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『汽車』(岩波写真文庫)から

2010年09月22日 | 折々の読書
  
D51のついでに,もうひとつ懐古趣味なお話。
この岩波写真文庫の1冊は1951年の出版(但し,私の手元の本は1988年に発行された復刻版)で,当時の鉄道の基礎知識を簡単にまとめた内容が,今となってはタイムカプセルのように思える。鉄道と言えば蒸気機関車しか考えられなかった時代の記録である。どの写真も煤けているが生き生きと動いている様子が覗える。

汽車の写真もさることながら,背景に写っている風景がいかにも時代だ。最近掛け替えられた餘部鉄橋も現役として写真が載っているし,線路の雪掻きをする人々は簑に菅笠だ。田畑しかない沿線風景。往時のひたむきな,貧しいけれど美しかった時間が保存されている。あの,小津映画の時代だ(笑)。ウォッシュレットの発想すらなかった時代の健康さがうらやましい(笑)。

当時は「汽車」と呼んだ。蒸気機関車がなくなってもしばらくは汽車で通った。しかし,「省線」も「国電」も消え,「汽車」も使われなくなった。寂しい。ビオラ・ダ・ガンバがチェロに取って代わられて際もこんな風だったのか。「ああ,お宅もチェロですか。ガンバの時代は遠くなりにけりですなあ」(18世紀,某ヨーロッパ貴族談)(ちょっと違うか(爆))。

■岩波書店編集部編集,岩波映画製作所写真『汽車』[岩波写真文庫21,1951年刊の復刻版]岩波書店,1988年刊.

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