かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

能動的休暇取得

2024年06月15日 | 今日のワタシ
体調を崩して半年間ステイホームするまで、自分が取得できるはずの年次休暇はそもそも何日与えられているのかとか、年度中に使わなかった休暇分は、20日分まで次年度に持ち越すことができるのだとかいったことは知らなかったし、興味もなかった。

医師の働き方改革とかで、いまは事務方から「5日間の年次休暇は絶対消化してください! 夏休みなどでリフレッシュ休暇分をつかうのはその後です」と強く言われるようになった。

それでも、忙しい盛りの年頃の医者やその他の医療者たちは、義務化された休みを取るのに四苦八苦している。

ステイホーム後に復職したとき、いわゆる「閑職」に転属された。
明らかに、上からの虐めだと感じた。
あれから3年以上たって、自分なりに立ち位置を固め、自己肯定感を消されないように努力してきた。

が、今でも幹部職員がズラーッと並んだ会議室で、独りで座らされ、冷たく転属を言われた時に襲われた恐怖感のようなものは忘れないし、今でも腹の底のほうに黒い澱のように溜まっているのを私は知っている。

けれど、その古い澱をかき混ぜて外に出てこないように、日々気をつけている。

いつかきっと、古い赤ワインを美しいクリスタルのデキャンタに移すように、渋くて苦くて、どす黒い色の澱とは、おさらばしようと思っている。

「閑職」という言い方は、職場で虐めにあった人がイジケて使うか、周りの人が上から目線の憐れみの気持ちで言うのだと思うから、使わないようにする。

患者を直接受け持たないと、こんなにも休みやすいのだということを実感したのは大きい収穫である。
それまで、後ろめたさを全く感じないで仕事を休んだことなど一度もなかった。
人生最大の転換、といっても過言ではない。

Eのおかげで、ドイツ人の働き方に対する考え方や実際の働き方を知ってしまった今では、自分のなかでの働き方改革が進んでいる気がしている。

気持ち的にはまだ慣れるのにもう少し時間が必要であるけれど、Eに合わせて、自分自身で計画を立てて積極的に休暇を取るようになった。

Eを家族に紹介する機会について、弟とメールで相談した。

「6月は休日がないから、最終土曜日は休診にして、妻とふたりで一泊旅行することにした」のだそうである。

5月の連休明けから来月の海の日までは、1年で最も休暇のない時期だそうである。
6月に国民休暇を作って欲しいという声も多いそうであるが、ある学者さんによれば、「国民休暇日は、国が強制的に国民を休ませる日なので、これ以上増やすことには反対。自分達が休みたい時に休むことが大切」なんだそうである。

能動的休暇取得を実践している弟を、尊敬した次第である。

挿し木を試みているバラに、最終的救済処置を施した。
これ以上やれることはない。





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