結局一泊することとなってしまった僕。労災がおりれば今日そのまま帰って
も、病院に泊まって明日帰っても金額は変わらないから泊まって行けと言わ
れました。理屈はよくわからなかったけども、たしかに6時をまわっているし、
今から徒歩で帰るのもおっくうだな、などと思って「宿泊」を決意しました。
でも病院の支給する食事なんてろくなもんじゃない、なんて思ってたらビックリ
意外と美味しい。夕食なんかビーフシチューにアイスクリームまでついて。
昼、夜、朝、昼と4食たべたのですが、全て2回以上おかわりしました。
だって健康なんだから。
翌日曜日は昼飯前に今度こそ整形外科のドクターが診察にくるというので、
退院の時間を延ばして待っていたら、2時まで待ったあげく、今日はこられま
せんという返事。しょうがない、世の中一歩日本をでればこんなもんです。
言われた時間にくる人間など皆無。指定の時間に来る電車もバスもほぼ皆無
でしょう。慣れましたよ。
そんな中でも唯一気転がきいたのは休日の当直医だったドクター・リー。
中国系のドクターで、素早く紹介状をかいてくれて、退院してもいいから、
後日自分で整形外科のドクター・ブローの診察を予約して、この紹介状をもっ
て行きなさいと計らってくれました。晴れて退院することが出来たわけです。
翌日の月曜日。さっそくドクター・ブローの診察予約をいれるべく電話を。
すると整形外科のデスクに回線をつなぐまでに4回たらい回しにされ、やっと
電話にでた受付の女性からは信じられない対応が。
ドクター・ブローの診察予約をしたものの、それはなんと3週間後。
3週間後じゃ筋違いなんて治っているにきまってるだろ!
どこのバカが筋違いの診察を3週間後に受けるんだよ。痛いのは今なんだぞ
って・・・・なんちゅーバカバカしさ。とりあえず予約はいれて、ゲイ厩舎の
オフィスへ事情を説明しにいきました。オフィスに着くと、みんなビックリした様
子で、
「心臓発作で意識がないと聞いてる」
とか
「緊急手術が必要な状態だと聞いてる」
とか全然事実と違う事を言うんです。どうも誰かが流した噂に尾ひれがついて
おかしな情報として出回った様子。で、それは誰から聞いたんだと問いただす
と、全員口を揃えて「アーサーが・・・・」
アーサーは典型的なオーストラリア人の男。陽気といえばそうだけれども、
おしゃべりが止まらない。手を動かすより口を動かしている時間のほうが長
い。アーサーめ、口に鍵でもかけてろ。
オフィスで事情を話すと、あまりに馬鹿げた状況に呆れた様子で、
別のドクターを紹介してくれました。ゲイ厩舎の怪我人をいつも診察してくれて
いるドクターだから、ということで。
そこでドクター・ヤニスの診療所を訪れることになったわけです。
つづく