黄泉の国へ

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2025-02-24 17:10:00 | 日記
担当が一時的に変わった
若い女性の研修医は
あまり回診には来られなかった

看護師の報告から
処方の指示などを出されているようだ

CCUでワタシが覚えがある看護師さんは
4名
その中の1人の看護師さんが


父に寄り添って話を聞いたり
喋りかけたりするワタシを呼んで


おとなしく静かにしていないと
父の体に負担がかかる
カーテンの向こう隣にも
患者さんがいて迷惑にもなる

そう注意を受けた


それでも父は眠らず
話をしたり
体を起こそうとしたかったりするので
11時近くなり
ワタシはまた
同じ看護師さんに呼ばれた



睡眠導入剤(鎮静剤)で
少し眠ってもらったほうがいい
このままでは
また状態が悪化しかねないからだ、と
0時までに了解をもらわないと
処方はできないのだ
ともいわれた


ワタシの一存では決められない
父は眠りたくないと言うし 
どうしていいかわからない


兄はフライト中で
連絡が取れない



相談ができないのだ



看護師さんは
続けてこう言った

8月31日の夜中に
睡眠導入剤を入れたことで
父が暴れて
意識を失ったと聞かされた


それを
この時はじめて知ったのだ


暴れたから睡眠導入剤を入れて
意識を失ったのではなく?
睡眠導入剤を入れてから
暴れた?

何故暴れたのだろう
何故今まで教えてもらえなかったのか
何故0時まで?
その時は
誰の許可取ったんだろうか


ワタシは夜中を過ぎても
父の側にいたのに.....



ほんの少し自宅へ戻ってる間なのか



ワタシはとても混乱した


それに
看護師の言葉の中にあった
「状態が悪化」
「意識を失う」
これが頭の中でぐるぐる回る



11時50分
看護師さんが
あと10分の猶予だと言わんばかりに
待ち構えておられ


もう数分で0時


睡眠導入剤(鎮静剤)が処方された



眠ると死んでしまいそうだと
目を閉じない父のそばから
ワタシは離れなかった


「まだまだ生きられるー生きるー生きるー」
「水はまだか、まだかっ」
何度も言い
ワタシも適当な相槌をうち


そのうち
2時から4時ぐらいまで
父は少し眠りについた



ワタシも椅子に座って
父の手をさすりながら
ウトウトどころか
椅子から落ちそうな程
頭がコックーンと揺れる度に
目を覚ますと


父もワタシをギョロリと見ている



そして互いにまた目をゆっくり閉じた



夜が明け
午前8時ごろ
あの女性がやってきた



父の手を握り
父の喜ぶ話をしたい、と
パチンコの話で盛り上がった


父はパチンコなどしないのだから
自分の喜ぶ話だ


そして女性は急に泣き出した


こんなときに泣いたら
まるで父が助からないみたいじゃないか
ワタシだって父に涙を見せないように
胸の真ん中のところがギュッと詰まって
苦しくなるほど
我慢してるって言うのに
廊下にでも出て泣いたらいいじゃないか


そう思うワタシの気持ちを
知ってか知らずなのか


父は
括られた手の人差し指を
ひょいっと女性に向けて
「な、泣き虫ー!泣き虫ー」
声を振り絞り出しながら
笑っていった



つづく