しかし忘れてはならないのが香港ノワールと称される、香港のマフィア・ギャング映画だ。香港ノワールとはフランスを起源とするフィルム・ノワールから派生したもので、広義には香港製犯罪映画と認識して良いだろう。
香港ノワールの夜明けと言われるジョン・ウー監督、チョウ・ユンファ主演の「男たちの挽歌」から始まり、近年ではアカデミー作品賞を受賞した「ディパーテッド」の原作「インファナル・アフェア」シリーズがある。原作の傑作ラストを改悪してリメイクした「ディパーテッド」でアカデミー作品賞を取ったという一例を見ても「インファナル・アフェア」の完成度の高さが伺えるだろう。
そんな香港ノワール界でも近年一際存在感を放つのがジョニー・トー監督だ。古くからメガホンを取っているのだが、ここ最近では「エレクション」、「エレクション 死の報復」、「エグザイル/絆」と立て続けにハードボイルド作品を生み出している。あとギャング映画ではないが「スリ 文雀」や、製作に携わった「天使の眼、野獣の街」と精力的に活動している。
しかしながらこの監督が実に惜しい。映像の質感や設定等、ものすごく雰囲気を醸し出しているのだが、描写がイマイチなのかもう一歩という感じがする。方向性は間違っていないので、もう少し煮詰めれば傑作が生まれそうな予感がしてならない。今のままでは「インファナル・アフェア」には及ばない。
そんなジョニー・トー監督の最新作が現在劇場で公開されている。その名も「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」だ。この邦題に批判もかなりあるらしいが、オレ個人としてはとても好きだぞ。
この作品の魅力は何と言っても主演俳優にある。お馴染みの香港俳優ではなく、フランスの歌手兼俳優であるジョニー・アリディを主演に迎えている。この展開は新しく、足りない何かを埋めてくれる気がするぞ。
しかし残念ながらジョニー・トー監督の知名度はまだまだ低く、上映館数は限られていて静岡では全くやっていないのが現実。劇場公開されただけでも良しとするべきか。
まぁ、このジョニー・トー監督作品だけでなく、香港ノワール作品には今のハリウッドでは観られない妖しい雰囲気が漂っている。映画好きならずとも是非一度この世界に足を踏み入れてみてはどうだろうって話ヽ(*´Д`)ノ
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