瓢簞舟の「ちょっと頭に浮かぶ」

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消失のとき

2017-12-31 12:53:55 | 随想
欲望が苦を生む。ならば欲望を断てばいい。欲望から解き放たれれば苦しまなくて済む。

と考え、欲望を断つよう努める。が、それは容易なことでない。断ったそばから再び湧き上がるからである。満たされるその時まで欲望はその運動を止めはしない。
満たされるその時まで、と書いたが満たされれば次の欲望が生まれるのが常套である。欲望が欲望を生む。キリがない。

断つ、なんぞというのは無理なことだ。
確かに欲望は苦を生む。が、喜びももたらす。それでいいではないか。あるがまま、苦も喜びも味わうがいい。欲望を断つなんぞと努めるのは、いったい何をやっているのやら。馬鹿馬鹿しい。

欲望は断つものではない。消失するものである。消失するに努力はいらぬ。成るに任せるだけである。
「こちら」に居る必要がなくなればいずれそう成る。苦も喜びも味わう必要がなくなれば欲望も必要とせず、あとは消え失せるだけである。

「こちら」に居るあいだは欲望に任せてさまざまなことを体験したらいい。そのために「こちら」に来ているのだ。欲望が消失したとき。コレデオシマイ、となるだけ。
欲望を断つことなんてない。有るなら有るでそれととことんつき合ったらいい。消え失せるそのときまで。



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