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第四章 JR体制への移行と国労の闘い
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第一節 国鉄分割・民営化関連法の成立と新会社への移行準備
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├○三 新会社の設立と国鉄清算事業団│
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分割・民営化される新事業体への採用通知
さて、国鉄改革法第23条によると、設立委員は国鉄を通じて「その職員に対し、それぞれの承継法人の職員の労働条件及び職員の採用の基準を提示して、職員の募集」を行い(第一項)、それをうけて国鉄は「職員の意思を確認し、承継法人別に、その職員となる意思を表示した者の中から……採用の基準に従い、その職員となるべき者を選定し、その名簿を作成して設立委員等に提出」し(第2項)、その名簿に掲載された国鉄職員のうち設立委員等から採用する旨の通知をうけた者は「承継法人の成立時において、当該承継法人の職員として採用される」(第3項)という仕組みになっていた。
そこで、2月12日に開かれた第3回設立委員会は、国鉄から提出された採用候補者名簿を了承し、各新設会社などの組織・機構を決定した。それによると、希望退職者数が予想を上回っている状況の中で採用者総数は20万5586人となっており、これは所定定員(政府「基本計画」)の21万5000人に対して9414人の定数割れであった。ところが、北海道と九州では約7400人が不採用となっており、また本州旅客3社と貨物会社では9124人の定員割れであるにもかかわらず労働処分などの理由で約80人の組合活動家が不採用となっていた。これら〝欠員"を会社別でみてみると、東日本5197人、東海3259人、西日本457人、貨物211人となっており、北海道と九州の2社をはじめ6事業体は〝定員"通りであった。 この採用候補者名簿はもとより国鉄が作成したものであるが、国鉄当局はその作成にあたり「職員の希望を最大限考慮した」とのべ、①健康状態の判断は弾力的に解釈し、②在職中の勤務状況から新会社の業務にふさわしくない者は名簿に記載せず、③派遣経験者・直営売店経験者・復職前提休職者などは最大限名簿に記載し、〝欠員"については④業務の円滑な運営を行っていくための必要な要員は確保されている、などと説明した。
国労はこの第3回設立委員会の決定に対して同日、要旨次のような「声明」を発表し、政府と設立委員会への抗議の意思を明らかにした。
「第3回設立委員会の決定内容は、差別・選別が完全にふっしょ くされたものではない。名簿記載の判断にあたり『新会社にふ さわしくない者』を何ら客観的基準を明示しないまま除外して いることは、明確な差別・選別である。このような重大問題をはらんだ今回の選定は、第107臨時国会における付帯決議や 政府答弁に反するものであり、断固として抗議する。
設立委員会の決定は、国会軽視、民主主義の形骸化と軌を1にしており、われわれは一人の首切りも許さず、国鉄労働者の雇用確保にむけてねばり強く闘うとともに、政府・設立委員会の責任を追及し、国民の意思を結集して立ち上がる。」
国鉄当局はこの設立委員会の決定をうけ、2月16日から18日にかけて職場ごとに採用通知を行った。〝定員割れ?の本州と四国では不当な差別扱いをされた一部の人たち(その大半が国労組合員)を除き、ほとんどが通知書を受け取った。しかし、北海道と九州では、希望調書を白紙で出した人を含め約7400人が不採用を通知されたが、そのほとんどが国労組合員で、しかも先に人活センターに配属させられた活動家が多く、国鉄当局による「名簿」作成の段階でいちじるしい差別と選別が行われたことは明かであった。
国労はこの実態を早急に把握するため16日から18日かけて全地本で緊急調査を行い、20日の集計によると、北海道不採用者4700人のうち国労組合員3200余人(68%)、九州では不採用者2400人のうち国労組合員1550人(57・4%)、定員割れの本州・四国でも約80人といわれる不採用者のうち国労組合員は64人(80%)であった。また、新聞報道によると、鉄労・動労などの鉄道労連組合員の不採用者は北海道22人・九州4人・本州3人、鉄産労の不採用者は北海道550人・九州490人・西日本1人となっていた。
3月に入ると、国鉄当局は新会社移行にむけて人事異動(新会社採用職員の配属)の内示を開始し、3月10日に発令した。この配属についても、国労組合員を意図的に差別・選別していた。
ついで16日には、4月1日発足の新会社など11法人に採用された一般職員に、新会社などにおける仕事の内容や給与などを記した配属先通知書を手渡し始めた。用意された一般職員の通知書は20万1000余で、ひと月前の採用内定の時よりも1000人余りが辞退しており、北海道・九州から本州3旅客会社に広域採用された679人のうち247人が辞退していた。その結果、六旅客会社・貨物会社とも定員割れで発足することが明らかになった。
ちなみに新会社に採用された職員のうち、3月30日現在で4938人が採用を辞退していた。そして、希望退職者は前年5月以来合計3万9092人に達し、新会社など11法人はすべて定員割れ(定員21万5000人に対し20万0648人)でスタートすることになった。また、清算事業団へ移る人は全体で約2万3700人(当初見込みは4万1000人)であった。
続く