アリ@チャピ堂 お気楽本のブログ

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星間戦争もの?SFの王道か?

2010-10-04 23:08:34 | フィリップ・K・ディック
「去年を待ちながら」 禁断のドラッグと「純粋理性批判」との関係は


「去年を待ちながら」“Now Wait for Last Year” 1966年
寺地五一訳 創元推理文庫 1989年

1964年からの数年、ディックは多作である
玉石混交と言うより、ディックだから許されているような
ディック好きにとっては出版されることだけに意味がある
そういう作品もいくつかある
たとえば本人が「意味が分からない」と書いてしまうような作品が
(こういう場合、普通は「残念ながら・・」と書くところだが
ディックの場合は・・ファンはすでに蒐集家となっているので
ディックの遺品や私物をあさるような気持ちで
何だって出してほしい気持ちが強いので「残念」とは思わない
キップル化やガビッシュがディックの作品にも適用されたと思うだけだ)

「去年を待ちながら」で扱う時間移動はディックの多くの作品に共通する要素の一つである
タイムマシンによるものもあるが
ディックらしいのはドラッグや異能力によって展開する
タイムスリップや時間退行の「感覚」的な時間移動で
この作品では、地球侵略のための武器としてのドラッグが
人間には強い作用を及ぼし時間軸を狂わせる
その説明にカントの純粋理性批判が小道具となる
これこそがディックワールドなのだろう

この次の次ぐらいに、この時期の作品の発表順と
ブログで取り上げられた順番の関係を整理してみたい

 ディック作品に「駄作」はない、失敗と混乱は予定されているもののように思える

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