ずっとLOVEの歌詞が好きだ。
結構歌詞を読んで想像したりする。
例えば、どういうシチュエーションなのだろう。とか考える。
砂のグラスとかは特に考えて楽しんだりしていた。
(例えば、当然のように彼女に「お前はミルクティでしょ」
って言い放って勝手に注文する五関君と五関君の彼女が好きな戸塚さんとか)
それと似た感覚でずっとLOVEも考えたりしていたんです。
ずっとLOVEのイメージが結婚を決意するようなイメージなんですよね。
だから、何となく以前雑誌で戸塚さんが言っていたサプライズのプロポーズを想像しつつ、でもあのプロポーズはどうやっても実現が難しいよなって思ったので変更しつつ、こんな感じかなーって書いた。
何となく、戸塚さんの書いた他の歌詞とかをイメージしつつ書いたんだけど、
やっぱ話を想像はしても「ここで終ります!」ってするのは難しい。
というか、最初思い付きで書いたからどう終るんだ?ってなって、
今日ちゃんと一応終らせたから、ちゃんと一つにまとめました。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
いつまでも側にいてよ、ずっと。
ずっと同じ景色を見てきた人がいた。
ずっと同じ景色を見てきたと思っていた。
例えばあの日の朝、私たちだけが知っている朝が来た。
あの陽を忘れる時は、多分一生来ない。
中学生の頃出逢った私たちの関係は、
いつしかお友達が彼氏彼女になり、
自分自身は学生から社会人になった。
大学卒業したら籍を入れる?なんて話題がのぼったのが大学4年の秋頃。
雪が降ってからその話が雪に埋もれたように出なくなって、
雪が溶けたように話は消えた。
月日は当たり前のように流れて早数年。
最近お仕事がしんどい。
アラサーの私には責任が寄り添うようになってきて、
私はその気配を感じつつも新人のままいたい気持ちだった。
帰り道にチェックするLINEが最近の心の支え。
スタンプひとつで良いから、来てないかな。そんな風に思う程度、今彼に本当は逢いたい。
それなのに心ない言葉を書いてしまった3日前、
即座に謝罪の言葉を書いたものの、
既読さえつかない吹き出しが今日も虚しく残っていた。
当たり前のように近くにいる存在が、
ある日些細なきっかけで疎ましくなって、
もうこの愛は終わりだ、なんて時もいつかは来るのかな。
そんな事がふと頭によぎった。
今日は残業だから、私からは電話もできないな…
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
「下向いてんじゃねーよ。虹見えるっつったじゃん。」
そう言ったぶっきらぼうな声音が優しく響いたあの日。
私は彼と初めて友達になった気がした。
休み時間の時だった。
浅はかな正義感でクラスメートを注意してしまい、
気まずい空気が流れた教室。
その場にいられなくて、泣きそうな気持ちで教室を出た。
それでも放課後掃除当番だから教室に戻った時、
当番のはずのクラスメート数名がボイコットして消えていた。
私だけが掃除当番を律儀に守ったと思っていたら、こう言ったのが彼だった。
「は?」
「だから、この前理科の時言ってたじゃん。
こういう天気の時虹見えるって。」
「あ、それは…」
「そんな下向いてたら何も見えねーし。」
「は?そんな下向いてないから!」
「ふーん。なら虹消える前に早く掃除して帰ろ。」
少しだけ照れながら、でも私に向かって発せられたその声に、訳もなく涙が出そうな気がした。
帰り道が一緒になって、
微妙な距離感を保ったまま歩いた通学路が、
私と彼を友達にしたんだと思う。
「朝の雨すごくなかった?」
「すごかったー。」
「ってか水たまりすげーな。」
「えー、私長靴だから平気!」
そう言って笑いながら水たまりに足をつっこむ。
「うわ、絶対長靴平気そうじゃねーし」
「なんも足冷たくないよ!」
そんな他愛もない事を話していた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
初めてデートしたのは、小降りの雨がなかなかやまない午前10時からだったと思う。
「ここ来たことある!」
「マジで?」
「うん、家族と来た。」
「あー、車で近いもんなー。」
「そうそう、駐車場広いし車でこの前ここ来たさ。」
「マジか~…」
「でも、今日ここ来れたの嬉しいよ。」
「…あっそ。」
そう言った後差し出された手に、ぎこちなく手を添えたあの日。
あの日行った建物はリニューアルされて、
あの日2人で入った喫茶店は別のお店になった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
