地域の公衆衛生に貢献した方々の授賞式に招待されて、記念講演として喋ってきた。
主催者側が要望している講演テーマは禁煙。
聴講者は普段から公衆衛生活動に貢献している方々、とはいっても、やはり全員が非喫煙者というわけではなく、実際、くわえタバコで車を運転してきた人もいて・・・
今どきは、ストレートにタバコの健康被害についてだとか、禁煙しなさいよって感じの内容ではウケないのは承知の助。
なので、喫煙防止教室の様子や、子供たちからもらった手紙の内容を紹介することで、間接的に禁煙治療や受動喫煙防止について訴える内容にまとめた。
笑いあり、涙あり、予想を裏切る感動的内容であーる(笑)
講演後の聴講者からはこんな質問をされた。
「私は10年前にタバコをやめましたが、吸っていた痕跡はどのくらい残るのでしょうか?」
禁煙した人はたいてい、自分がいつから吸わずにいるかを、ハッキリと覚えていて、「禁煙を始めてから◯◯週間、◯◯ヶ月」と指折り数えている。
それは最初のうちは、「ずいぶんとがんばってるなあ、自分」という気持ちなのだと思う。
記録更新おめでとう!みたいな。
でも次第に月日がたって、年単位になり、タバコを吸わないことが当たり前になってくると、せいぜい指を折るのは年に一度か二度、あるいは、今回みたいに禁煙講話を聞いた時くらいになっていく。
でも、こんな風に、新たな不安や疑問をもつようになる人も。
「汚れた肺は、キレイになってますか?」
禁煙したこと、それ自体を後悔する人はいないけれど、吸ってしまったことについては、みな、大なり小なり、後悔の念を抱いているのだ。
特に、(納得のいくわかりやすい講話で!)衝撃的にタバコの真実を知らされた時には、自分が前科者であることを認識させられてしまうのかもしれない。
「タバコを吸わなかったことにはできないのだろうか?」
「いったいいつまで、肺がんにならないかどうかを心配しなくてはいけないのだろうか?」
最近の研究では、毎日の喫煙によって、あちこちの遺伝子が傷つけられ、老化や発がんの原因となっていることが明らかになってきている。
タバコによって一度傷つけられた遺伝子が、果たしてその後、禁煙すれば直るのかどうか?
これまで一般的には、禁煙後、10年以上経過すれば、発がんのリスクは非喫煙者に近づくといわれていた。
この数字が正しいのかどうかは、さらなる研究で明らかにされていくであろうと思われる。
とにかく、タバコは吸わないのに限る。
昔吸っていても、今、吸わないでいることに大きな意義があると思ってほしい。
懺悔だけでは、何も始まらない。
これからどう行動するか、そこんとこが、大事なんである。
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