虐待サバイバーのつらさは、
世の中で、いろいろと言われてる。
碧音の一番のつらさの理由は…
虐待親に法的な制裁を
下せなかったこと
例えば、碧音は、父親から
性虐待を受けた。
これが、もし、他人なら、
親が気付いて犯人を捜してもらい、
裁判にかけて法的制裁を与える
ことができる。
だが、実の親が加害者の場合、
社会的制裁を与えることは難しい。
理由①
自分が父親から虐待を受けている
自覚が持てない。
碧音が性虐待を受けたのは9歳の時。
衝撃的過ぎて混乱した記憶しかない。
当時、性被害というのは、例えば、
性行為までされないと性虐待とは
言えないと考えていた。
そうなると、父親に嫌悪感を感じる
自分がいけないんだと考え、発狂
しそうな嫌悪感を感じながら、
同じ屋根の下で生活していた。
そのうち、覚えていること自体、
つらくなったからか、記憶そのものが
喪失した状態になった。
理由②
大人になって虐待に気付いても
証拠や時間がたちすぎて記憶が
曖昧で訴えるには証拠が不充分
仮に、子供の頃の虐待に気付いても、
当時の虐待を示す確実な証拠がない。
例えば、性虐待で言えば、家族からも
隠れたところでされることが多い。
つまり、二人きりだったり、無防備な
寝てるときに手を出すことが多いのだ。
しかも、いつ、そういうことをされるか
分からないし、当時の碧音に証拠をとる
という考えに及ばない。
隠れてやるので証人もいない。
だから、確実な証拠を取りづらい現実が、
社会的制裁を与えられない苦しみに
つながる。
理由③
制裁を与えられたとしても、
【自分の子供に虐待した親の子】
というレッテルを貼られる可能性
自分の親が虐待したと社会的制裁
与えられても、虐待された子供は、
節目節目で
虐待を受けて育った子
性虐待した父親の子
という好奇の目にさらされる。
訴えて裁判で有罪となった場合、例えば、
結婚したいときに、相手のご両親に
身元調査されれば【犯罪者の子供】
として見られる。
制裁を与えられなくても地獄
制裁を与えても地獄
どちらにしても地獄である。
碧音の両親は逃げ切った。
ただ、社会的制裁は与える
ことはできなかったが、
両親への通知表は
落第点をつけている。
母親の介護が必要な時、その
通知表をつきつけた。
その時、母親は泣いていたが、
碧音が泣いている時、親として、
何もしなかったのだから当然だ。
子供の頃は、親が子供の評価をする。
正当な評価をしなかった両親に
落第点しかつけられないのは
当然のことである。
今更、泣いても遅い
そんな冷めた目で泣く母親を
見つめていたことを思い出す。
父親は、突然死だったが、楽しみに
していたゴルフコンペの前日に
突然死した。
家族のお金を趣味につぎ込んだ
父親には一番悲しい死に方だろう。
因果応報はあると確信できた瞬間だ。