ファミコン初のRPG「ドラゴンクエスト」から「ファイナル・ファンタジー」が出るまで発売されたファミコンのRPGをまとめてみよう。
こう書くと、「あれ、ドルアーガの塔は?」とか「ハイドライドスペシャルの方がドラクエより先でしょ」って人が出てくるたぁ思うんだけど、ぶっちゃけ、ARPGは邪魔。RPGを調べる際の検索ノイズに過ぎない。なんで除いてある。
どうもRPGとARPGが混ざってると調べる時使い勝手が悪いのだ。ARPGはARPG、RPGはRPGとしておいた方が良いんじゃないか。
・ドラゴンクエスト(1986年5月27日)
ここから全てが始まった。国産RPGのクオリティのターニングポイント。それまで国産PCで動いてた国産RPGよりも遥かにデキが良い。マジで。
・ディープダンジョン 魔洞戦記(1986年12月19日)
整理すると、こいつがファミコン2本目のRPG、かつディスクシステム初のRPGである。
ある程度知られてるとは思うけど、一応経緯を。
このゲームはスクエア(現・スクエアエニックス)が発起人となって、弱小PCソフトハウス(笑)をまとめてファミコンのサードパーティにしようとしたDOGからリリースされたモノ。弱小PCソフトハウス、ってのはそのまんま。要するにぶっちゃけ、資金難のヤツらばかりでファミコンサードパーティに参加出来なかった烏合の衆なのだ(笑)。ファミコンのサードパーティになるには資金ぐりがキチンとしてる会社じゃないとアカンかったの。それだけでレベルが1段階落ちるヤツらだ、って分かるでしょ。経営が怪しい会社が良いゲーム作れるわきゃねぇからなぁ。
さて、このディープダンジョン、当時は「ADV屋」としてPCでそこそこ知名度があった、ハミングバードが何故か開発を担当。このハミングバードってのはこの約半年後、「ラプラスの魔」をPC用にリリースする。言わばこのゲームは、ラプラスの魔前哨戦だな。
ぶっちゃけ、ここでいきなりパーティ制を導入してたらちょっとは評価上がっても良かったけど、ダンジョンクロウルでこっちのキャラ一人、とか魔導物語でもあるまいし、今になって「やりたい」たぁ思わんよねぇ、さすがに。
・ドラゴンクエストII 〜悪霊の神々〜 (1987年1月26日: パーティ制)
ひょっとしたらIより認知度は高いかもしれない。ドラクエの割に高難易度で、しかしヒット作。
はい、実はこの時点で、マトモなRPGってのはドラクエシリーズしかないんですね。ディープダンジョンがパーティ制をさっさと導入してれば状況はちったぁ変わってたのかもしれませんが・・・。
実はディスクシステム自体にマトモなRPGは全くと言って良い程無くって、ひょっとしたらその「大容量」はすでにカセットに負けてて、RPG作れないくらい貧弱なスペックになってたのかもしれませんがね。
まあ、いずれにせよ、ドラゴンクエストIIの登場でRPG人気が確立します。
・ディープダンジョン2 勇士の紋章 (1987年5月30日)
ここまでドラクエ・ディープダンジョン・ドラクエ・ディープダンジョン、と交互に出ている。しかし、パーティ制を導入したドラクエに比べ、相変わらず一人旅なディープダンジョン・・・・・・。これも「今やる」と言えば単にツラい単調なゲームになるのは間違いないだろう。
ちなみに、この殆ど直後(7月4日)にハミングバードはPCで「ラプラスの魔」と言う傑作ゲームを出してるんで、恐らく社内リソースはそっちに向けてたんじゃないか。ディープダンジョン2は「売れたら売れたでいいな」程度で、何かバイトくせぇ匂いがする(笑)。あまり大きなキャッシュフローはそもそも期待してなかったのかも。
・ヘラクレスの栄光 (1987年6月12日)
ファミコン5本目のRPG、第3シリーズ目はデータイーストから発売された「ヘラクレスの栄光」である。
しかし、ドラクエで既にパーティ制を導入してるのに、何故にこれも一人旅なのか・・・・。うーん、当時のメーカーの考えは分からんのぉ。
・クレオパトラの魔宝 (1987年7月24日)
ファミコン->ディスクシステム->ファミコン->ディスクシステム->ファミコン->ディスクシステム、とプラットフォーム毎に交互に発売され、またもやDOGからのRPG。しかもスクエア自らの製作。つまり、スクエアのファミコン初のRPGはファイナル・ファンタジーではないのだ。
・デジタルデビル物語 女神転生 (1987年9月11日: パーティ制)
ここで出てきた、「女神転生」。意外だったね。ファイナル・ファンタジーより早かったんか。全然記憶が曖昧だった。
しかもショボいディープダンジョンと違い(笑)、キチンとしたパーティ制RPG。やっとじゃない?
