8月7日(日)夕月の夜 マレーシア
風さんは空の高いところへとルーモを運び、マレーシアのキャメロンハイランドという高原の真上に来ました。フィリピンはマニラのムッとする熱気を払い、この高原は一年中爽やかで涼しい場所です。その気候を生かしてお茶の葉やお野菜の栽培が盛んでした。
ルーモは広い茶畑に降りました。夕月が茶畑の葉の一枚一枚を艶々と照らして、うっとりするほどに綺麗です。
するとどこからともなく、小さなささやきが聞こえてきます。
さわさわ、さわさわ、さわさわ、さわさわ…
ルーモが耳を澄ますと、それははっきりとお話になって聞こえてきました。高原の精霊がお茶の葉の娘さんたちにお話をしていたのです。精霊は白いひげを生やした優しそうなおじいさんでした。
「いいかね。高原の水と土の養分は、君たちの緑色をつややかにしてくれた。
高原の空気と香りは君たちに上品さと高貴さをもたらした。
高原の光と温かさは君たちに優しさと喜びを与えた。
高原に降る月のしずくは君たちに輝きを授けた。
明日は待ちに待った茶摘みの日だ。
君たちはキャメロンハイランドの美しい茶娘として堂々と世界中の人々の喉を潤すのである」
なにやら明日の茶摘みの前におじいさん精霊が、茶葉の娘さんたちに別れの言葉を告げていたようでした。
茶葉の娘たちはその緑色の頬を艶めかせ、明日の茶摘みに思いを馳せて朝日が昇るのを待っていました。
ルーモは一人の茶娘さんに言いました。
「あなたの緑色は本当に綺麗。そして、良い香りがするわ。でも、ここから離れて、みんなとバラバラになってどこか知らない場所に行くのは怖くない?」
娘さんは言いました。
「私たちは自然からいろんなものをもらったの。お蔭で今私たちはこんなに美しい!今が私たちの一番幸せなときね。明日から冒険の旅が始まるわ。何が起きても大丈夫。ここまでで十分に幸せ。そして、これから誰かを幸せに出来たらそれはおまけの出来事よ」
茶娘さんたちはウキウキだけでなく、とても勇敢で、そしてすべてを知っていました。ルーモは茶娘さんたちの凛とした美しさがまぶしくて目をしばたたかせました。そして、その勇気はルーモの目から心へと流れ、今まで知らなかった力を与えました。
「お幸せに!ありがとう」
ルーモはそう言って、さぁ~っと吹いてきた風さんに飛び乗りました。空の高いところから広大な茶畑を見下ろします。茶娘さんたちの希望の光が茶畑全体を水面の輝きのようキラキラさせていました。それは月の光の反射だったかもしれませんが……。
茶娘さんたちは、明日摘み取られ、選別され機械で蒸されて、乾かされてから、缶に詰められて、紅茶として世界中のどこかのお店に並ぶのです。そして、どこかの誰かさんに買われていくのでしょう。ルーモは茶娘さんたちが、美味しく飲まれ、人々の喉を喉を潤す時に彼女たちの希望という艶めきで潤すことを想像して、茶娘さんたちの幸せを祈りました。
風さんは空の高いところへとルーモを運び、マレーシアのキャメロンハイランドという高原の真上に来ました。フィリピンはマニラのムッとする熱気を払い、この高原は一年中爽やかで涼しい場所です。その気候を生かしてお茶の葉やお野菜の栽培が盛んでした。
ルーモは広い茶畑に降りました。夕月が茶畑の葉の一枚一枚を艶々と照らして、うっとりするほどに綺麗です。
するとどこからともなく、小さなささやきが聞こえてきます。
さわさわ、さわさわ、さわさわ、さわさわ…
ルーモが耳を澄ますと、それははっきりとお話になって聞こえてきました。高原の精霊がお茶の葉の娘さんたちにお話をしていたのです。精霊は白いひげを生やした優しそうなおじいさんでした。
「いいかね。高原の水と土の養分は、君たちの緑色をつややかにしてくれた。
高原の空気と香りは君たちに上品さと高貴さをもたらした。
高原の光と温かさは君たちに優しさと喜びを与えた。
高原に降る月のしずくは君たちに輝きを授けた。
明日は待ちに待った茶摘みの日だ。
君たちはキャメロンハイランドの美しい茶娘として堂々と世界中の人々の喉を潤すのである」
なにやら明日の茶摘みの前におじいさん精霊が、茶葉の娘さんたちに別れの言葉を告げていたようでした。
茶葉の娘たちはその緑色の頬を艶めかせ、明日の茶摘みに思いを馳せて朝日が昇るのを待っていました。
ルーモは一人の茶娘さんに言いました。
「あなたの緑色は本当に綺麗。そして、良い香りがするわ。でも、ここから離れて、みんなとバラバラになってどこか知らない場所に行くのは怖くない?」
娘さんは言いました。
「私たちは自然からいろんなものをもらったの。お蔭で今私たちはこんなに美しい!今が私たちの一番幸せなときね。明日から冒険の旅が始まるわ。何が起きても大丈夫。ここまでで十分に幸せ。そして、これから誰かを幸せに出来たらそれはおまけの出来事よ」
茶娘さんたちはウキウキだけでなく、とても勇敢で、そしてすべてを知っていました。ルーモは茶娘さんたちの凛とした美しさがまぶしくて目をしばたたかせました。そして、その勇気はルーモの目から心へと流れ、今まで知らなかった力を与えました。
「お幸せに!ありがとう」
ルーモはそう言って、さぁ~っと吹いてきた風さんに飛び乗りました。空の高いところから広大な茶畑を見下ろします。茶娘さんたちの希望の光が茶畑全体を水面の輝きのようキラキラさせていました。それは月の光の反射だったかもしれませんが……。
茶娘さんたちは、明日摘み取られ、選別され機械で蒸されて、乾かされてから、缶に詰められて、紅茶として世界中のどこかのお店に並ぶのです。そして、どこかの誰かさんに買われていくのでしょう。ルーモは茶娘さんたちが、美味しく飲まれ、人々の喉を喉を潤す時に彼女たちの希望という艶めきで潤すことを想像して、茶娘さんたちの幸せを祈りました。