「これはもうアカンかも知れへんね。。」
フクシマ原発における放射能汚染水問題については、抜本的解決・対応よりも情報隠蔽を優先する政府・東電による緩慢極まりない対応により、今年5月以降、後手後手の状態が続いているが、今回、以下の朝日新聞記事にて報じられている内容をみれば、まさに危機的状況であろう。
汚染水の海洋流出を防ぐための遮水壁により堰き止められた汚染水の水位が急上昇し、このまま行けば、3週間後にも汚染水が地面にあふれ出す計算だというのであるからトンでもない話である。
朝日新聞記事にて指摘されているように、事故から2年半たった今も八方ふさがりで、汚染の拡大を防げない危機的な状態が続いているというのは尋常な話ではなく、このままの状態が続けば廃炉計画自体が破綻すると断じて然るべき話である。
福1の廃炉計画が破綻するということは、即ち、この先もずっと事故が収束しないということであり、そうなれば福島第1原発を中心として、放射能汚染のため誰も立ち入れない「立ち入り禁止区域」が広範囲に渡ることとなるであろう。
そんな中、以下のゲンダイ記事にあるように、原子力規制委はと言えば、能天気にも“夏休み入り”を宣言したというのであるから、ふざけているにも程がある話である。
元々が”原発利権ムラ”の面々で構成された規制委のこと、休暇はキッチリ取るという”お役所根性”丸出しとはこのことであり、ハナから本気で原発問題を解決しようなどとは考えていないことが如実にわかろうという話である。
東電といい、これを第3者的立場から監視・指導すべき原子力規制委といい、今回の一連の対応についてはあまりにも緊張感・危機意識が欠落しており、「こんな連中にこのまま福1の収束を任せておくこと自体どうなのか?」という点について議論されて然るべきであろうというのが個人的見解である。
こんな一般常識もなく、感覚のズレた連中に、ただでさえ困難を極めるフクシマ原発の収束へ向けた対応を任せておけば、今後も重篤な事態を多々引き起こすことは明らかであり、「ハインリッヒの法則」よろしく、やがては取り返しのつかない大事故へと発展することは自明であろう。
そしてもう一つ忘れてはならないのが、今回の汚染水漏れ問題への対応が遅れた背景に、先の参院選への悪影響を懸念した自民党が、投開票後まで汚染水の漏えいの有無自体を有耶無耶にするよう、東電に強く働きかけていたという事実である。
即ち、今回の汚染水問題が深刻化した点については、ある意味、安部政権も”共犯者”だということである。
今後、予測される展開としては、万一、地上に汚染水が噴出するような事態となれば福1の収束に向けた作業が完全に頓挫することとなる故、高濃度汚染水の海洋投棄が粛々と実行されることとなるであろう。
セシウムのみならず、トリチウム・プルトニウム・ストロンチウムといった極めて毒性の強い放射性物質を大量に含む高濃度汚染水がダダ漏れとなれば、福島近海の海洋汚染は極めて深刻なものとなることは明らかであり、福島近海をはじめとする広大な海がまさに”死の海”と化すであろう。
(実はもう既にダダ漏れ状態というのが現実であろう)
かくして原発が一度(ひとたび)大事故を引き起こせば、「海」「大気」「大地」といった自然の原風景が失われ、そこに住む人間は無論、動植物をはじめとする生命あるものすべてが甚大な被害を受けるわけであるが、一体全体、原子力政策を推進してきた日本政府(歴代の自民党政権)は、この責任をどう取れるというのであろうか?
一度壊された自然の原風景を元の状態に戻すことなど実質不可能であるという点で、誰もその責任など取れようはずはなく、かくも凄惨な状況を引き起こす「原発」について、改めて早期での全廃の必要性を強く感じる次第である。
(転載開始)
◆原子力規制委、汚染水「切迫」でもリフレッシュ休暇宣言
2013年08月01日 22:08 ゲンダイネット
「かなり深刻で、切迫している」――。福島第1原発の汚染水問題について、31日の定例会見でこう懸念を示した原子力規制委員会の田中俊一委員長(68)。
汚染水をこれ以上増やさないよう、「処理した水と汚染されていない水を捨てる了解をいただかないと」と海洋への放出も口にしたが、そんな田中委員長ら原子力規制委のメンバーが、のんきに“夏休み入り”を宣言したからア然だ。
「この会見で田中委員長は『来週はお休みしたいと思う。みんなで少し休みをとって、リフレッシュしようと』などと言ったのです。
汚染水問題を『切迫している』と言いながら、どういう神経をしているのか。
それでなくても、原子力規制委は海洋放出について、早く地元民を説得するよう東電の尻を叩いている。
もちろん、福島の漁業関係者は猛反発していますが、田中委員長は『(東電は)必死になって頼む姿勢が足りない』なんて平然と言う始末。
で、地元民の苦痛をよそに、自分たちは“リフレッシュ休暇”だから、とことんふざけています」
(福島県関係者)
原発の新規制基準に関して再三説明を求めている新潟県の泉田裕彦知事は、面会に応じようとしない田中委員長について、「説明責任を果たさなければ不適格だ」と厳しく非難している。
が、田中委員長は会見で「とくにお会いしなきゃいけないとは思っていない」と冷たく言うばかり。
こうしたデタラメを一切報じず、批判もしようとしないこの国のメディアもどうかしている。
◆福島第一、汚染水封じ込めピンチ 地中の壁で地下水急増
朝日新聞デジタル 8月3日(土)5時39分配信
福島第一原発2号機取水口近くの汚染状況
東京電力福島第一原発の放射能汚染水が海に流出し続けている問題で、原子力規制委員会は2日、初めての検討作業部会を開いた。しかし、抜本的な対策は示されず、東電が進めている対策では海への流出が止められない。事故から2年半たった今も八方ふさがりで、汚染の拡大を防げない危機的な状態が続いている。このままの状態が続けば、廃炉計画は破綻(はたん)しかねない。
○3週間で地表に到達の可能性
問題になっているのは、1~3号機の海側の敷地と港湾。地中に汚染水がしみ出し、海に漏れていると見られる。
東電は岸壁近くの土を薬剤で固めて遮水壁を造り、汚染水が海へ流出するのを防ぐ工事を進めている。遮水壁ができあがっていくにつれ、観測井戸の水位が地表から1メートルほどまでに急上昇した。遮水壁で地下水がせき止められ、行き場がなくなったためとみられる。
遮水壁は工法の制約で地下1・8メートルより深い部分しか造れない。すでに、観測井戸の水位が遮水壁の上端を上回っており、完成しても海への流出が止められないのではと懸念されている。このままのペースで上昇すれば3週間で、水が地面にあふれ出す計算だ。
(転載終了)