したいと思います。

▽・・・本大会は、おそらく国鉄動力車労働気見合いの労働運動歴史の中で等特筆すべき第42会定期全国大会労働運動の歴史の中で綱領の見直し、特筆すべき第42回定期全国大会であり、62年4月の国鉄改革の公算が大きくなり、最後の大会となった。

3万2千余人の組織をかけた今大会への関係役員の取り組みの厳しさ、真剣さは周囲に伝わるものがあった。反面、動労本部のこれまでの雇用確保に重点をおいた取組み、対応に対して「動労の組合は組織を守るだけの闘いをやっていて労組全体の連帯が欠落している」という総評内部の批判を度外視し、恐慌方針を選択した。

▽・・・こうした外部からの反対意見のあることを十分承知の上で、松崎委員長を先頭に、全執行部が一丸となって、国鉄改革に向け、これまでの基本方針不退転の決意で貫くと力説した、綱領の見直しについても「国鉄改革は空理空論に終止するのではなく、強い決意を持って自らの苦難の道を突き進んでいる」との認識を示し。国鉄を取り巻く情勢が急変してきたことなどから現綱領の見直しの必要性を強調、51年以来組合員の運動を規制してきた現綱領には「社会主義社会樹立」「階級的連帯」などが盛り込まれているがこれらの表現を全面的に削除した。今回決定した新綱領は、「労働条件の維持・改善と生活向上のため闘う鉄道労働者の使命を自覚し、21世紀鉄道の興隆のため闘う」などを掲げ、労使協調路線への転換を鮮明に打ち出した。

ということで、日本労働組合総評議会(総評)【社会党を支持】の運動方針である、「社会主義社会樹立」「階級的連帯」から離脱したことが大きかったと言えます。
これにより、国労とは完全に決別することとなったのです。

ここには、多々批判もありますが当時の委員長であった松崎明委員長のカリスマ性もあったと思われます【松崎明については後述】が、時代が変革するときはこうしたカリスマ性を持つ人物が必要になってくると思われます。

さて、再び公企労レポートに戻ります。

▽・・・今大会最大のイヴェントは、松崎委員長が日を同じくして開かれた鉄労大会(京都)で過去の不幸な出来事を詫び、これに答え鉄労志摩組合長は動労大会で過去のいきさつは捨てると言い切り、固い握手を交わしている。その他、労労関係ばかりではなく、国鉄杉浦総裁の動労大会で「62年4月という短い時間に・・・・」と挨拶すれば、動労の福原書記長の総括答弁の中で「残された時間に国鉄改革・・・・」と労使双方が期せずして同じ言葉を述べており、もはや後戻りのできない懸淵の現況を写し出していたことが印象的であった。

ということで、少なくとも現場レベルはともかくとして、組合上層部では国鉄改革は既成の事実として大きく歯車が動き出しているという印象を受けるのでした。

次回以降は、松崎委員長のあいさつ要旨などをアップする予定です。

長渕剛/ろくなもんじゃねえ

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国鉄改革のあゆみ 28

2010-05-30 00:28:35 | 国鉄改革関連

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今回は、ILOへの書簡を送付した件について国労の見解を述べたいと思います。

今回の件に関しては、国労もかなり先走ったといった感を持っているらしく、労使信義の問題としては率直に反省したいと語っています。
なお、今回唐突にILOに書簡を送ったわけではなく、昨年2月からの話が伏線としてあったそうで、日本政府が対応しないから国労として改めて書簡を送った、それが今回の問題となった部分だと言われています。
以下公企労レポートから引用します。
【ILO事務局長に書簡を送られた趣旨はどういうことですか】

昨年1月、ILO内部で日本国鉄問題で一つの決議があり、ヨーロッパでも非常に関心が強いということもあって注目されていましたから、そういう国際組織にうったえる機会があればと思っていました。そういう中で昨年2月、ILOに書簡を送り、国鉄問題について国労の考え方をうったえたわけです。これに基づき、ILOは日本政府に対し現状の報告を求めたという経緯があります。ところが日本政府はこれに回答しないという事実の中で今日を迎えました。すでに、国鉄の状況は政府が法案を提出した段階にきており、こうした事実についてもう一度ILOに報告すると同時に再度国労としての考え方をのべしかるべき方法が取れるものなら取っていただきたいということで書簡を送ったということです。

