いつになく、飲みたい気分だった。
私は、年に数回しか呑まないんだけど、
今夜は、お嫁ちゃんも、孫も、
実家に帰ってるから、私は、私でいられる。
この家にいるのは、家族だけ。
本来なら、こんな時間が流れてるんだろうけど、私にとっては、当たり前じゃない。
今まで、ずっと、
姑と同居して、
お嫁ちゃんと同居して、
家って、私にとっては、くつろげる時間ばかりじゃなくて、
我慢する場所だったり、
見ないようにする場所だったり、
がっかりする場所でもあった。
そんな現実から逃れたいがために、
心は浮気してきた。
私の心は、時々、ここになくて、
家の外に居場所を求めた。
私は、広末涼子と同じ人種なのかもしれない。
でも、違うところは、行動には移したことはない。ということ。
そんなことができる人を 羨ましく思ったこともあるけど、
結局それで、全てを失うのなら、
最初から、手に入れない方がいい。
そういう点では、
彼は、私を守ってくれたことになるんだけれど、
でもね、
多分、
私自身も、
最後の一線は、超えなかったよ。
私は、そこまで、馬鹿じゃないし、
度胸もない。
きっとこれからも、
私は、常に誰かを愛し続ける。
でも、
行動に移した時点で、裁かれるのなら、
心だけにする。
それなら、
見えないから、裁かれない。
立ち上がったら、ふらつく。
いい感じに酔えた。