残業帰りのタクシーで見た、ようやくついた既読の文字に、少しだけ安堵した。
一応読んでくれたから、これ以上余計な事は考えない事にする。
社会人で、俺が一人前になったら…
そんな台詞を聴いた記憶がどこかにある。
結局、その間にお互いが仕事で忙しくなってきた。
でも、実は彼が今どれ位具体的に忙しいかよくわかっていない。
以前、お互いが社会人になった頃、
どちらがいかに忙しく大変かふざけまじりに言い合っていたら、
気付けば本気の大ゲンカになっていた。
それから、お互い仕事に関して詳しく話し合うのは何となく止めたのだ。
少なくとも、LINEが読める時間はある、か。
返信はどれ位負担なんだろう。
スタンプひとつも選ぶ時間はない。
私にかける言葉を考える気持ちはないんだろう。
駄目だ、忙しいせいか言葉がマイナスにしかならなかった。
その時、電話がかかってきた。
「もしもし?」
久しぶりに聴いたような、
彼の声がいつもと同じで心底安らいだ。
私が聴きたかった声は、この声だ。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
デスクに無造作に置かれた新たな仕事が、
朝ようやく会社へと行く事に成功した気持ちをドン底に突き落とした。
それでも何とか仕事をこなし、
定時をとっくに過ぎたオフィスには、
もう自分しかいなかった。
仕事の終わりって何だろう。
毎日毎日お仕事があって、彼も忙しくて、
私も彼も物理的に逢う時間を作り出せなくて、
それは私らの努力不足なんだろうか。
同じよう事が頭をグルグル回って思考が停止しかけた時、
電話がかかってきた。
「もしもし?」
「もしもし?」
「今どこ?」
「会社だよー。」
「マジか~!」
「今どこ?」
「俺も会社(笑)。」
「そうなんだ、お疲れ様です。」
「お疲れ様。」
「お仕事終わりそう?」
「ってか俺これから帰る。」
「は?!」
「もう遅いから、電話するなら早くしなきゃと思って。」
「私は仕事まだ残ってるよー…」
「絶対、大丈夫。出来るよ。」
「根拠ないよー」
「俺嘘言わないもん。絶対出来るよ。」
「ありがとー。」
「じゃあおやすみ。」
「うん、おやすみなさい。」
たった5分程度の会話だったけど、心の軽くなる音がした。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
仕事の繁忙期が無事終って、
彼との連絡が無事取れるようになった。
そもそも、私と彼はそこまで頻繁に連絡を毎日するわけではなくて、
会おうってなったら暇?って聴いて会うスタンスだった。
そんなだから繁忙期はどうしても音信不通気味で寂しくなってしまう。
久しぶりに彼が運転している車の助手席に腰掛けながら、眠気と戦いつつ起きていた。
「眠いなら寝て良いよ」
「いや、やっぱ話し相手はいないと・・・」
「今寝てて話してませんからね」
「いや、寝てませんからね」
「は~。別に良いけど(笑)」
そんな会話をしつつ、ドライブを楽しんでいた。
今日は疲れを取ろうって話になって、日帰り温泉に行くことにしたのだ。
こんな風に車で出かけるのも何度目だろう。
中学生の頃から一緒に出かけるようになって、
いつからか隣にいる事が当たり前になった。
「ねー、起きてる?」
「寝てないって言ったしょ」
「あぁ、じゃあさ、今度学祭行かない?」
「・・・どこの?」
「そりゃ、俺らの母校ですよ」
「へぇ~、良いよ!」
「じゃあ、今度の土曜日にするみたいだからよろしく。」
「よろしくお願いします。」
「はい。」
次の約束がある日は、何だか嬉しい。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
元通学路で待ち合わせをして、一緒に学校へと向かう事になっていた。
通学路は会社への道とは違う為、
あまり通ることもなかったからすごく懐かしくてキュンとした。
学祭に行くなんて事はなかったし、学祭時期に開放されていることも忘れていた。
結局、私は別に学校自体に思い入れがあるわけではないから、
そんなに学校へ行くこともしていなかった訳で、何だか懐かしい。
待ち合わせ場所には彼が立っていた。
「おはようございます。」
「おはよう。」
そういって歩き出した。
「ねー、通学路とか懐かしいね」
「うん。」
「今日何してるんだろうねー。お昼とか買えるかな。」
「あー、どうなんだろうね。」
「何か、言葉少ないね?」
「そんな事ないよ。」
「ふーん。」
通学路は懐かしい思い出に満ちている。
例えば、待ち合わせの交差点でバイバイしなきゃいけなかったから、
立ち止まって話し込んだ事が何度かあった。
クラスメートがいるし、テレもあるから毎日帰るわけでもない。
