かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

ミントの季節

2009年07月04日 | がん病棟で
いま緩和ケア病棟のベランダには、色とりどりの綺麗な花が咲いている。
ボランティアの方々が手入れをしてくださっている花壇で、紫色のアサガオもすでに咲いていて、いよいよ夏だなあと思う。

花ばかりではない。
触れれば、指にスッキリした良い香りが移るミントも元気いっぱいに植わっている。

ちょうど入院中のTさん(94歳!)が外泊に備えて病室から談話室まで歩行練習して、ソファーでひと息いれていたところだったので、ベランダのミントの葉っぱを一枚摘んで手渡した。

『Tさん、ミントですよ』

「??」

『ミ・ン・ト。ハッカよ、ハッカ!いい匂いがするのよ』

そう言うとTさんはやっと葉っぱを鼻に近づけて、「おおー、いい匂いだ♪」と喜んでくださった。

何度も香りを嗅いでいるなあと思って見ていたら、Tさん、今度はそれをパクリと口に入れた。
94歳とはいえ、ボケはほとんどないのだけれど…。

『あのね、直接食べるより、お水に浮かべたり、お茶にして飲むと美味しいんですよ~』

すると今度は口の中からミントの葉を取り出して、何を思ったのか、ほっぺたに貼り付けようとしている。

『Tさん……?…?……』

シワだらけで白い無精ひげのはえているほっぺただから、肉厚のミントの葉はなかなかくっつかないのだけれど、ニコニコしながらTさんは何度も葉っぱを舐めてはくっつけようとしている。

見かねて『おでこならくっつくんじゃない?』と言ったら、おでこにぺたっ。
そのままご機嫌の様子で病室に戻っていった(笑)


今月、この緩和ケア病棟の談話室で、コンサートを開くことに決めた。
チェロ仲間の同僚外科医のH子ちゃんが転勤する直前。
N先生にピアノ伴奏をしてもらうことにしたから、美人女医3人のトリオ♪
患者さんたちは疲れやすいので、演奏時間はお茶会を兼ねて、せいぜい15分から20分のプチコンサート。
一応、院長に企画を報告したら、「じゃあ、ボクが唄おうか?」とおっしゃるので、プロデューサーとして丁重にお断りした。
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