■専任化を佐藤学長が拒否
原告の専任教員化という裁判所和解案を受けて、2017年7月11日の
団体交渉の場で、被告法人の常務理事がこう発言した。
「この事件は大学内で起こったことなので、大学内で解決すべきであると、
ふと気づいた。学生の利益が第一であると思う。したがって、明日の
経営会議で、小林さんの専任化を提案します。」
当組合もこの発言にびっくりした。というのは、この常務理事の隣には、
提訴以前から、理事会の場等で、小林の専任化に一貫して反対していた佐藤
学長が座っているからである。当組合員一同は、この発言は、当組合に対し
てのものではなく、佐藤学長に向けられたものであり、専任化に反対して、
これ以上事態を紛糾させるな、という強いメッセージだと思った。
なお、ここでいう「経営会議」とは、理事長、常務理事(学長を含む)の合計
4名程度で構成する機関で、理事会の審議事項を決める等、実質的な最高
決定機関である。
ところが、この経営会議において、佐藤英明学長がまたもや「反対」した。
教員の人事権は、職員の人事権とは異なり、学長が握っており、学長が
反対し、あるいは態度を決めない限り、少しも動かない。大学とはそういう
ところだ。
この佐藤英明学長、後日詳しく報告するが、提訴(2016年11月
1日)前にも、理事長や他の常務理事の小林専任化の提案に何度も反対し、
潰していた。
かくして訴訟が起こり、大学創立記念式典や入学式・卒業式の際、その他
機会あるごとに、抗議・街宣行動が我孫子駅頭や大学正門前で行われるよう
になった。これがまた専任化拒否の理由となった。
提訴後も佐藤英明氏は、裁判所の上記和解案にも反対し続け、潰していた。
2017年8月に交代した裁判長も前裁判長と同じ方針をとり、被告で
ある学校法人中央学院に対して小林専任化を説得し続けたが、法人は拒否し
続けた。
■証人尋問の実施
被告が専任化を受けいれないので、2018年10月と11月に、証人
尋問が行われることになった。結審に向けた歩みである。
原告側証人には、専任教員1名と、原告が委員長を務める全国教職員組合
の書記長がなり、証言をした。
被告側の証人は、佐藤英明・前学長である。前学長と言ったのは、佐藤氏
は2018年6月の学長選挙に落選し、この証人尋問が行われた時点では
学長ではなかったからである。ただ、学長選挙直前の2018年4月20日
付で、陳述書を裁判所に提出していたため、被告側証人に立つことになった
のである。
これも後日明らかにするが、この佐藤英明氏が提出した陳述書は、原告側
に立って陳述書を提出していた舘幸嗣法学部教授に対する「悪口」のオン
パレードである。
舘教授は長年の闘病の末、佐藤氏が陳述書を提出した4月20日の直前で
ある4月12日に、死去していた。
お悔やみの一つでも、陳述書に書き記せばいいものを、「死人に口なし」
とばかりに、それこそ言いたい放題である。ここには、30年近くの同僚で
あって、中央学院大学の学生の教育等に尽力された舘教授に対する感謝や
リスペクトなど、全く感じられない。「学長」という立場の人間なら、
当然わきまえるべきマナーである。これが、「倫理学」担当の教授である
とは・・・・・。全く言葉がでない。
佐藤氏が陳述書に書くべきは、原告である小林勝と専任教員の賃金格差
が6倍にも上ることを正当化する根拠であるはずなのだが、それについては、
ほとんど書かれていない。この陳述書についても、後日、明らかにする。
■原告側証人に対するハラスメント処分
こうして2018年10月25日と11月1日に、証人尋問が実施された。
この証人尋問が終えた後も、裁判所による被告の説得が続いた。
ところが、別の事件が起こった。
当ブログでもすでに書いてあるが、被告は、証言台に立った書記長
--中央学院大学で非常勤講師として勤務している--に対して、
ハラスメント事件をでっち上げ、出講停止、構内立入禁止の処分をして
きたのである。
それだけではない。証言台に立った専任教員の平澤教授に対しても、
ハラスメントをでっちあげ、喚問手続きを開始した。
これが組合つぶしの異常な攻撃であることは、以下の点より明らかで
ある。
■組合つぶしを狙う被告の「和解」案
2019年1月30日の裁判所での和解協議の場に、被告は「突如」と
して、次のような「和解」案を出してきた。
①原告の小林を前年すなわち2018年4月1日から2019年3月
31日までの1年間、教授に任命する。
②ただし原告は、2019年3月31日をもって退職し、以後、
非常勤講師としても中央学院大学には勤務しない。
③解決金として原告に935万円を支払う。
労働組合の執行委員長である原告を、大学から追い出そうというのだ。
組合書記長への処分等とあわせて考えるなら、これが組合つぶしの異常な
「和解」案であることは明白だ。
なぜなら、原告は、解雇されたわけでも、雇止めされたわけでもなく、
ただ賃金格差の是正を求める訴訟を起こしたにすぎないからである。その
原告に、「ここで働くな」との「和解」案を出すとは、まさに異常という
他ない。
実は、この「和解」案には、もう一項ついていた。すなわち、全国教職
員組合のこのブログを閉じる――というものだ。
もちろん、これが「裁判上の和解」の項目になることはない。なぜなら、
この訴訟は、小林が個人として起こしたものであるからである。労働組合
のブログを閉じてほしいなら、労働組合と別個に交渉すべきことを、被告
は知らないようだ。
もちろん、原告はこの和解案を拒否した。
原告がこの訴訟を提起した思いは、第一回口頭弁論で読み上げた原告の
「意見陳述書」に詳しい。