それでも偶然を装って一緒に帰った日は、何だか嬉しかった。
バイバイといった後、視線を感じながら帰った事を今も覚えている。
ふと、信号が赤に変わって立ち止まった。
「結構学校近いね」
「ここから歩いて15分位だからね。まぁ近いよね。」
「え?15分だっけ???」
「まぁ。うん。」
そうか。私たち、ゆっくり歩いてたのか。
そんな事実に今さら気づいた。あの頃考えたこともなかったけれど。
「ふーん、そっかぁ。ゆっくりしてたんだねぇ。」
その言葉に返事はなかったから、思わず彼の左手をとった。
「良いねー。青春だったね私ら(笑)」
「はいはい。」
そういって私の右手を握り返してくれたから、学校まで手を繋いで歩いた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
文化祭用の催しが開かれている傍ら、
理科室が休憩室として使われていて、
食べ物を購入した人たちが押し寄せて座っていた。
「懐かしいね、理科室!」
「ホント変わんないなー」
「ね。」
違う教室で買ってきたものを取り出し、休憩をとることにした。
「学校来るの久しぶりだね」
「だね」
「さっき教室の展示見たしょ?」
「うん」
「アレ、うちらの時と比べられない位ハイクオリティーだったね(笑)」
「俺たちは俺たちの味ってモンがあったんだよ(笑)」
「何その妙なライバル心は(笑)」
「っていうか俺らの学年の時は展示辞めて発表だったじゃん」
「そっか。私らが同じクラスの時はステージ発表だったね」
「そーだって。お前踊ってじゃん」
「おお、覚えてるんだ!!」
「・・・そりゃそうだろ」
そういって、プイッと横を向いた後、数秒黙った後彼が口を開いた。
「じゃあさ、虹が見える話覚えてる?」
「え?」
「理科のさ、この教室で言ってたヤツ。」
「・・・・・・」
「その顔、覚えてないでしょ」
「や・・・」
「すっげー勇気出して言ったのに。」
「それは理科室じゃなくて教室だよ」
「うわ、俺より覚えてる(笑)」
「・・・覚えてるよ、ずっと」
「これ、受け取ってください」
彼が渡してくれた包みは小さかった。
「ここで開けて良いの?」
「いや、ちょっとここまで人がいるとは思ってなかったからちょっと待って・・・」
そう言った彼は耳まで真っ赤だった。
覚えてる。覚えてるずっと。
この愛を叫ぶのは、帰り道にしよう。
結構歌詞を読んで想像したりする。
例えば、どういうシチュエーションなのだろう。とか考える。
砂のグラスとかは特に考えて楽しんだりしていた。
(例えば、当然のように彼女に「お前はミルクティでしょ」
って言い放って勝手に注文する五関君と五関君の彼女が好きな戸塚さんとか)
それと似た感覚でずっとLOVEも考えたりしていたんです。
ずっとLOVEのイメージが結婚を決意するようなイメージなんですよね。
だから、何となく以前雑誌で戸塚さんが言っていたサプライズのプロポーズを想像しつつ、でもあのプロポーズはどうやっても実現が難しいよなって思ったので変更しつつ、こんな感じかなーって書いた。
何となく、戸塚さんの書いた他の歌詞とかをイメージしつつ書いたんだけど、
やっぱ話を想像はしても「ここで終ります!」ってするのは難しい。
というか、最初思い付きで書いたからどう終るんだ?ってなって、
今日ちゃんと一応終らせたから、ちゃんと一つにまとめました。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
いつまでも側にいてよ、ずっと。
ずっと同じ景色を見てきた人がいた。
ずっと同じ景色を見てきたと思っていた。
例えばあの日の朝、私たちだけが知っている朝が来た。
あの陽を忘れる時は、多分一生来ない。
中学生の頃出逢った私たちの関係は、
いつしかお友達が彼氏彼女になり、
自分自身は学生から社会人になった。
大学卒業したら籍を入れる?なんて話題がのぼったのが大学4年の秋頃。
雪が降ってからその話が雪に埋もれたように出なくなって、
雪が溶けたように話は消えた。
月日は当たり前のように流れて早数年。
最近お仕事がしんどい。
アラサーの私には責任が寄り添うようになってきて、
私はその気配を感じつつも新人のままいたい気持ちだった。
帰り道にチェックするLINEが最近の心の支え。
スタンプひとつで良いから、来てないかな。そんな風に思う程度、今彼に本当は逢いたい。
それなのに心ない言葉を書いてしまった3日前、
即座に謝罪の言葉を書いたものの、
既読さえつかない吹き出しが今日も虚しく残っていた。
当たり前のように近くにいる存在が、
ある日些細なきっかけで疎ましくなって、
もうこの愛は終わりだ、なんて時もいつかは来るのかな。
