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物理学者が科学に関する話題をやさしくまとめたエッセイ集です。星、地球、人間の世の中、虫の世界などにわたる興味深い話が語られます。数式は多分ひとつもなく、その代わりにおしゃれなイラストが散りばめられているので数字に弱くても読めます。
遠い宇宙から人の社会やアリの社会まで、科学的な事実を分かりやすく論理的に説明してくれるので面白いと思います。
計り知れない地球の営みや宇宙の存在、世評の力学、意見形成のメカニズム、じゃんけん理論、夢の虚しさなどなど、思わぬ発見があり良い刺激になりました。ただし、それが何になるの?と言われてしまうと、それもそうだなあ、と(笑)。
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それでも、私は時々このような科学本を読みます。すると、時に想像に任せてあらぬ方向に飛んで行こうとする脳をリセットできるような気がします。日常にぽっかりと論理的空間を作ることで脳細胞をもう一度軌道に乗せるのに役立っているのかと思います(思いたい)。おそらく、科学者はこの逆の生活をしているのだと思います(笑)。あくまでも人文・芸術系脳みその私です。
飛躍するようですが、未曽有の危機となった今回のような状況に対応するとき、科学的判断ができるか否かが問われるのだなあと改めて思いました。それには基礎的な科学力とでも呼ぶべき力が必要で、専門家ももちろん、普通の人間も普段からちょっとは勉強しておかないといかんなあと思うのでした。∎
全卓樹著『銀河の片隅で科学夜話;物理学者が語る、すばらしく不思議で美しいこの世界の小さな驚異』朝日出版社、2020年2月刊.