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広重の下総小金原(ジグソーパズル)

2016年08月30日 | アート


松戸の市立博物館で歌川広重の「下総小金原」(富士三十六景のうち)をジグソーパズル化して販売していると知って、出かけて買ってきた。今時の博物館はこういうものも製作して売っているのかと面白かったし、もともとこの絵に興味があったからだ。

 小金原(現在の千葉県松戸市)と言えば、江戸時代は小金牧と称し、将軍の放牧場(鷹狩の場)でもあった地域。馬除けの野馬土手もごく一部だが残っている。さらに、戦国時代には小金城や根木内城が存在し、合戦も行われた場所である。そんな興味から手元に置きたくなったのだが、いざ買ってみたものの時間が無かったり、もともとジグソーパズルに不向きな性格なのか(笑)手付かずだった。

 台風10号が近づく日曜日、防災態勢も整ったので家に閉じこもって作業を開始した。乗り気ではなかったが、もともと108ピースで初心者向けなので、30分ほどで完成できた。実物より小ぶりだが、往時の小金原を偲ぶよすがにはなるだろう。

 この浮世絵は、横の方が適した画材なのに縦の構図を採ったところに非凡さがあるように思う。現在なら、スマホで写真を撮るようなものか。いや、そうではないだろう(笑)。
 左手に大きく描かれた馬の存在感と絶妙なトリミング。その重みを水面が受け、さらにうねるような大地が受け、最終的に奥の白い富士山が受け止める。そのことによって遠近感が強調される構図なのだ。視覚的には手前の赤い花(モミジかと思ったがツツジらしい)から、近景の馬、中景の馬、背の高い松に視線が誘導される巧みな構成になっている。(と、私は思う(笑))

 小金牧にしては馬が少な過ぎる、あまりにも広過ぎる、木が少な過ぎる、ツツジの季節に富士山が白いのはおかしい、等々横やりはいくつも入れられそうだ。広重が実際に見たのかどうかも疑問だが、構図といい配色と言い、浮世絵による風景画としては秀でたものであろう。

 できあがった「小金原」は画像ソフトで一足早く額に入れてみた(写真)。この絵をよすがに150年以上も前の風景に想いを馳せるのである。

 ついでながら、「伸びゆく松戸」というパズルも同時購入した。昭和11年に常磐線の電化を記念して発行された松戸のPRパンフレットをパズルにしたもの。こちらは420ピースと、ちょっと手強い。果たして、着手はいつになることやら。

 Nikon/COOLPIX P330


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