先日、久しぶりにタバコの臭いに出会った。
スーパーですれ違った人から臭ったのだった。
締めきった部屋のなかで吸ったり、夏場と違ってワンシーズン着続けるコート類のせいか、冬場になるとスーパーなどでタバコ臭をさせて歩いている人とすれ違うことが多くなる。
けれども今年は人との距離がある程度保たれているせいか、そういう機会がぐんと減った。
「飛沫感染を防ぐための周囲の人との距離は約2m」と言われて、フィジカルディスタンスという概念がだいぶ世の中に浸透してきていると思われるが、この2mという数字自体は、コロナ禍以前から実体験として認識していた。
禁煙外来を受診する人のなかで、受診直前までタバコを吸っている人がいる。
そういう人が診察室に入ってくると、とたんにタバコ臭に襲われる。
狭い診察室で、そういう人を目の前にして喋っていると、こちらのノドはヒリヒリと痛くなってしまう。
そういうとき、いったいどのくらい患者さんから離れれば、呼気や衣服から発せられるタバコ臭からとりあえず逃げられるか?と試してみた距離が、1.5~2mであった。
喫煙はコロナ感染の重症化のリスクをあげる要因のひとつであるし、志村けんさんが亡くなったときに、世の中の喫煙者は衝撃を受けたはずだけれど、この1年で禁煙した人はどのくらいいるのだろうか?
ひょっとしたら仕事が無くなったり、在宅勤務で家にいることが多くなったりで、喫煙率は低下するどころか、増えている・・・みたいなことを言う人もいる。
まあ、データがないので、実際のところはわからない。
そんななか、市中でタバコ臭をかぐ頻度が減ったと感じるのは、人との距離が以前よりも保たれている影響は少なからずあるだろう。
昨日見た映画でこんなシーンがあった。
かつての恋人同士が久しぶりに再会して、しばしお茶を飲み、別れ際、ためらいながら友情のハグをする。
「またタバコ吸い始めたのね・・・」
彼女はハグをしたときに、彼のタバコ臭に気づいたのだ。
私はこの先、だれかと抱き合うなんて、きっともうない。
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