不思議な体験をした。
夜の犬の散歩で、
私は、彼からのLINEを待った。
その間、考えた。
もし、お別れを言われたら、なんて言おう。
心からお礼を言わないといけない。
ちゃんと、泣かずに、今までありがとうと、言おう。
彼が、私の失態を許すと言ってくれてからも、数日間、何の連絡もなく、不安しかない日々を過ごしてきた。
忙しい。って聞いているのだけど、
本当にそうなのか?
それすらも、疑いたくなる。
今夜も、なかなかLINEが来ないので、私は、斎藤ひとりさんの話を聞き始めた。
イヤホンを付けて、暗い田んぼ道を
星を見上げて歩きながら、
神様の話を聞いた。
人生がうまく行ってる人は、神様に助けてもらうのが上手な人。なんだって。
神様の愛は、みんなに注がれているはずなのに、
うまく受け取ることができる人と、
逃してしまう人がいる。
例えば、空から恵みの雨が降ってきたとして、
おたまで受け止める人もいれば、
洗面器で受け止める人もいる。
それが違うだけ。
何をしてもうまく行かない人は、それが、ザルなんだって。
上手に助けてもらうようになる為には、
魔法の言葉があって、
その言葉を何度も唱えると、
それだで、最高のタイミングで、助け舟を出してもらえる。
私は、その言葉を声を出して、何度も何度も唱えた。
誰もいないから、恥ずかしくない。
それより、本当にこの状況が、少しでも変わるのなら、
何にでもすがりたい。
その一心で、
神様、お助けてくださいまして、ありがとうございます。
そう必死に唱えたんだ。
そして、もう一つ。
悪いことばかり考えていたら、本当にそうなるという話。
物事は、いい方に考えないといけない。
その時思った。
私は、お別れの言葉を考えるのではなく、
彼の人間性を考えてみるべきだと。
そしたら、わかったことがある。
彼は、そんな人ではない。
許すという言葉に偽りなどなく、
忙しいのも本当のこと。
だからね、何も心配はいらないんだよ。
クヨクヨ考えるのはやめて、
いつものようにLINEを送った。
純粋に、あなたが、元気でいてくれたら、それでいいんだと。
そう思ったから、そう書いた。
その夜の散歩には、彼は、やはり、現れなかった。
家事がひと段落ついて、
スマホを手に取った瞬間だった。
無言で写真が一枚だけ送られてきた。
たった一枚の写真。
とても美しい写真だった。
どこかの夜の神社の景色。
この写真から、いろんなメッセージを感じた。
言葉にならない。
だから、言葉にしない。
それは、
まごころだと思うから。
私は、この景色を送ってくれた彼の気持ちがあるのなら、
全てが大丈夫のような気がした。
神様、お助けくださってありがとうございます。
この言葉を唱えるときは、過去形でなければいけない。
まだ助けてもらってなくても、そう唱える。
お願い、助けて!
と言う願いは、余計に辛くなるから。
そして私は、この写真に写る神社へ向けて、
もう一度、その言葉を心の中で唱えた。
それは、
純粋に感謝の気持ちだった。