羽部圭介(水郡線運転士)
私たちは楢葉町から避難している仮設住宅を訪れ住民の意見を聞いてきましたが、運行再開のことは誰も知りませんでした。
楢葉町民が誰も知らない運行再開
「鉄道が通れば楢葉に帰れという圧力になる」「線量も高いままなのに、鉄道の再開も帰還も早急すぎる」「今すぐ戻りたいという人はごく少数」どうして町長とJRは住民に内緒で決めたのか」※ 楢葉町民の声
震災の年の10月に運行が再開された広野町でも、戻った住民は3割以下と聞いています。その多くは放射線量が高く危険だと感じているから帰らない、いや帰れないのが実情でしょう。
放射線被ばくは本当に恐ろしい。たとえ線量が低くても空気中のチリに付いた放射性物質を吸い込んで内部被ばくしたら、人体の細胞のごく至近距離からダメージを受け続け、破壊された遺伝子は復元できないため、被ばくした本人のみならず子や孫に至るまで健康被害の影響を受け続けるのです。
放射線被ばくに対する過小評価は断じて許されません。こんな運転再開は断じてするべきではありません。
しょうがないとあきらめられるのでしょうか
放射線被ばくは一生の問題です。自分だけではない、子供の将来をも奪うのです。「しょうがない」とあきらめられるのでしょうか? おかしいことにはおかしい、間違っていることには間違っていると声を上げましょう。
楢葉町の帰町宣言に反対している住民は少なくありません。自らの労組はどう闘うのかためらっている暇はない5月10日の抗議行動を通して、そうした住民の怒りとつながりながら鉄道で働く私たちが本気になって反対すれば、運転再開を阻むことは十分可能だという感触をつかむことができました。
運転再開に直接関係するいわき運輸区の皆さん。それを取り巻くすべての仲間の皆さん。自らの労組はどう闘うのか。ためらっている暇はありません。共に闘いましょう!(