考えてみると、ドラクエ2以降、初めての「パーティ制RPG」だし、結果として、ファミコン初の「マトモな3DダンジョンRPG」だし、ここまで見てきたら分かるだろうけど、マトモなRPGがドラクエしかねぇ、って状態だと「売れて当然」だわな(笑)。キチンと丁寧に作ったから売れた、んだなぁ。
アトラス、先見の明がありました。エライ。
・ウルティマ 恐怖のエクソダス (1987年10月9日: パーティ制)
監修に秋元康を起用したり・・・とか意味不明な移植と思われてる本作。まあ、フザケ過ぎだよな、フジテレビ系列、って思う向きもあって、もうちょっとドラクエ見習って綺麗にやれよ、と思わなくもないんだけど、生憎、原作のタクティカルバトルもチマチマ移動するようなカンジで実はそんなに面白くない。
原作も、初めてパーティプレイを導入したのが実はこの作品で、言わばシステムがこなれてないのだ。・・・まぁ、今、頑張ってやってみる価値があるかどうかは・・・人によるでしょう、正直言って。
しかし、これもファイナル・ファンタジーより前に出てんのね。結構本腰入れて「オリジナルのワイが打倒ドラクエするで」って事だったのかもしれんが、まぁ、実際は玉砕したんだよな(笑)。
・覇邪の封印 (1987年10月13日)
国産PCではそこそこヒットしたRPG。だが、基本的に「ドラクエ以前」のゲームであり(発売年は1986年6月25日?なんで製作時期はドラクエと被ってるだろう)、この時期、果たしてファミコンに移植される必要があったのか、ゲームのデキとしては疑問の残るブツである。
セガのマークIIIとか腐した時にも書いたけど(笑)、マップが全然分からんとか、パーティプレイに見せかけて戦闘は実はガチンコ勝負であるとか、システムが全然こなれてないのだ。
まあ、物好きな人は、Project Eggの方で原作(PC-8801版)があるんで、プレイしてみたら?って程度である。
・インドラの光 (1987年10月20日: パーティ制)
うーん、某所だとクソゲー扱いなんだけど、どうなんでしょうね。やったことねぇから分からんのだけど。
でも、パーティ制のファミコンRPGってドラクエIIから数えるとこの作品でやっと4作目なんだよねぇ(覇邪の封印は厳密には違うんで除く)。っつーか、やっとオリジナルでパーティプレイで、って考えると3作品目、そして、オリジナルでパーティプレイで、2Dフィールドで、と考えるとドラクエIIに続く2作品目になる。
まぁ、ゲームメーカーとしてのケムコの評価はどうあれ、やっとファミコンで、(ドラクエ以外の)オリジナルRPGにマトモに取り組もう、と言うメーカーが出てきた、と言う事だ。
・ミネルバトンサーガ ラゴンの復活 (1987年10月23日: パーティ制)
タイトーが販売してたけど、実はタイトー製のRPGじゃあないです。しかもガデュリンだ何だ、ってシリーズになってて、PCでもゲーム出てたりして全貌が良く分からん。かつ、シリーズになってる癖に売れたのかどうなのかも分からん。よってどう評価して良いのかサッパリである。
こういうシリーズモノの1つって単体評価難しいよねぇ。
・桃太郎伝説 (1987年10月26日: パーティ制)
あー、これもファイナル・ファンタジー以前なのかぁ。全然知らんかった。ある層には絶大な支持を集めてるシリーズの初代ですな。
当時の人気メーカー、ハドソン初のRPGって事で。
・星をみるひと (1987年10月27日: パーティ制)
クソゲーとして名高いらしいが、同時にNintendo Switchでも配信されてるらしく、一体どーなってんの?なゲーム。
・銀河の三人 (1987年12月15日: パーティ制)
やっと任天堂自らがRPGをリリース・・・だがMotherではない。どういうわけか、エニックスからPC用に出てた「地球戦士ライーザ」をファミコンに移植・・・・・。殆ど任天堂がやらない事を何故かやってる。宮本茂は止めなかったのだろうか(笑)。気の迷いなんだろうか(笑)。
いずれにせよ、この「次」・・・3日後にリリースされたのがスクエア二作目のRPG、ファイナル・ファンタジーで、任天堂にしては珍しく銀河の三人は玉砕している。
・ファイナル・ファンタジー (1987年12月18日: パーティ制)
そしてやっと「対ドラクエ」最終兵器の登場、である(笑)。ドラクエIIから数えて13本目。フィールド型でパーティ制で王道。
っつーか、ここまで見てくると、「良い作品」も無くには無いんだけど、システム/ストーリー、両者から見て「王道」と呼べる作品が少なく、ファイナル・ファンタジーは言い換えると、ドラクエが築き上げたスタンダードに、奇をてらわずフツーに乗っかって、至極当然に勝利を収めた。それだけ、ってばそれだけなんだよね。でもそれが出来ないメーカーが多すぎるのだ。
例えば対ドラクエで「魔法の回数制」を採用した、とか思われてたりするんだけど、実はファイナル・ファンタジーでは「もっとスタンダードな」AD&Dからシステム持ってきたりしてるんで、実は全く奇をてらってない。スタンダードにスタンダードを重ねただけなんだよな。
いずれにせよ、これでファミコンを支えるRPGの両輪が揃ったわけだ。
・ウィザードリィ 狂王の試練場 (1987年12月22日: パーティ制)
おまけ。初代ファイナル・ファンタジー発売の4日後、ファミコン版ウィザードリィが発売される。ここでファミコンはRPG戦乱時代に突入するのである。
1987年のクリスマス商戦はものすげぇ事になったんだろうなぁ(笑)。
とまぁ、初代ドラクエが出てから初代ファイナル・ファンタジーが出るまで、どんなRPGがファミコン向けにリリースされてきたのか、と言うまとめでした。