アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

インドの地名のカタカナ表記

2011-05-04 | ヒンディー語

オサーマ・ビン・ラーディンが潜伏していた場所の名前がアボッタバードだというので、地図で場所を確認してみることにしました。新聞に大体の地図が出ていたので、 まず日本で出版された地図を見てみたのですが、私がいつも頼りにしている「地図で知る東南・南アジア」(平凡社、1994)にも出ていません。それで、30年ほど前にパキスタンに行った時に買った地図帳を引っ張り出しました。

 

本のサイズが大きいのでスキャナーからはみ出してしまってますが、「キタービスターン・キー・ナイー・アトラス」と題名が右上に書いてあります。キタービスターンというまんま”本屋”という名前の出版社から出た、「ナイー(ニュー)・アトラス」というわけです。小学校高学年か中学生が学校で使う地図帳らしく、天体の運行から始まって、世界の気象や各国情報、そしてパキスタンの情報がいろいろ詳しく載っています。

で、アボッタバード、ありました。ウルドゥー語の綴りから見ると、どうも「アボット」+「アーバード」の「アボット」は外来語のようです。イギリス人の名前 Abbot でしょうか。正しく音引きを付けると、「アボッターバード」になります。今、英語版Wikiを調べてみたら、やはりジェームズ・アボット(James Abbott)という人にちなんだ名前でした。ですのでローマナイズの綴りは、Abbottabad となります。

「アーバード」は「人のいる所」といった意味で、これが人名等と結びついて町の名前になっている所はたくさんあります。「ハイダル」+「アーバード」→ハイダラーバード、「アフマド」+「アーバード」→アフマダーバード(日本ではよくアーメダバードと書かれている)という具合です。パキスタンの首都からして、「イスラーム」+「アーバード」→イスラーマーバードですね。こちらも新聞等では普通イスラマバードと書かれますが、私は音引きが落ちる分には目をつぶる主義なので、ノープロブレムです。

という具合に、地名の正確な表記を知って正しくカタカナに直すには、現地の地図が欠かせません。3月6日にアップした記事で、「ヒンディー・ブックセンターでは、ヒンディー語文字で書かれたインド地図がほしかったのですが、どうやらそういうものはないようで手に入らず。インドの地名をカタカナ表記する時に役に立つと思ったので、手に入れたかったのですが」と書いたのもそのためです。実は、この部分に反応して下さったインド留学中の方から、「私が知っている地図帳会社の情報をお送りします。Indian Map Serviceという会社(なぜか本拠地がジョードプール)です。サイトはこちらで、各ジャンルにたいていヒンディー語版もあります」というメールが、私のインド旅行中に届いていました。その節は、情報ありがとうございました。

ところが、私もその頃、インドでヒンディー語版の道路地図を手に入れていました。下の二つで、いずれもチェンナイの書店で買ったものです。

左は、「インディア・ロード・アトラス」、右は「ロード・アトラス・オブ・インディア」という題名で、いずれも出版社は ttk というチェンナイにある会社です。この ttk という会社、古くから赤いカバーの各都市地図を出していたので、お世話になった方は多いはず。下にムンバイがまだボンベイだった時代の地図を2つ出しましたが、いずれも ttk 社のものです。

 

左の地図、ムンバイ版になってからも使ってある写真は長らく変わらずで、ひょっとしたら今もこれかも。と思って ttk 社のHPを見てみたら、ムンバイの地図はラインアップに入っていませんでした。Eicher Goodearth 社のいい地図が出るようになったので、駆逐されたのかも知れません。ttk 社は下のようなタミル語の地図帳も出していたりするので、これからもがんばってほしいのですが。

上のタミル語は「スクール・アトラス」と書いてあります。このほか、私の手元には、前出のIndian Map Service 社が出しているタミル語版のタミル・ナードゥ州地図などもあります。南インドの地名は、ヒンディー語表記では違った音になってしまっている場合もあるため、こういう風にいろんな資料で確認することが必要になってくるのです。いやー、インドの地名をカタカナ表記にするのって、結構大変なんですよ~。所蔵資料が増えるはずでしょ?

 


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