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『オケ老人!』を観て読んで...

2022年08月02日 | アート



『オケ老人!』をレンタル・ビデオで観ました。少し昔の作品だから単なるエンタテインメントだろうと期待はしていませんでしたが、面白かったので原作も読みました。案外、考えさせられる作品なのでした。


ライバルの「高レベル」梅が岡フィル(梅フィル)に楽団員を引き抜かれた梅響こと梅が岡交響楽団は、まともに楽譜も読めないようなへたくそ老人だらけになり、オーケストラとは名ばかりの耐え難い音を出しながら細々と練習していた。こともあろうに、そこに梅フィルと勘違いして入団してしまった元学生オケ、バイオリン弾きの高校数学教師、千鶴(杏)。たちまち、若き指導者と仰がれ指揮を任されることになりますが、あまりの格差に悩み、葛藤します。そうしながらも老人たちと音楽を介した交流が次第に両者を成長させていきます。

まあ、基本的にありそうであり得ない話なのですが、それなりにリアルであり納得させられるシーンも多いと感じました。
また、脇を固める高齢名優?の演技も極端にならず、好サポート。映画初主演の杏の個性も輝いて引き込まれ、飽きることはありませんでした。まさに「音楽の本道」を行く見事な老人たちでした。


このような小説が生まれ、映画が作られるということは、日本ではアマ・オケが社会的に認知され身近な存在となっているということの証明でもあるとも言えます。プロのオケを舞台にしたら、こんな作品は生まれなかったでしょう。

ビデオを観て、久し振りに東葛エリアのアマ・オケを聴きたくなりましたが、やはり、コロナでは気軽にというわけにはいきません。
コロナや景気の後退のアマ・オケへの影響も小さくはないと思います。そして、言わずもがなの団員、聴衆の高齢化。今、どうなっているのか、これからどうなるのか、気になるところです。


『オケ老人!』
監督・脚本:細川徹、原作:荒木源、出演:杏(小山千鶴)、黒島結菜(野々村和音)、坂口健太郎(坂下くん)、笹野高史(野々村秀太郎)、左とん平(及川さん)、小松政夫(花田富雄)、藤田弓子(花田昌江)、石倉三郎(棟梁)など.
2016年、「オケ老人!」製作委員会.119分.

荒木 源著『オケ老人!』(小学館文庫)2010年12月刊.*単行本初版は2008年9月.


ご参考まで
映画『オケ老人!』公式サイト


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