梨木香歩「水辺にて」(ちくま文庫)を読んで思う。ああ、そういうものかもしれない。
私は勝手に読み替えるから梨木香歩の書いたものからは離れてしまっているだろうけれど、読んで考えるとはそういうことなのだから仕方がない。書いた人の意図は哀しいくらいに伝わらないものである。
発せられた言葉は受け止められることを望んでいる。受け止められた言葉は変容し、新たなる言葉として発せられる。送受信は複雑に絡み合い、 . . . 本文を読む
私は戦争を知らない。知らないけれど、知っている人の話を聞くことはできる。そこから想像することもできる。そこで何が起きるのか。
「動くものはすべて殺せ アメリカ兵はベトナムで何をしたか」
KILL ANYTHING THAT MOVES
The Real American War in Vietnam
<近刊>
著者
ニック・タース
訳者
布施由紀子
「民間人を殺害し、森の空き地や . . . 本文を読む
忘れたことを忘れている
ならば
それはなかったこと
だがしかし
たしかにそれはあった
記憶されていないだけで
たしかにそれはあった
そして
それは今もある
この先もありつづける
何ものにも気づかれぬまま
そのことに気づくために
そのことを思い出すために
生きているのかもしれない
生きることでしか
それを見つけることは
できないのかもしれない
気づかせるために
思い出させるために
それは
生 . . . 本文を読む
危険と、危険に対する恐怖と一体どちらが始末に悪いか。私は現実の方がいい。危険そのものの方がいい。
ゴッホがこんなことを言っているそうな。
本当にそうよね。始末に悪いのはいつだって自分の恐怖心なのよ。その現実を楽しいと思うか怖いと思うか。危険であるという現実にしたって、楽しいと思えば冒険なんだし怖いと思えば回避し閉じこもることになる。
何かにつけリミッター設けすぎ。恐怖心で壁を張り巡らせすぎ。 . . . 本文を読む
「らーめん才遊記」ってグルメ漫画を読んでいたら、美味さを語るときに未知への感動と既知への安堵の二面性の両立を指摘していた。
人は臆病なもので既知のものに安堵し安住する。ようするに保守的なのよね。
だけど一方で未知なるものへの好奇心も強い。それが文明を発展させる駆動力だもの。
ま、味覚が保守的なのは仕方ないけどね。変なもの食べたら命にかかわるもの。にもかかわらず新しい味を求めもする。この未知への欲 . . . 本文を読む
こんな夢を見た。
その人はそれを手放して楽になったはずだった。しかし時間が経つにつれ後悔の念に駆られる。手放して良かったのか。それとともに生きることは困難ではあろうけど、その困難を引き受けて生きるべきではないだろうか。
その人は迷い続けている。 . . . 本文を読む
秩序は維持する努力を怠ると崩壊する。
ならば、水が低きに流れるのが方向として正しいように、秩序は崩壊するのが方向として正しい、のかしら。
だけど、秩序のないところに秩序が成立したことを考えると、方向として崩壊することが正しいとも言えまい。
成立しては崩壊する、のが正しいか。歴史を見ればそんな気がしないでもない。
では、宇宙は? 生成と死滅の繰り返し?
そもそも秩序ってなに? なんで在る . . . 本文を読む
枷を嵌めているのは自身だろう。自身の底が抜けた時、枷は外れ、自由になる。と同時に位相の違う世界へと在り方も変わる。それは私であって私でないもの。
我々はどこから来て、どこへ行くのか。 . . . 本文を読む