このブログ読んでたんだけど。
あー、すんげぇ良く分かるわぁ。
スピルバーグの監督作で、この映画ほど彼自身の影が薄い映画はかつてなかったのではないかと感じた。
そうなんだよね。
僕がとかく思ったのはスピルバーグの熱意ってのをちっとも感じなかった、って事。
これ、良く言われた事なんだけど、「アカデミー賞がどうしても欲しい」スピルバーグ監督が抱き合わせで引き受けた作品なんだよ。ぶっちゃけ
「アカデミー賞狙いで"シンドラーのリスト"をやりたいから、制作費を稼ぐ為にジュラシックパークをやる」
的な状態になってて、大入りを狙える映画だからやったに過ぎないだけ。そこにスピルバーグの熱意、なんつーのは全く無かったのだ。
中には確かにスピルバーグ的な演出があるってばあるんだけど、正直言うと、誰が監督しても大して変わんなかった気がするのね。取り立てて怖さもないし。基本人間が逃げ惑うだけな映画じゃん。
ジョーズみたいにラストに相手を倒すカタルシスがあるワケじゃない。最後まで逃げるだけ、の映画なのだ。
ちなみにこの映画、残虐シーンがある。従って、R指定にすべきなのだが、スピルバーグとユニバーサル映画の圧力もあって、PG-13か何かで公開された筈だと記憶している。
と言うのも、この映画、アメリカでは1993年の6月の中旬辺りに公開されてる。
そう、つまり子供向けの夏休み映画、と言う側面があるんだ。ここでR指定にされたら興行成績がふるわなくなる。従って、どうしてもPG-13にせなアカンかったのだな。
正直言うと、元々スピルバーグって監督の作品は、子供に「観て良いよ」って言うような作品じゃあなかったんだ。それが70年代くらいの彼の作風だったんだけど、80年代に入って「子供向け」とか「ファミリー向け」を意識するような作品を撮るようになってしまった。
んで、ジュラシックパークは要するに、彼の子供向け映画の集大成なんだよね。だからそもそもコンセプトからして面白くなるわけねぇんだよ(笑)。実は大人が観る映画じゃあない。
実はこの年の6月、このジュラシック・パークが公開された時、裏番組・・・ってぇんじゃねぇけど、同様に子供向け映画として登場したのがアーノルド・シュワルツェネガーの「ラスト・アクション・ヒーロー」だった。
スピルバーグが子供向け/ファミリー向けを意識して、彼の映画がどんどん面白くなくなって来たのに反して80年代後半から台頭してきた新進気鋭の監督がジョン・マクティアナンだった。多分「プレデター」「ダイ・ハード」の監督、って言われたらピンと来ると思うんだけど。
そう、シュワルツネッガーとかつて「プレデター」でコンビを組んだ監督がはじめて撮った夏休み向け子供映画がラスト・アクション・ヒーローだったのだ。
この当時、だから映画館ではジュラシック・パーク vs. ラスト・アクション・ヒーローの興行成績対決だったんだよね。言い換えると、斜陽に成り始めたスティーブン・スピルバーグと新進気鋭のジョン・マクティアナンの対決だった。
ハッキリ言うけど、個人的趣味で言うと、ラスト・アクション・ヒーローの圧勝だった。「ジョン・マクティアナンってハードなアクションだけじゃなくって悪ふざけも出来るんだ」とか感心したモンだ(笑)。まぁ、そうだよな、才気溢れる監督だし、当然だわな。
でも僕の評価に反し、興行成績はジュラシック・パークの圧勝だったんだよな。まぁ、さすが、スピルバーグのネームヴァリューは凄かった。マクティアンは映画ファンしか知らんしな(笑)。しょーがねぇ。
でも、この辺で僕は完全にスピルバーグ離れになってしまった。ぶっちゃけ、僕にとって、映画館で観た最後のスピルバーグ映画がこのジュラシック・パークなのだ。