テトリス、と言えばロシア(旧・ソビエト連邦)で生まれた落ちものパズルゲームの元祖だ、と言う事は皆知ってるだろう。
ゲーム性はシンプル、だ。解説の必要が無い程だ。
一方、テトリスは落ちものパズルブームを興したが、2024年現在、オリジナルのテトリスをプレイする、って考えた時、「シンプル過ぎて」キツい、ってのも事実だと思う。
ある意味、シューティングゲームが好きだから、と言っても、今「スペースインベーダー」をプレイしてもツラい、ってのと似てるかもしんない。
それくらい「落ちものパズル」ってのは発展してきまくってるんだよな。
セガ: コラムス(1990年)
任天堂: ドクターマリオ(1990年)
セガ: ぷよぷよフィーバー(2004年)
現在、iPhone辺りだとスイカゲームと呼ばれるゲームがある程度ブームになっている。
一方、オリジナルのテトリスの原作者、アレクセイ・パジトノフはテトリス一本で西側諸国にその名を轟かせたが、しかしながら彼がその後作った「テトリスの続編」はイマイチ売れなかった、っつーか認知度は低かった。
スペクトラムホロバイト: ウェルトリス(1989年)
テンゲン: ハットリス(1991年)
アレクセイ・パジトノフは偉大なる一発屋だ。ジャンルを作り上げる、っつー偉大な功績があるが、しかしながら一発屋だ(笑)。
その衝撃度合いはルービックキューブを作ったルービック・エルネーそっくりだ。ルービックキューブは大ヒットしたが、二作目のルービックスネークはイマイチパッとせんかった。
いずれにせよ、テトリスの続編、ってのは難しいんだ。古典的で完成されている。「より面白くするにはどうするか」と言うのは、作者のアレクセイ・パジトノフでさえ良く分かってなかったんだろう。
ところが、別の人の手に渡った、一種「改造版」に傑作がある。BPSによる発売だが、あの、かつてドラクエをプログラムしたチュンソフトが作ったファミコン用テトリス2+ボンブリス(1991年)だ。珍しく天才プログラマー、中村光一率いるチュンソフトがエニックス以外で下請けした作品で、なおかつ亡くなったすぎやまこういちが音楽で参加している。
このカセット、タイトル通り2つのゲームが同梱されている。
テトリスの方は特筆するべきトコはない。
っつーかオリジナルのファミコン版テトリスは滑らかな落下アニメーションなんぞ無かったが、こっちの版はキチンとアニメーションしている。
テトリスにアニメーションなんざ要らんと言えば要らんが、存在理由は、落下してくるテトリミノ(いわゆるブロック)が下にあるテトリミノに接触した時、BPS版だと一定時間内でも右や左に移動できない。それを改良する為のアニメーション導入だったらしい。
言わば、このカセットのテトリスはテトリスのマイナーチェンジヴァージョンなわけだ。
一方、本当に面白いのはボンブリスの方だ。こっちは2024年現在プレイしても面白いだろう。テトリミノの数も増え、爆弾を内包していて、一行並べば爆発する、と言う仕様だ。
また、オリジナルのテトリスは「無限ループ」前提のゲームだけど、ボンブリスの目的は「爆弾を上手く使って全テトリミノを消去する」事だ。従って「面」の概念があり、これがテトリスのゲーム性を一段上へと押し上げている。
これは「良い」ゲームだ。繰り返すが、2024年現在やっても十二分に面白いだろう。
「チュンソフト」と言うブランドの底力を感じさせる「再構成」作品だと言える。