そんな事がふと頭によぎった。
今日は残業だから、私からは電話もできないな…
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
「下向いてんじゃねーよ。虹見えるっつったじゃん。」
そう言ったぶっきらぼうな声音が優しく響いたあの日。
私は彼と初めて友達になった気がした。
休み時間の時だった。
浅はかな正義感でクラスメートを注意してしまい、
気まずい空気が流れた教室。
その場にいられなくて、泣きそうな気持ちで教室を出た。
それでも放課後掃除当番だから教室に戻った時、
当番のはずのクラスメート数名がボイコットして消えていた。
私だけが掃除当番を律儀に守ったと思っていたら、こう言ったのが彼だった。
「は?」
「だから、この前理科の時言ってたじゃん。
こういう天気の時虹見えるって。」
「あ、それは…」
「そんな下向いてたら何も見えねーし。」
「は?そんな下向いてないから!」
「ふーん。なら虹消える前に早く掃除して帰ろ。」
少しだけ照れながら、でも私に向かって発せられたその声に、訳もなく涙が出そうな気がした。
帰り道が一緒になって、
微妙な距離感を保ったまま歩いた通学路が、
私と彼を友達にしたんだと思う。
「朝の雨すごくなかった?」
「すごかったー。」
「ってか水たまりすげーな。」
「えー、私長靴だから平気!」
そう言って笑いながら水たまりに足をつっこむ。
「うわ、絶対長靴平気そうじゃねーし」
「なんも足冷たくないよ!」
そんな他愛もない事を話していた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
初めてデートしたのは、小降りの雨がなかなかやまない午前10時からだったと思う。
「ここ来たことある!」
「マジで?」
「うん、家族と来た。」
「あー、車で近いもんなー。」
「そうそう、駐車場広いし車でこの前ここ来たさ。」
「マジか~…」
「でも、今日ここ来れたの嬉しいよ。」
「…あっそ。」
そう言った後差し出された手に、ぎこちなく手を添えたあの日。
あの日行った建物はリニューアルされて、
あの日2人で入った喫茶店は別のお店になった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
残業帰りのタクシーで見た、ようやくついた既読の文字に、少しだけ安堵した。
一応読んでくれたから、これ以上余計な事は考えない事にする。
社会人で、俺が一人前になったら…
そんな台詞を聴いた記憶がどこかにある。
結局、その間にお互いが仕事で忙しくなってきた。
でも、実は彼が今どれ位具体的に忙しいかよくわかっていない。
以前、お互いが社会人になった頃、
どちらがいかに忙しく大変かふざけまじりに言い合っていたら、
気付けば本気の大ゲンカになっていた。
それから、お互い仕事に関して詳しく話し合うのは何となく止めたのだ。
少なくとも、LINEが読める時間はある、か。
返信はどれ位負担なんだろう。
スタンプひとつも選ぶ時間はない。
私にかける言葉を考える気持ちはないんだろう。
駄目だ、忙しいせいか言葉がマイナスにしかならなかった。
その時、電話がかかってきた。
「もしもし?」
久しぶりに聴いたような、
彼の声がいつもと同じで心底安らいだ。
私が聴きたかった声は、この声だ。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
デスクに無造作に置かれた新たな仕事が、
朝ようやく会社へと行く事に成功した気持ちをドン底に突き落とした。
それでも何とか仕事をこなし、
定時をとっくに過ぎたオフィスには、
もう自分しかいなかった。
仕事の終わりって何だろう。
毎日毎日お仕事があって、彼も忙しくて、
私も彼も物理的に逢う時間を作り出せなくて、
それは私らの努力不足なんだろうか。
同じよう事が頭をグルグル回って思考が停止しかけた時、
電話がかかってきた。
「もしもし?」
「もしもし?」
「今どこ?」
「会社だよー。」
「マジか~!」
「今どこ?」
「俺も会社(笑)。」
「そうなんだ、お疲れ様です。」
「お疲れ様。」
「お仕事終わりそう?」
「ってか俺これから帰る。」
「は?!」
「もう遅いから、電話するなら早くしなきゃと思って。」
「私は仕事まだ残ってるよー…」
「絶対、大丈夫。出来るよ。」
「根拠ないよー」
「俺嘘言わないもん。絶対出来るよ。」
「ありがとー。」
「じゃあおやすみ。」
「うん、おやすみなさい。」
たった5分程度の会話だったけど、心の軽くなる音がした。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
