シロクマックスのアラフォー、ぼちぼちアメリカ生活

アメリカ生活のあれこれをつれずれに書いてます。
移住して8年、ぼちぼちやってます。

陽のあたる診療室

2011-10-13 | アメリカ生活のあれこれ

ドクター・ヤニスはとても温厚なドクターで、ださいジーパンにださいスニーカーという

「アメリカン」な雰囲気をもった僕にとっては親しみやすいドクターでした。

診断書を見せ、上半身の服を脱ぎ、ドクターが心音を確認しました。

結果、彼の診断ははなんでもないよ、というものでした。

「君の場合、毎日馬に乗って体を駆使していて、さらにジョギング、腹筋、配筋、

腕立て伏せ、スクワットといったフィットネスもほぼ毎日おこなっている。

タバコもすわないし、メタボリックな体という訳じゃない。つまりこれは

ちょっとしたアスリートとみなすべきだと思う。心拍数が38だったと書いてあるが、

私は若い頃アマチュアのスキープレイヤーだったんだけれども、その時分の

私の心拍数も30台だったし、私の兄はニュージーランドのアマチュア

スキーのクロスカントリーチャンピオンなんだけれども、彼はいまだに

30台を保持している。つまり、体を鍛えている人に限って、心拍30台は

なにもイレギュラーではない。この診断書を書いたERのドクターはひどいね。

マニュアル通りの所見で、マニュアル通りの処置を施しただけ。肝心の

患者の体を見ていない。書類しか見ていない。これではだめだ。お気の毒だ。」


しかし一つ問題なのは、このままでは労災がおりないということでした。

なにしろ、馬上で突然「心臓発作」を起こした人間に対してなぜニューサウスウェルズ州

競馬執行委員会が治療費を肩代わりしなければならないのか、と。落馬や作業中の

公傷であれば労災がおりるんですけど、僕のケースはこのままだとかなり難しいようでし

た。3週間前の落馬のショックと、今回の心臓発作の診断をなんとか無理矢理に

因果関係で結びつけておろす手はずだったらしいのですが、難航しているということを

エージェントから聞かされていました。2500ドルなんて絶対払いたくない!!

するとドクター・ヤニスが素晴らしい決断を下しました。

「3週間前の落馬による負傷が今回の筋違いに関係している可能性は

高い。でもこれを証明する手立てがない。だったらちょっと落馬した日付を

変えてしまおう。君は筋違いを起こした日に落馬したことにするから、

それで通そう。これが一番シンプルだろ?こんな愚かな診断で2500ドルも

請求されるのは馬鹿げている。」

ドクター、間違いない。それだよ。

主治医を時分に改め、書類に「訂正」を加えていくドクター・ヤニス。素晴らしい。

お役所的な仕事しかできなかったERの入っている国立病院とはえらい

違いだ。後日競馬執行委員会のオフィサーから事実確認の電話がかかってくるそうで、

「今言ったとおりに証言するように。それですべてうまくいく。」

素晴らしい。この馬鹿げた茶番もこれでおしまいです。

お役所仕事しかできないドクターの診断書に振り回されつつも、柔軟な対応の

ドクターに救われた今回の心臓発作騒動でした。心臓はなんでもありません。

もう昨日から馬乗ってます。心臓も肩も痛くないけど、腰と背中が痛いです(゜∀。)