【その書簡の内容が事実と相違する。信義違反として問題になっているわけですが】

今回の2回目の書簡を送るとき、当局に対して事前に申し出ておくべきだったと今思っています。これは個人的な私の手落ちです。この点は、労働課長、職員局次長にも申し上げました。いずれにしても労使の信義という点では一つ反省しています。
ただ、今回の書簡の最大のポイントは、政府がすでに法律案として提起したなかで、改革法23条にかかわるものが最も重要だと考えており、団体交渉が形骸化、団体交渉抜きでということはまさに23条について私どもが指摘しているところであって、それでいけば労働者の選別基準とか採用数は、ほとんど政府と、設立委員と、国鉄当局の手によって決定し、そこに労組はなんら参与できない仕組みになっています。それは誰が何といおうとあきらかに労組無視、団体交渉無視であり、国家規模の不当労働行為であるということをILOにうったえたかった、というのが真意です。

「労働者の選別基準とか採用数は、ほとんど政府と、設立委員と、国鉄当局の手によって決定し、そこに労組はなんら参与できない仕組みになっています。それは誰が何といおうとあきらかに労組無視、団体交渉無視であり、国家規模の不当労働行為である」

この部分だけを抜き出して読んでみると、確かにそういった理論も成り立つと思えますが、実際には。「JR」は新たに設立された鉄道会社法人であり、日本国有鉄道の法人格を引き継ぐものではない、その法人が設立に当たり国鉄職員を社員として採用するという形をとるので、これは不当労働行為ではないという見解が国鉄当局の考えであり実際、監理委員会もそういった方向で動いていたようです。。
これは、その後もつづく、採用差別闘争の際のJR側の見解となっていきます。
この考え方が、20年近くにわたり採用差別問題としてくすぶり続ける問題の元となった部分ですが、これについては、機会があれば後述したいと思います。

さて、再び公企労レポートを引用しますと。

【別法人の採用権であり、国鉄ではそれを決める権限はないというのではありませんか】

しかし、世の中から見てどうでしょうか。一時期民間でよく偽装倒産という手が使われましたが、私は今回の改革法は23条は国家が公然とこれをやったのだと思います。現在の国鉄労働者を新しい事業体に引きついでいくときに、労働条件、誰を連れて行くかという採用基準、そういうものを一切既存の労組と関係ないということが、国際的にまかり通るのか、あるいは日本政府も労働行政としてそういうことを許容するかどうかということが問われるのではないかと思います。これは国鉄だけの問題ではないでしょう。
 当局からは、たしかにこれについて3点の申し入れがありましたが、これはILOに提訴した国労の英文を当局が和訳したものをもって申し出てきていると我々は思っています。一つの英文をどう訳そうが、それほど大きな違いはありませんが随所にあらわれるニュアンス、その文脈の意図するところは、やはり日本の原文を基本に考えてもらいたかったと思っています。

【当局の指摘した三点は書簡にはないのですか】

あります、たとえば61名の自殺者が出たと記述しています。しかし、私どもの原文では、61人もの国鉄労働者が当局の退職強要とかあるいはその他の生活不安などによって自殺しているという現実があるという記述です。当局からの文書をみますと、61人の自殺者の原因がすべて当局にあると国労が申した立てているのは虚偽だ、ウソだというわけですが、そこはニュアンスの問題と思います。
私どもはその辺は十分に配慮して現状を正しく、ILOの関係者に理解していただくと同時に、できるだけ問題を生じないように文書を作ったつもりですが、それは受け取り方の問題ですね。文章に表れた一つの事柄についてこれが嘘だとかあれがでたらめだとか言うことを指摘されるよりも、われわれがILOに何を伝えたかったのかということを正しく受け止めていただければという気持ちです。

【当局は硬化し、陳謝、撤回、今後の約束の三点を挙げているわけですが】

われわれは、あえて嘘や捏造をしたつもりはありません・・・以下文書紛失

ということですが、ここまで見た部分では、国労と当局の最初のボタンの掛け違いが大きく溝を作る原因となったような気がします。
国労としては、ILOに提訴することで、政府および国鉄にも何らかのアクションがあると読んでいたのかもしれませんが、それが結局当局・および政府にとっては大きな問題として映ったのでしょう。

こういった伏線があって、さらに国労と当局の間には溝が深まっていくことになり、国労は大幅な方針変更を余儀なくされるのですが、それは後の機会に譲りたいと思います。

同棲時代


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