森の声

 雨粒が あちらこちらに飛んで 

 街燈にも月にも光る、綺麗な夜

 

ともだちは海のにおい

2011年01月29日 | Book
哲学と本とビールがすきな くじら と
体操と遊びとお茶がすきな いるか の
ある夜の出逢いからはじまる物語は
何度読んでも、色褪せないどころかそのたびに新鮮で
ふたりのやりとりと、とにかく綺麗な風景を覗いていると
穏やかに凪ぐ海のような気持ちになってくる。

それでいてほんのり切なくもあって、
「心はここにあるのだなぁ」と
ふるふるとする場所に気がつく一冊。

磨かれたような言葉が流れるのが優しいだけでなく
文字のバランスが目にも柔らかい。
ひらがなっていいなとしみじみ味わえる、
大人にはそんな魅力もつまっている。

あるときはくじら、あるときにはいるかになって
30年の付き合いをしてきた親友が(あ、歳が…)
この夏に母になるのだと聞いて、迷わずこの本を贈ろうと思った。

彼女の10年越しの夢がもうすぐかなうのかと考えると
私まで踊りだしそうなくらい嬉しくて、
今日はいるかのように、グルグル泳ぎまわりそうだ(笑)。

 『ともだちは海のにおい』 (きみとぼくの本)
 工藤直子
 理論社