仕事の繁忙期が無事終って、
彼との連絡が無事取れるようになった。
そもそも、私と彼はそこまで頻繁に連絡を毎日するわけではなくて、
会おうってなったら暇?って聴いて会うスタンスだった。
そんなだから繁忙期はどうしても音信不通気味で寂しくなってしまう。
久しぶりに彼が運転している車の助手席に腰掛けながら、眠気と戦いつつ起きていた。
「眠いなら寝て良いよ」
「いや、やっぱ話し相手はいないと・・・」
「今寝てて話してませんからね」
「いや、寝てませんからね」
「は~。別に良いけど(笑)」
そんな会話をしつつ、ドライブを楽しんでいた。
今日は疲れを取ろうって話になって、日帰り温泉に行くことにしたのだ。
こんな風に車で出かけるのも何度目だろう。
中学生の頃から一緒に出かけるようになって、
いつからか隣にいる事が当たり前になった。
「ねー、起きてる?」
「寝てないって言ったしょ」
「あぁ、じゃあさ、今度学祭行かない?」
「・・・どこの?」
「そりゃ、俺らの母校ですよ」
「へぇ~、良いよ!」
「じゃあ、今度の土曜日にするみたいだからよろしく。」
「よろしくお願いします。」
「はい。」
次の約束がある日は、何だか嬉しい。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
元通学路で待ち合わせをして、一緒に学校へと向かう事になっていた。
通学路は会社への道とは違う為、
あまり通ることもなかったからすごく懐かしくてキュンとした。
学祭に行くなんて事はなかったし、学祭時期に開放されていることも忘れていた。
結局、私は別に学校自体に思い入れがあるわけではないから、
そんなに学校へ行くこともしていなかった訳で、何だか懐かしい。
待ち合わせ場所には彼が立っていた。
「おはようございます。」
「おはよう。」
そういって歩き出した。
「ねー、通学路とか懐かしいね」
「うん。」
「今日何してるんだろうねー。お昼とか買えるかな。」
「あー、どうなんだろうね。」
「何か、言葉少ないね?」
「そんな事ないよ。」
「ふーん。」
通学路は懐かしい思い出に満ちている。
例えば、待ち合わせの交差点でバイバイしなきゃいけなかったから、
立ち止まって話し込んだ事が何度かあった。
クラスメートがいるし、テレもあるから毎日帰るわけでもない。
それでも偶然を装って一緒に帰った日は、何だか嬉しかった。
バイバイといった後、視線を感じながら帰った事を今も覚えている。
ふと、信号が赤に変わって立ち止まった。
「結構学校近いね」
「ここから歩いて15分位だからね。まぁ近いよね。」
「え?15分だっけ???」
「まぁ。うん。」
そうか。私たち、ゆっくり歩いてたのか。
そんな事実に今さら気づいた。あの頃考えたこともなかったけれど。
「ふーん、そっかぁ。ゆっくりしてたんだねぇ。」
その言葉に返事はなかったから、思わず彼の左手をとった。
「良いねー。青春だったね私ら(笑)」
「はいはい。」
そういって私の右手を握り返してくれたから、学校まで手を繋いで歩いた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
文化祭用の催しが開かれている傍ら、
理科室が休憩室として使われていて、
食べ物を購入した人たちが押し寄せて座っていた。
「懐かしいね、理科室!」
「ホント変わんないなー」
「ね。」
違う教室で買ってきたものを取り出し、休憩をとることにした。
「学校来るの久しぶりだね」
「だね」
「さっき教室の展示見たしょ?」
「うん」
「アレ、うちらの時と比べられない位ハイクオリティーだったね(笑)」
「俺たちは俺たちの味ってモンがあったんだよ(笑)」
「何その妙なライバル心は(笑)」
「っていうか俺らの学年の時は展示辞めて発表だったじゃん」
「そっか。私らが同じクラスの時はステージ発表だったね」
「そーだって。お前踊ってじゃん」
「おお、覚えてるんだ!!」
「・・・そりゃそうだろ」
そういって、プイッと横を向いた後、数秒黙った後彼が口を開いた。
「じゃあさ、虹が見える話覚えてる?」
「え?」
「理科のさ、この教室で言ってたヤツ。」
「・・・・・・」
「その顔、覚えてないでしょ」
「や・・・」
「すっげー勇気出して言ったのに。」
「それは理科室じゃなくて教室だよ」
「うわ、俺より覚えてる(笑)」
「・・・覚えてるよ、ずっと」
「これ、受け取ってください」
彼が渡してくれた包みは小さかった。
「ここで開けて良いの?」
「いや、ちょっとここまで人がいるとは思ってなかったからちょっと待って・・・」
そう言った彼は耳まで真っ赤だった。
覚えてる。覚えてるずっと。
この愛を叫ぶのは、帰り道にしよう。