原告がこの訴訟を起こしたのは、非常勤講師と専任教員とのあいだの
賃金格差が6倍にも及ぶ、大学での現代奴隷制を問題にし、裁判所の判断を
あおいで是正するためである。
被告が真に和解を望むなら、当組合等が団体交渉で10数年間も要求し
続けている、小林専任化の実現以外にはありえない。2018年度の1年間
だけの専任化で、その後は退職せよ、などという被告「和解」案など、和解
案の名にあたいしない。
■ブログの「威力」
それにしても、このブログの「威力」はすごい。
卒業生にも着実に浸透し、拡散している。色々な情報が寄せられており、
卒業生からは、この大学で受けた教育内容や個別専任教員の教育や態度に
対する不満や批判が来ている。
この大学の改善に役立つと判断する場合には、大学に対する叱咤激励の
意味を込めて、当ブログで紹介・指摘したい。
これまでの経験から、団体交渉で指摘しても、中央学院大学では、専任
教員幹部が握りつぶし、真剣な改善の取り組みがなされてこなかった。
このように、ブログで世間に公表し、また文科省や厚生労働省と交渉
すれば、改善せざるをえないのである。今後は、国会議員にも積極的に
協力を仰ぐことにする。
これまでは、裁判所の和解案――原告の専任化――が出ていたので、ブログ
の更新の頻度や内容は抑え気味であったが、もはやその配慮は必要ではない
と、組合執行員会で確認した。
■専任化を諮(はか)った茶番の法学部全体教授会
先述したとおり、被告は2019年1月30日に「和解」案を提出した。
実は、その直前に、こんな出来事があった。
すなわち、被告代理人の柴谷晃弁護士が、原告の代理人に、1月16日
付で以下の内容の「依頼書」なる書面を送ってきたのである。
「裁判所の助言に基づき、『非常勤講師の小林勝氏の法学部専任化の可否』
の件を、本年1月23日開催の法学部全体教授会に諮ることにしました。
その際、下記の資料を法学部教授会の閲覧に供したいと考えております
ので、学校法人中央学院大学事務局長宛に、1月21日必着でご提出
いただくようお願いいたします」。
提出を要求された書類は、いうまでもなく、履歴書と研究業績目録である。
原告は、被告が裁判所の助言を尊重して小林専任化の努力をしたが、教員
が反対したので専任化できませんでした、と「エクスキューズ(言い訳)」
するための、単なるポーズに利用されることが分かっていたので、提出し
ないと決めていた。
しかし原告弁護団の協議の結果、提出することになった。というのも、
被告の狙いはそうであっても、原告が提出しないと、被告は「原告がチャ
ンスを自分で潰した」と主張することになるので、とりあえず出して
おいた方がいい、と判断したからである。
案の定、茶番であることが判明した。すなわち、1月21日の法学部
全体教授会は、この「依頼書」の内容とは異なって、小林の専任化を審議
しなかった。
審議したのは、小林が担当している「社会学」「国際関係論」の科目を
担当する専任教員が必要か否かであった。これは、小林の専任化の是非の審議
とは全く異なる。
もちろん、小林の専任化の是非を諮っても、否決されることは明らかである。
なぜなら、当ブログで専任教員を、実名を挙げて批判しているからである。
主要な例を挙げよう。
①昨今のハラスメント事件で、いい加減な調査で「クロ」と断定した
教員名。
②2015年の法学部の専任教員採用人事において、小林等を排除する
ために、雇用対策法10条に違反して、年齢制限を行った李憲模教授
(現法学部長)や大村芳昭法学部長(当時)等の名をこのブログで
挙げた。――この事件について交渉することになった団体交渉に、
佐藤英明学長(当時)は、大村等を出席させず、また違法行為は
なかったと回答し、もみ消しをはかった。しかし、厚生労働省に違法
行為と認定され、中央学院大学に行政指導が入った。組合の主張が
正しかったのである。なお、大村法学部長等を出席させなかった行為
自体が、労働組合法に違反する不当労働行為である。
③2012年度に審議され翌年に実施された、法学部カリキュラム改革
の際、当組合は、僅か16単位の法律科目(4科目)の取得で学位
「法学士」を与えるコースが存在することは、法律である学校教育法
や文科省令である大学設置基準に違反していること等を、当時の大村
芳昭法学部長の実名を挙げて批判した。しかし、大村法学部長は、
当組合の主張を聞き入れなかった。法人も、全く行動を起こさなかった。
当組合の主張が正しかったことは、大学基準協会の2015年の
「認証評価結果」において、法学部のこの事態が厳しく批判された
ことから、明白である。
さて、法学部の全体教授会に戻ろう。
構成員は30名弱いるが、当日、採決に参加したのは16名である。
1名が、裁判所の和解案は「小林の専任化」であり、審議すべきは小林の
専任化の是非であり、「社会学、国際関係論担当の専任教員が必要か否か」
ではないはずだ、との理由で、票決に際して棄権した。
棄権は否決と見なされるため、16名全員が「必要でない」と判断した
ことになった。先の被告「和解」案は、この茶番の全体教授会を受けて
出されたものである。
前回のブログで述べたが、2017年7月に、陪席裁判官が、柴谷晃・
被告代理人弁護士を介して提案打診した内容は、「社会システム研究所」
での原告の専任化であった。裁判所も、法学部での専任化が教員組織の
抵抗で困難なことを十分承知の上で、このように提案したのであった。
この出来事は、見事なまでの「茶番」であった。
<続く>
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